【新体操】男子だけじゃない! 女子の新体操もこんなに素敵&スリリング!~2019年全日本TOP10①

2019年全日本選手権女子6~10位の選手たち

CS放送のスカイAが4月19~20日の2日間、2019年の全日本新体操選手権の女子TOP10選手の演技を4種目とも放送する。

1年以上も前の大会の放送をなぜ今? と思われそうだが、これは本来なら1年前に放送されるはずだったものだが、放送直前に新型コロナ感染拡大による緊急事態宣言が出されスタジオ収録ができなくなったため、危うくお蔵入りしかけていたのだ。

第72回全日本新体操選手権の全選手の演技は、すでに放送されていたのだが、例年、上位10選手に関しては、4種目とも完全放送する「RG新体操の星」は、多く支持を集めていた。それが放送されないまま終わるのは、やりきれない! という視聴者からの声も多く届いていたため、今回の放送となったそうだ。

「1年以上前の大会でも放送してほしい」

そう思うファンが多かったのもうなずける。第72回大会は、男女とも稀に見るハイレベルな戦いだった。

今日から放送される女子は、「97年組」と呼ばれていたこの年の大学4年生に実力、魅力を兼ね備えた選手が多かった。これらの選手は「大学卒業後は現役引退」を表明しており、この大会が最後の舞台となった。

現在の新体操のルールは、過去最高に手具操作を入れ込むことが要求されており、上位選手となれば、休む隙なく手具操作を行っている。その分、どうしても表現の部分が希薄になり、「今の新体操は面白くない。芸術的ではない」と評する人も少なくない。が、技術という面では、ひと昔前の選手とは比べ物にならないくらいのレベルにある、そうならざるを得ないのが現在の苛酷なルールなのだ。

そんなルールのもとでも、「表現」を見せることができていたのが、この年の上位選手たちだ。とくに「97年組」の選手たちは、どんなに手具操作が忙しく、演技の難易度が上がっても「伝えること」を諦めない演技を最後までしてくれた。

このところアニメ人気もあり、男子新体操への注目度が上がってきている。たしかに男子新体操は素敵だ。個人競技は、ルール的にも女子に比べれば、表現の入る隙もまだあり、女子の指導者の中にも「男子くらいの手具操作の比率だと表現の余地がある」と言う人もいる。それでも、女子にも、この苛酷なルールに食らいつき、膨大な練習を重ね、「表現」へと昇華させている選手たちがいる。

2019年全日本選手権TOP10選手の全演技が放送される「RG新体操の星」で、新体操という競技の魅力をぜひ堪能してほしい。

本日(4月19日)は、女子個人総合6~10位の選手たちの演技が放送される。

           2019女子個人総合10位:石井向陽(安達新体操クラブ/立教大学)
           2019女子個人総合10位:石井向陽(安達新体操クラブ/立教大学)

 このときまだ大学1年生だった石井選手は、現在も現役。ジュニア時代からパワフルで技術力も高く、どちらかというと技術先行型の選手という印象だったが、シニア(15歳以上)になったころから、表現力がぐっと増してきた。今では高い技術と表現力の両方を兼ね備えた選手となっている。

           2019女子個人総合9位:清澤毬乃(日本女子体育大学)
           2019女子個人総合9位:清澤毬乃(日本女子体育大学)

 この年は9位だった清澤選手は、翌2020年には全日本選手権3位まで順位を上げた。ジュニア時代から線の美しさでは定評のあった選手だが、器用性には恵まれたほうではなく現在のルールでは苦労も多いように見えていたが、学生最後の2年間でぐっと安定感を増し、押しも押されぬトップ選手となった。常に美しい脚のライン、かかとの高さがお手本のような選手だ。2021年3月に大学は卒業したが、2021年4月1日に発表された2021新体操強化選手にも選出されているので、現役を続けるようだ。

               2019個人総合8位:山田愛乃(イオン)
               2019個人総合8位:山田愛乃(イオン)

 2019年のインターハイチャンピオンでもある山田選手は、この年、のりにのっていた。それだけに高校最後の年となった2020年がコロナ禍によりほとんどの大会がなくなったことは大きな痛手だったろうと思う。2019年の上位選手が大量に抜けたにもかかわらず、2020年の全日本選手権では個人総合8位と成績も停滞してしまったことからも、そのダメージは想像できる。本来の力を発揮できれば、2024年パリ五輪も視野に入ってくる大器。ダイナミックでチャーミングな演技は、魅力にあふれている。

             2019女子個人総合7位:古井里奈(国士舘大学)
             2019女子個人総合7位:古井里奈(国士舘大学)

 チャイルド~ジュニア~シニアと、長く日本のトップレベルにい続けながら、常に「新体操が楽しい!」ということが伝わる演技を見せ続けてくれた選手。慌ただしいという批判も多い現在のルールだが、そんなルールにもっとも対応できていた選手とも言える。現在は、母校である名古屋女子大学高校で教職につき、後進の指導にあたっている。次から次へと繰り出される技の数々とくるくると変わる表情の豊かさにぜひ注目してほしい。

        2019女子個人総合6位:桜井華子(エンジェルRGカガワ日中/環太平洋大学)
        2019女子個人総合6位:桜井華子(エンジェルRGカガワ日中/環太平洋大学)

 東京五輪の代表候補・喜田純鈴選手を輩出したエンジェルRGカガワ日中に所属し、喜田選手を育て上げた劉コーチの厳しい指導にもめげず、食らいつき、シニアになってからぐんぐんと頭角を現してきた選手。やや背伸びした高い理想を掲げた演技構成を、経験と年月を重ねることでモノにし、自身の表現にまで高めた「根性のかたまり」のような選手。現役最後の年の演技は、どれも素晴らしく、努力でここまで人はやれるんだ!  と教えてくれる。

 明日(4月20日)は、女子個人総合1~5位の選手が放送される。女子新体操は「美しさ、華麗さ」を推されることが多いが、今の女子の新体操の見どころはそれ以上に「技術の高さ」だ。人間技とは思えないスーパーテクニック。そして、その上に表現までのせてこれるのが上位選手たちだ。

ぜひ、女子選手たちのスーパーパフォーマンスを堪能してほしい。

※「スカイA」新体操放送の情報はこちら

<写真提供:清水綾子>