将来世代とは誰のことか、世代会計で考えてみた。

(写真:アフロ)

昨日(2019年6月19日)、財政制度等審議会がまとめた「令和時代の財政の在り方に関する建議」は受け取りを拒否されることもなく無事麻生太郎財務大臣に手渡されました。

その建議の中では、

「令和時代は、将来世代への付け回しに歯止めをかける時代にしなければならない」として財政再建の重要性を強調し、ことし10月に消費税率10%への引き上げを予定どおり行うよう求めています。

出典:「消費増税 予定どおり10月に」財政審 提言(NHK 2019年6月19日 20時27分)

とのことです。

この中でも出てくる「将来世代」は、政府がしばしば財政再建や消費増税の必要性を説くときに言及されますが、実は具体的にはどの世代を指すのかあいまいな概念です。文字通り未だ生まれていない世代のことなのでしょうか?それとも選挙権を有していない若い世代のことを指すのでしょうか?

本記事では、世代会計の手法を使うことで、消費増税を予定通り実施することで付け回しが止む世代を将来世代としたいと思います。そのため、(1)2019年10月に予定されている消費税率10%への引き上げを止め8%のまま維持するケース、(2)2019年10月に予定通り消費税率を10%に引き上げるケースを試算してみました。

表1 消費税ケース(筆者試算)
表1 消費税ケース(筆者試算)

表1を見ると、消費増税によって負担の先送りがなくなっている世代は現時点で未だ生まれていない世代のみであることがわかります。つまり、財政審が言及している将来世代はこの世代ということになります。

0歳以上の現時点で生きている世代の追加的な負担増加を見ると、確かに消費増税によってすべての現在世代の負担は増えていますが、よーく見ると、若い世代ほど人生の残りの期間が長いのでそれだけ消費税の追加的な負担額も大きくなっていることが分かります。

実は、消費増税は、若者世代向けの追加的な支出増がない限り、0歳以上の現在生きている世代の間の世代間格差を拡大させるのです。

マイルドシルバー民主主義ともいえるかもしれません。

次に、比較ケースとして、(3)年金給付額を削減するケースを考えてみます。この場合は、消費増税分に相当する額を年金給付から削減することにします。

表2 年金給付削減ケース
表2 年金給付削減ケース

表2を見ると、先ほどと同様、負担の先送りがなくなっている世代は現時点で未だ生まれていない世代のみで、すべての0歳以上の現在世代の負担(マイナスの受益)は増えています。

ただし、20歳以上の世代では消費増税の時より、追加的な負担が少なくなっていること、25歳以上の世代では追加的な負担が消費増税の時より大きくなっていること、が確認できます。特に、30歳から55歳世代との格差が縮小していることもわかります。

このことから、将来世代との世代間格差だけではなく現在世代内での世代間格差を是正しようとすれば、消費増税よりも年金給付削減のほうが効果的であることが分かります。

ただし、年金給付の削減には、高齢世代が大反対するでしょうし、高齢世代の意向を忖度する政治がシルバー民主主義を恐れて及び腰となるでしょう。

さらに、ただでさえ、現状でも貧困高齢者が増えているわけで、さらには、氷河期世代を中心とした非正規雇用の方々が高齢化した場合のことを考えれば、年金を削減すれば生活ができなくなってしまうか、生活保護受給世帯が増え、別の問題が生じることになってしまう弊害もあることに留意が必要でしょう。

まぁ、ホリエモンさんとラサール石井さんのやり取り(?)の中で、税金泥棒というワードが飛び交っています。

ラサール氏は堀江氏のツイートを引用し「なんだ、こいつ。てめえなんか全然頭よくないからな。キチンと納税してちゃんと社会保障を受けている国は泥棒集団てこと?給付より税金多く払わなきゃ泥棒呼ばわり?ひでえ話だな」とつづった。

出典:ラサール石井、ホリエモンに「なんだ、こいつ。てめえなんか全然頭よくないからな」年金デモ「税金泥棒」ツイートに(スポーツ報知 2019年6月19日 18時10分)

しかし、世代会計の結果からも明らかのように、我々の世代は未出生の将来世代から彼ら彼女らの許諾を得ずに勝手にその税金を使っているわけですから、我々こそ将来世代から見れば税金泥棒だといえるでしょう。消費増税もそのお金を返すと思えば、増税しないよりは増税したほうが良いといるかもしれません。

蛇足ではありますが、消費増税を拒否したうえで、年金増額を主張する野党をはじめとする方々は、将来世代の犠牲をどのようにお考えなのか、ご意見賜りたいものです。