【新体操】東京五輪に向けて始動!~国際大会への選手派遣を日本体操協会が発表

ちょうど1年前。新型コロナの感染拡大により、新体操も国際大会への派遣が一切なくなり、東京五輪の代表選考もまったく先が読めなくなった。が、ここにきてやっと国際大会への選手派遣が発表された。

まず、3月26~28日にブルガリアで開催される「新体操W杯ソフィア大会」には、喜田純鈴(エンジェルRGカガワ日中/国士舘大学)と大岩千未来(イオン/国士舘大学)が派遣される。

喜田は、昨年も全日本選手権に出場し、3連覇を達成している現在の全日本女王。一時期は故障もあり、調子を落としていたが、東京五輪が延期になり思いがけず得ることになった1年という日々を、非常によい形に生かしてきた選手だ。昨年11月の全日本選手権での演技は、大きな壁をひとつ突き破ったような清々しさ、たくましさを感じさせる演技で、「東京五輪」への距離がぐっと縮まったように感じられた。

喜田純鈴(エンジェルRGカガワ日中/国士舘大学)※2020年全日本選手権
喜田純鈴(エンジェルRGカガワ日中/国士舘大学)※2020年全日本選手権

大岩は、昨年1年間、まったく演技を見る機会がなかった。東京五輪の延期や練習の自粛、長期合宿中だったロシアにも行けず、大きな変化に戸惑った1年だったのではないかと想像する。2018~2019年と昇り調子だった時期に襲われたこれらの変化が、果たしてどう影響しているだろうか。今年になってから所属するイオンでの演技会で演技披露をしたという情報は入ってきていた。伸び盛りの1年を有効に使い、さらなる飛躍を見せてくれていることを期待したい。

大岩千未来(イオン/国士舘大学)※2019年全日本ジュニアでのエキシビション
大岩千未来(イオン/国士舘大学)※2019年全日本ジュニアでのエキシビション

4月16~18日には、ウズベキスタンで開催される「新体操W杯タシケント大会」に、リオ五輪での日本代表選手・皆川夏穂(イオン)が派遣される。

皆川は、2019年の世界選手権後、脚の故障でイオンカップも欠場、2019年末に福岡で行われたフェアリージャパンPOLAの公開練習では、姿を見せ、東京五輪用の演技も披露したがまだ本調子ではなく、難度を抜くなど調整しながらの演技だった。本来なら、2020年春に行われるはずだった代表選考レースに向けて若干の不安も抱えた状態ではなかったかと思う。

が、一方で2019年末に福岡の公開練習で見た皆川の演技は、まさに「集大成」と呼ぶにふさわしい円熟味のある演技だった。脚の故障さえ癒えれば、やはり代表選考は皆川が一歩リードか、と思わせるものはたしかにあったのだ

2020年12月のトークショーでの皆川夏穂(イオン)
2020年12月のトークショーでの皆川夏穂(イオン)

しかし、五輪は延期。

年齢だけを見れば、皆川にとってはこの延期は不利なようにも思える。

が、五輪が延期になったことに関して、皆川からネガティブなコメントはまったく出てこなかった。取材を受けたときだけでなく、練習場での言動でも一切なかったと聞く。ただ粛々といつもと変わりなく、日々の練習を続けてきた。

脚の故障からの回復を考えれば五輪の延期はラッキーとも言える。そうできるかどうかは自分の取り組み方次第だと、このオリンピアンは知っていた。

皆川の演技を見ることは一度もなかった2020年だったが、12月に宮崎で行われたトークショーでは元気な姿を見ることができた。

東京五輪に向けての強い思いも、その場で語った皆川。

2021年の東京で「二度目の五輪」を迎えることができるかどうか。正念場の戦いがやっと始まろうとしている。

今回派遣が発表されたW杯シリーズでの結果で即代表決定となるわけではない。

が、1年延期で混沌となった代表選考において大きな意味をもつ大会になることは間違いない。それぞれの選手が、2020年というかつてない苦難の日々をどう過ごしてきたか、が問われるとも言える。

まずは、大会が無事開催され、選手たちがそこで演技できることを祈りたい。

2020年全日本選手権エキシビションで演技披露をするフェアリージャパンPOLA
2020年全日本選手権エキシビションで演技披露をするフェアリージャパンPOLA

また、日本代表団体「フェアリージャパンPOLA」も、W杯ソフィア、タシケントの両大会への派遣が予定されている。フェアリージャパンPOLAは、昨年11月の全日本選手権でエキシビションで演技披露を行い、五輪が延期になって手に入れた時間をしっかり進化に繋げることができたことを証明して見せている。2020年1月に骨折をし五輪出場に黄色信号がついていた松原選手も鮮やかに復活しており、東京五輪での活躍が期待できる仕上がり具合だった。が、あれから3か月が過ぎた。

つい先日行われたモスクワグランプリでは、ロシアの団体がフープ&クラブで37.800をマークするなど、この夏の五輪に向けてライバル国も着実に力をつけてきていることもわかっている。

これらの強豪たちに対して、一歩も退かぬ演技で対抗できるかどうか。

フェアリージャパンPOLAも、やっと訪れた勝負の場に向けて、おおいに意気込んでいるはずだ。期待したい。

<写真提供:清水綾子>※トークショーの皆川選手のみ筆者