昨年12月24日、代々木第二体育館にて行われた「東京女子体育大学新体操部研究発表会」は、新型コロナの感染者数が日増しに増えていく中で、まさにギリギリの選択で開催された。例年ならチケットも早々に完売し、満員御礼となる発表会だが、今年は観客数も抑えてあった。が、それでも観客を入れてはあった。

今年度は全日本インカレ、全日本選手権など主要大会も10~11月に延期されたうえ、無観客での開催がやっとだった。それなのに、観客を入れての発表会の開催、それも感染者数が増加傾向にある中でというのは、かなり風当たりが強かっただろうことは想像に難くない。

が、それでも。

いや、そんな2020年だったからこそ、東京女子体育大学はこの発表会をやり切りたかったんだな、とそのパフォーマンスを見て感じた。

たくさんの部員たちが一か所に集まって、ノーミスを目指して何回も繰り返し練習する。

今までの発表会なら当たり前だったそんな時間はことごとく削られてきた。

それならば、例年よりも「少ない練習でできる内容」にするのが普通だろうと思う。少ない練習でもできるものを、よりよく見せる工夫を凝らすことはきっとできたはずだ。

ところが、この発表会で披露された作品の数々(とくに手具を使って行う集団演技)は、とうてい「少ない練習でもできるもの」ではなかった。まるで新型コロナによる練習自粛や制限などなかったもののように、まるで1年間ずっとかけて作り上げてきた作品であるかのように、挑戦に挑戦を重ねる、この状況下では「ちょっと無茶!」な作品だった。

リハーサルと本番合わせて4回、通しを見たが、さすがに完璧なノーミスはなかったと思う。ところどころ、ちょっとしたミスはあったようだ。が、全体を俯瞰して見ていれば気にならない程度のミスで留められるところまで、作品の完成度は上がっていた。そして、本番でもその「限りなく完成度の高い演技」を彼女たちはやり切ったのだ。

この日、東京女子体育大学が見せてくれたのは、「新体操の高度な技術や芸術性」だけではなかった。「どんな困難な状況でもあきらめない強い気持ちを持ち、突破することの尊さ」こそを、彼女たちはフロアの上で表現して見せたのだ。

この発表会を牽引し、東女の新体操部を率いる秋山エリカ氏は、この発表会のあいさつでこう言った。

「今は大変な時期だと言われますが、かつて日本にまだ新体操がなかった時代に、新体操というスポーツを持ち込み、根付かせてきた先人たちの苦労に比べたら、こんなことはなんでもない!」

誰もが、自分たちに降りかかった不運を嘆かずにはいられなかった2020年の終わりに、こんな力強い言葉を聞けたことに、おおいに励まされた。希望がもてた。

2020年の東京女子体育大学の発表会は、そんな発表会だった。

そして、その感動が今度は、テレビで放送されるという。

2月14日(日)25時25分~ の「Get Sports」(テレビ朝日系列)だ。

こちらでは、本番だけでなく、練習過程からこの発表会に密着。本番での圧巻の演技だけでなく、その裏側のドラマも描き出す。普段は新体操なんか見ない、興味ないという人にもぜひ見てほしいドキュメンタリーだ。

テレビ朝日「Get Sports」※番組公式サイト

2020年1月、日本代表のフェアリージャパンPOLAが公開練習をしきりにやっていたとき、取材に行っていたメディアの記者が、「新体操の練習は想像以上に苛酷だ」と驚いていた。

通常の報道用の公開練習は決められた時間だけだが、一般公開もある公開練習では、ほぼ1日中ずっと練習を公開していたため、新体操の練習があまりにも長く、地味な繰り返しで心身ともに疲労困憊するものだと知ったというのだ。日ごろは、サッカーや野球などアクティブなスポーツを取材している人たちにとっては、新体操の苛酷さは「想像以上」だったのだろう。

しかし、多くのメディアは、新体操の練習を見るとしても日本代表だけだ。じつは、そんな苛酷な練習をしているのは「日本代表だから」「フェアリージャパンだから」ではないということも知ってほしいと思っていたが、このドキュメンタリーではその一端を垣間見ることができるのではないだろうか。

<写真提供:清水綾子>