家計のデータ分析:かに編-高齢世代がカニ消費をけん引-

(ペイレスイメージズ/アフロ)

少子化が進むカニの世界

ズワイガニの少子化が報じられています。

今年は昨年並みの水揚げが期待できるものの、来年以降、資源量が減り、3年後には今年の2分の1程度まで激減すると予測する。

出典:ズワイガニも少子化? 日本海水揚げ、3年後半減の予測(朝日新聞(2018.11.06))

本記事では、例のごとく総務省統計局「家計調査」を使って、日本の平均的な世帯のカニ消費の実態を探ってみたいと思います。

長期的に減少しているカニの漁獲量

カニの漁獲量の推移を農林水産省「海面漁業生産統計調査」によりみると、1968年の11.8万トンをピークに、83~85年の10万トンを第二のピークとして、傾向的に減少を続け、2017年では2.5万トンとなっています(図1)。

図1 カニ漁獲量の推移
図1 カニ漁獲量の推移

カニの月別支出額

カニへの月別支出額を見たのが図2です。

図2 月別カニ消費額
図2 月別カニ消費額

図2によれば、1年を通して最もカニへの支出額が多いのは12月の1050円強で最も少ないの6月の16円に比べて約66倍となっていまして、確かに、カニが冬の食べ物であることが裏付けられます。

ただし、12月は他の月に比べてそもそも食費が多いので、それに合わせてカニへの支出額も大きくなっている可能性も考えられます。

そこで、食費に占めるカニへの支出額の割合を見ると、12月が最高で、6月が最低となっていますので、やはり、カニは冬の食べ物であることが分かります(まぁ、解禁日からして当然ですが...)。

カニの支出額は減少している

カニへの世帯当たり及び世帯一人当たり支出額を見たのが図3です。

図3 カニ支出額の推移
図3 カニ支出額の推移

図3によれば、一世帯当たりでも、世帯一人当たりで見ても、食費に占める割合で見ても、消費に占める割合で見ても、1997年を直近のピークとして減少傾向にあるものの、近年下げ止まっているようにも見えます。

都道府県ランキング

都道府県別のカニへの支出額を見たのが図4です。

図4 都道府県別カニ消費金額
図4 都道府県別カニ消費金額

図4によれば、カニへの消費金額では鳥取県が年間1815円の支出で全国トップ、2位福井県、3位石川県といずれも日本のカニの有数の産地(松葉ガニ、越前ガニ)が並び、沖縄県が114円の支出額で全国ワーストであることが分かります。

ところが、図5で世帯当たりの消費量(単位:グラム)で見ると、全国トップは鳥取県であることには変わりないのですが、2位に茨城県が入っているのが分かります。まったくもって謎です。

図5 都道府県別カニ消費量
図5 都道府県別カニ消費量

ちなみに、筆者の出身地である富山県もベニズワイガニの産地であるはずなのですが、なぜか消費金額でも消費量でも下位に沈んでいますが、これも謎です...。

カニへの支出はお年寄り世帯が多い

図6によれば、高齢世帯ほどカニへの支出が大きく、世代別で見ますと、カニを好むのはお年寄りのようです。

図6 世代別カニ消費
図6 世代別カニ消費

カニはカネ持ちの食べ物!

所得階層別にカニへの支出額を見たものが図7です。

図7 所得階層別カニ消費
図7 所得階層別カニ消費

図7によれば、高所得層ほどカニへの支出額が多いことが分かります。したがって、カニはお金持ちの食べ物だった!と、まぁ、当然予想された結果をなぞっていると言えそうですが、お金持ちは総じて様々な項目への支出額が多くなるのは当然ですので、食費に占める割合で見てみますと、面白いことにM字型(カニ型!?)となっていることが確認できます。

まぁ、お金持ちの皆様はカニにこだわらずとも、お金に物を言わせて美味しいものは何でも食べられるからそれも当然かもしれませんね。

カニ消費額は2017年で1,520億円!

最後に、日本全体でのカニ消費額を推計し、その推移を見ると、1978年の960億円から出発し、1997年の2,510億円と推計期間中のピークを付けて以降は減少し、昨年の2017年には1,520億円とバブル頃の水準となっています(図8)。

図8 マクロのカニ消費金額
図8 マクロのカニ消費金額

蛇足ですが、うなぎもカニもGDPも1997年あたりが日本のピークだったように思えてなりませんね・・・。

まとめといたしましては、カニがうなぎの二の舞になるかは現時点では不明です。いずれにしても、カニの資源量には気を配りつつ、そろそろ忘年会シーズンも始まりますので、カニの少子化に花を咲かせながらカニを食すというのもいかがでしょうか?(矛盾)。

まぁ、メイン料理をカニにすると、大方食べるのに夢中になってみな無言になりますので、話をするのも嫌な上司や同僚と同席せざるを得ない場合にはカニが重宝するのではないかと思います。