【新体操】喜田純鈴が吹っ切れた演技でボール24.600をマーク!~W杯バクー大会

24.600のハイスコアをマークした喜田純鈴(写真は2019全日本選手権のもの)

水泳の池江璃花子選手に対して、「五輪代表を辞退してほしい」というメッセージが届いているという。

今の日本の状況を考えれば、「五輪は中止したほうがいい」と考える人が増えるのは致し方ないとは思うが、その後押しとして「アスリート自身も五輪に対して前向きではない」ということを示してほしいという考えからだろう。しかし、それを池江選手をはじめ五輪出場が内定している選手やそこを目指して、今なお努力を続けている選手に求めるのはあまりにも酷だと思う。

新体操も例外ではない。すでに日本代表として五輪への出場が決まっている代表団体「フェアリージャパンPOLA」も、日に日に高難度かしていく世界のレベルに置いていかれまいと、「2~3秒に1回技を入れ込む」というハイレベルな演技に挑戦し続けている。

そして、個人は、今なお、1枠か2枠かすら決まらない中で、特別強化指定選手の3人(皆川夏穂、喜田純鈴、大岩千未来)がしのぎを削っている。

彼女たちが努力し続けることに対して、誰が「このコロナ禍になにやってるんだ」と言えるだろうか。まだ中止が決まったわけではない以上、開催を信じて全力で準備し続けるしかないのだ。ギリギリまで、より長く、努力を続け、開催を信じ続ければ、万が一「中止」になったときの、喪失感はどんなにか大きいだろうと思う。が、それ以外に道はない。

2020年に予定通り、東京五輪が開催されたとしたら、日本の個人代表は誰になっていたか。大本命は、リオ五輪でも代表だった皆川夏穂だったと思う。2019年の世界選手権で個人総合13位となり、日本の個人枠獲得に貢献しており、皆川が代表になる分には文句なし、だったろうと思う。が、2019年の世界選手権後、脚の故障が深刻化していた。世界選手権後は大会出場も抑え、コンディションを調整していたようだが、その回復が本番に間に合えば、ということだったろう。

皆川の回復が思わしくなった場合は、2019年世界選手権でも個人総合19位と前年の23位から順位を上げ、伸び盛りだった大岩が代表ということもあり得たかと思う。

もう一人の代表候補・喜田純鈴は、2018~2019と不振に陥っており、やや後れをとっていた。2019年の世界選手権にも2種目のみの出場。「東京五輪代表」には、3人の中でもっとも遠い存在になりかけていた。

しかし、東京五輪の延期が決まり、準備期間が1年延びたことにより、喜田は着実に復活してきた。昨年の全日本選手権での演技も、ここ数年どこか引きずっていた重圧感、焦燥感から抜け出つつあることが感じられる堂々たるものだった。

そして、今回。

5月7日からアゼルバイジャン・バクーで開催されているW杯バクー大会1日目で、喜田は見事な演技を見せた。1種目目ボールでは、フロアに入ってくる雰囲気から違っていた。なにか吹っ切れたような堂々とした空気をまとい、挑むような表情が見られ、動き始めると動きが大きく、十分に体を引っ張り、手具を遠くで扱うスケール感のある演技を見せ、ノーミス。24.600という高得点をマークした。

ボールの演技をする喜田純鈴(2019年全日本選手権)
ボールの演技をする喜田純鈴(2019年全日本選手権)

2種目目のフープも、大きなミスはなかったように見えたが、ボールに比べると多少減点が多かったのか21.450。ボールの得点には及ばなかったが、エネルギーが感じられる好演技だった。

2種目での全体順位は14位。トップ選手たちはよい種目では25点超えというハイレベルな大会だが、わずかなミスで大きく点数が上下する現在の新体操では、粘ればまだ順位は上がっていく可能性はおおいにある。

後半種目は、本日、日本時間の19時30分~から行われる。大岩選手も2種目とも大きなミスなくまとめ、21位につけている。

あるかどうかわからない東京五輪に向けて、懸命に努力を続ける選手たちの健闘を祈りたい。

※W杯バクー大会のライブリザルトはこちら。

<写真提供:清水綾子>