昨年の東京五輪、世界選手権に出場した喜田純鈴選手は、今年、大学4年生。2024年のパリ五輪を目指すには微妙な年齢ということもあり、去就が注目されていたが、「東京五輪出場」という呪縛から解放された今シーズンの喜田選手は、新境地を切り拓いている。

今年からルールも刷新され、昨年までの「技を多く入れたほうが勝ち」というルールから表現力、芸術性の比重が上がったため、年齢と経験を重ねてきた喜田選手の演技は、このところ「本領発揮」という感がある。

今回のアジア新体操選手権の個人総合では、4種目ともほぼノーミスでまとめ、堂々の銀メダルを獲得。

フープでは壮大な曲に負けないダイナミックさと重厚さを、ボールでは妖艶な美しさやなまめかしさを、クラブではクールなかっこよさを見せ、どの種目でも少々のの狂いがあってもさらりとカバーする巧みさ、演技の流暢さは際立っていた。

とくにそれが顕著だったのが最終種目となったリボンだ。喜田選手は、今シーズンほとんどの曲と演技構成を変えているが、このリボンだけは昨年と同じ「リベルタンゴ」を使用(構成には変更はある)。体に馴染んだ曲だということもあるのだろうが、昨年の演技よりもおそらくやや技を減らし、表現(踊り)の部分に注力したこの作品での喜田選手は、昨年とは別人のように生き生きとして見える。

地元開催の五輪、世界選手権というプレッシャー、またその五輪への出場権がとれるか否かという厳しい戦いの中で見たこの作品からは、喜田選手の苦悩が感じ取れた。苦しみながらも新体操から離れられない、その業が伝ってきた。

ところが、今年は、同じリベルタンゴでありながら、曲名そのままに「自由のタンゴ」に聴こえるし、見えるのだ。

新体操選手だった両親の元に生まれ、溢れる才能をもっていたため、おそらく物心がついたころから「五輪出場」が宿命だっただろう喜田選手は、その使命を果たし、今やっと自分のための新体操を手に入れたように見える。もちろん、自分のためだけではなく、後進のため、今まで支えてくれた人たちのため、でもあると思うが、そこには1年前のような重苦しさはない。

だから、今まで以上に喜田純鈴の演技は大きく、ダイナミックで流れる水のようだ。それでいて瞬間瞬間が煌めいている。こんなに表情豊かに演技する喜田選手を長いこと見ていなかったような気がする。それほど、今の喜田選手の演技はいい。

アジア新体操選手権はライブ配信されており、アーカイブも残っている。6月25日の分は、以下にあるが、ジュニア個人、団体なども入っているので9時間以上とかなり長いが、喜田選手のリボンは8:27:30あたりから。これはぜひ見てほしい。

また、本日26日もライブ配信が予定されており、個人種目別決勝、団体種目別決勝がある。こちらにも注目したい。