国民民主党玉木新代表ご提案の「コドモノミクス」を勝手に検証してみた

(写真:アフロ)

玉木雄一郎国民民主党代表が「コドモノミクス」を提案

 昨日(9月4日)、国民民主党代表に再選した玉木雄一郎代表は、第3子に1000万円を給付する「コドモノミクス」を提案しています。

第3子以降の子どもに、1人あたり1000万円の大胆な経済支援を提案します。

この政策は、子どもへの投資で経済を元気にする「コドモノミクス」です。

出典:たまき雄一郎ブログ

 国民民主党は、現状、支持率が低迷し、党勢も盛んとはいっていないですが、政権の座に就くことがあれば、当然代表が主唱するコドモノミクスも実現されるわけですから、本記事では、玉木氏ご提案のコドモノミクスを勝手に検証してみたいと思います。

コドモノミクスの費用は1.6兆円

 玉木氏の試算によれば、コドモノミクスに要する費用は、当面1.6兆円~1.7兆円とのことです。今年度予算における少子化対策関連予算総額が4.6兆円なのでその4割弱に相当するわけですから、コドモノミクスはかなり大胆な若者向けの提案と言えるでしょう。

 しかも、必要予算額から考えますと、玉木氏は、コドモノミクスの効果によって+16万人から+17万人の出生数の増加を見込んでおられるようですので、2017年の出生数が94万6060人であることを勘案しますと、出生数が+17%~+18%上振れする計算となります。ただし、根拠が不明なのは気になりますが、ここでは気にしないことにします(゜ε゜)キニシナイ!!

 確かに、以上の効果を前提にすれば、玉木氏が「40年間、日本が解決できなかった人口減少問題に対する具体的な解決策」と胸を張って仰られるのも頷けます。もちろん、コドモノミクスの効果が玉木氏の想定通りならばではありますが...。

日本の少子化の原因は第1子にある

 しかし、コドモノミクスが整合的で効果のある施策であると言えるのは、玉木氏の認識通り、日本の少子化の原因が第3子の出生数減少にある場合です。

 なぜなら、第1子目すら持てない夫婦、あるいは第1子はいるけど第2子目を持てない夫婦に対してではなく、特に第3子の出生数に焦点を当てた大胆な施策を行う訳ですから、玉木氏の少子化に関する問題意識は、既に2人の子を持つ夫婦が経済的な理由(養育費・教育費負担)から第3子目を持てないことこそが少子化の根本原因であると認識していなければ、問題意識と施策内容は整合的とは言えないからです。

 先ほどの玉木氏のブログ記事には、ハッキリ

第3子を持ちたくても、経済的理由で諦めている多くの夫婦に対して、希望する家族の形の実現を応援する、選択肢を増やす政策です。

出典:たまき雄一郎ブログ

と書かれていますので、玉木氏は日本の少子化の根本原因は第3子の出生数減少にあり、したがって第3子の出生数を増やせれば日本の少子化は解決できると認識されているとみて間違いなさそうです。

 では、日本の少子化の原因は本当に第3子の出生数が減少していることにあるのでしょうか?

表1 出生順位別出生数の推移
表1 出生順位別出生数の推移

 表1は出生順位別出生数の推移を見たものです。この表によりますと、2014年(平成26年)から2017年(平成29年)にかけては出生数が▲57,479人減少し、そのうち第1子▲34,939人減少、第2子▲15,931人減少、第3子以上▲6,609人減少となっていまして、出生数の減少への寄与は第1子60.8%、第2子27.7%、第3子以上11.5%の内訳ですから、そもそも日本の少子化の根本原因は、第3子の出生数減少にあるわけではなく第1子の出生数の減少にあることが確認できます。つまり、玉木氏の認識も施策もまったくエビデンスに基づいていないと言えるでしょう。

 実際、2014年から2015年にかけて出生数は増加した訳ですが、このときは第1子の出生数の増加がけん引し、しかも第2子以上は逆に減少と足を引っ張っていることが分かります。

 そもそも、国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査」を見ますと、夫婦の平均理想子ども数と平均予定子ども数はそれぞれ2.32人、2.01人と理想と現実は完全には一致していないものの、日本で多数派を形成する2子理想型夫婦は第3子以上を望んでいるわけではないことも分かります。

第1子を増やすという困難にこそ立ち向かえ

 繰り返しになりますが、日本の少子化を止めたければ、第1子の出生数を増やす施策を行う必要があるのです。若者の貧困化、雇用環境の不安定化等々、子どもを持つどころかそもそも結婚すらままならない世の中にあって、そのあたりをすべてすっ飛ばして、いきなり第3子の出生数に焦点を当てた施策を提案するのは、若者の貧困化という現実が見えていないか、若者の雇用環境の改善・所得の向上という困難な現状に立ち向かう気がさらさらないかのどちらかと疑念を持たれても仕方ないことになるのではないでしょうか?

 さらに穿った見方をすれば、第3子以上を望む(けれども実現できていない)夫婦には、すでに結婚し二人の子どもを持てるだけの経済的能力があるわけです。こうした方々に限界的なコストに見合ったお金を渡すことで確かに出生数は増えるかもしれませんが、それでは第1子すら持てない低所得層を見捨てることになってしまうのではないでしょうか(表2)。

表2 職業別子どもの数
表2 職業別子どもの数

 表2によれば、大企業に勤める労働者(と重役)ほど子どもを多く持っているのが分かります。大企業に勤めている方ほど所得も高く、雇用環境も良いことが多いので、所得が高いほど子どもの数も多いと言っても差し支えないと思われます。

 敢えて言えば、コドモノミクスは子どもの持てない夫婦の負担ですでに子供を有する夫婦に補助をする逆所得再分配であり、国民が望むのは、玉木流コドモノミクスという欺瞞ではなく、このままでは子どもを持ちたいのに持てない夫婦、子どもを持つことを断念せざるを得ない夫婦に対する雇用環境の改善・所得の向上など王道的施策なのではないでしょうか?

 もしくは、少子化対策であれば、外国はいざ知らず、日本の場合、第1子にこそ1000万円を支給すべきなのではないかと普通考えそうですが、そうならないのは必要予算額が莫大になってしまうという打算もあるのでしょうか?そうだとすれば政治主導とか虚しく響きますね。

 どうでもよい相変わらずの最後の蛇足なのですが、「こども国債」といい「コドモノミクス」といい、ネーミングよりも内容に凝ってほしいと思うのはない物ねだりでしょうか...?