若者の投票率はホントに低いのだろうか?

猪瀬直樹前東京都知事の辞職を受けた都知事選が今日告示されました。

東京都選挙管理委員会によれば、有権者数は10,820,567人で、前回と比べ58,761人増とのこと。

前回の投票率は62.60%と前々回の57.80%に比べると高くなっています。ちなみに、新人だけの選挙のほうが投票率が高くなる傾向にあります。区市町村別の投票率を見ると、最高は利島村の89.73%、最低は瑞穂町の55.90%です。

さらに、年代別投票率を見ると、

21歳~24歳(43.59%)が最も低く、年齢層が上がるとともに、高くなっており、65歳~69歳(77.54%)で最も高くなり、70歳代以上(67.63%)では低下している。

出典:平成24年12月16日衆議院議員選挙及び東京都知事選挙調査結果の概要(東京都選挙管理委員会)

とのこと。概して、どの選挙でも、若いほど投票率が低く年齢の上昇とともに投票率は高くなり65~69歳でピークを付け、それ以降は低下する傾向にありますので、都知事選挙とはいえ、例外ではないようです。

東京都知事選における年代別投票率(出典:東京都選挙管理委員会)
東京都知事選における年代別投票率(出典:東京都選挙管理委員会)

興味深いことに、選挙が行われた年にかかわらずいずれの年においても、選挙権を得たばかりと思われる20歳では他の若い世代の投票率よりも高くなっている事がわかります。どうしてこの高い投票率がその後も続かないのか大変興味があります。

さて、選挙が実施される度に、若い世代の低投票率が問題にされるわけでして、実際、上の都知事選の投票率のグラフを見てもそうなのですが、若い世代の低投票率は最近の若者の特徴なのでしょうか?最近の若者だけ投票率が低いのであれば、「最近の若者は云々」という批判は正鵠を射ていると言えましょう。実際のところどうなのでしょう?

ここでは、ちょっとした制約から都知事選ではなく衆院選のデータを使って見てみることとします(ちなみに、年齢別の投票率は都知事選、都議会選、国政選挙にかかわらずほぼ同じ動きを示しています)。

衆院選年齢別投票率その1
衆院選年齢別投票率その1
衆院選年齢別投票率その2
衆院選年齢別投票率その2

上の2枚のグラフから以下のことがわかります。

  1. どの時点でも若い世代ほど投票率は低い
  2. 年齢が上がれば投票率も上がる
  3. 多くの世代で投票率は1993年を契機に低下した
  4. 過去に行われた選挙ほど投票率が高い

結局、程度の差はあれども、現在若い世代の投票率が低いと言って叩いてる世代も若かった頃は実は上の世代に比べると投票率は低かったわけです。つまり、最近の若者だけが急に投票に行かなくなったわけではないのです。

これはよーく考えてみれば、政治に関心をもつためにはある程度の社会経験が必要であるということを意味しているに過ぎないと思います。社会経験を積めば、自分なりの問題意識が出来上がって投票に行く、ということではないでしょうか?

社会とつながるのは多くにとっては就職後ですから、昔に比べて、高校大学進学率が上昇しているわけですから、若い世代の投票率が低いからといって、昔の若者が今の若者を叩く構図は明らかにおかしいと思いますね。

横道にそれますが、1993年で各年代とも大きく投票率を下げているのですが、この年の衆院選の結果、いわゆる55年体制が崩壊し、非自民政権の首班として今回の都知事選の候補者のお一人である細川護煕氏が首相となられました。それ以降、若い世代の投票率がなかなか元の水準にまで戻ってこないというのも面白いですね。閑話休題。

ただし、少子化、高齢化の進行によって人口ピラミッドが崩壊しつつある中で、今の若者世代が昔の若者世代と同じように低い投票率であっても問題ないかと問われればそれはそれでシルバー民主主義問題があるわけで、自分たちの声を高齢者にかき消されないためにも、若者の投票率を上げないといけないとは思います。

そういう点では、Yahoo個人ニュースの寄稿者の一人である原田謙介氏が東大在学時に立ち上げた20代の投票率の向上を目指して活動している学生団体ivoteさんの活動に期待したいと思っております。

特に、シルバー民主主義の弊害で言えば、さっそく75歳以上の医療費無料化を打ち出す候補者がいらっしゃるわけですから、若い世代にはがんばってもらいたいですね。

だいたい、東京都の75歳以上人口は2010年現在(国勢調査)123.4万人いらっしゃって2040年には213.9万人と1.7倍になる一方、20-64歳人口は844.2万人から671.4万人と逆に20%程度減少するのですから、75歳以上の医療無料化は将来の若い世代の追加的な負担となることは確実です。都の財政は豊かだ豊かだとよく言われておりますが、今余裕があるのと将来にも余裕があるのとでは月とすっぽんほどの違いがありますね。

原発が争点化されつつあるとのことですが、東京都が抱える問題は多岐にわたります。慶應義塾大学教授の土居丈朗先生の記事を参考にして、投票に出かけてほしいと思います。

それにしても、氷河期世代とかゆとり世代とかさとり世代とか、いずれも好き好んでそうなったわけではない若者の代弁者は今回の立候補者の中にはいるのでしょうか?しっかり見極めようではありませんか。