【新体操】「頂上決戦」の名に相応しい熱戦を静岡RGが制す!~第20回全日本クラブ団体選手権シニアの部

予選3位からの逆転優勝を成し遂げた静岡RG(静岡県)

「女子高生の頂上決戦」

10月11日に行われた全日本クラブ団体選手権シニアの部は、そう呼ぶにふさわしい素晴らしい試合だった。

この大会の上位4チームには、11月20~22日に開催が予定されている全日本選手権の出場権が与えられる。出場しているチームにとってはそれが大きなモチベーションになっていることは間違いない。

が、本来ならインターハイの上位6チームにも与えられる全日本選手権の出場権が、今年はインターハイの中止に伴い、昨年の上位6チームに推薦で与えられることが決定していた。つまり、昨年のインターハイ上位6チームに関しては、この大会に出場しなくても、またはこの大会で上位に入れなかったとしても、全日本選手権出場は確約されいた。

それでも。

昨年のインターハイ上位6チーム(常葉大常葉・鹿児島純心・伊那西・中村学園女子・金蘭会・昭和学院)はもれなくクラブ団体選手権に出場してきた。そして、すでに推薦で得ていた出場権を「勝ち取ったもの」にした。

今大会は予選が「フープ&クラブ」で行われた。この種目は、インターハイで実施される種目で、全国の団体に取り組んでいる高校生はみんなやっている種目だ。

この「フープ&クラブ」での予選上位8チームが決勝に進出し、決勝では「ボール×5」を行ったが、高校生にとってはインターハイ種目ではないほうの種目は鬼門だった。予選では良い演技ができても、決勝はボロボロ。とくに練習時間の確保が難しかった今年はそうなる可能性もあると予想された。

が、結果として、上位3チームは見事に両方の種目をまとめ切った。

2種目を高いレベルで、それもミスを最小限に抑えて実施できなければ高校生の頂点に立つことはできない。そんなレベルに今の日本の高校生たちのトップはきている。

そのことがじつに頼もしかった。

静岡RGの決勝演技
静岡RGの決勝演技

優勝したのは、昨年インターハイ覇者である常葉大常葉高校の選手たちが所属する静岡RG(静岡県)だった。静岡RGは、昨年のクラブ団体シニアの部でも準優勝しており、とにかく団体での強さには突出したものがある。

持ち味は、その演技の正確性だが、正直、今大会での演技は、昨年のインターハイ優勝時と比べれば、やや正確さは劣っていたように感じた。ごくわずかではあるが、細かい乱れはあったと思う。しかし、それでも大きなミスにはしない熟練度が高い。あらゆるミスを想定しその対処も練習し尽しているという静岡RGは、やはり今年も強かった。

とくに決勝種目では、ゆっくりした曲調で始まり、後半に向けてどんどんスピードアップしていく体力的にいかにもきつそうな曲を最後までエネルギッシュに演じ切った。ラストに向けての投げの連続は見ているほうの心拍数も上がり、疾走感があった。

予選は3位通過だったが、この決勝での演技で、決勝では唯一の24点台にのせる24.200をマークし逆転優勝を決めた。

Junshin R・Gの予選の演技
Junshin R・Gの予選の演技

準優勝は予選も2位通過のJunshin R・G(鹿児島県)。昨年のインターハイ準優勝の鹿児島純心女子高校の選手たちが所属するクラブだが、予選の「フープ&クラブ」がまず素晴らしい出来だった。今の新体操のルールでは、とにかく技を数多く入れ込むことが高得点につながるため、どうしても演技が慌ただしくなる。それが団体となるとなおさらなのだが、Junshin R・Gの「フープ&クラブ」は、決してそうは見えない。曲調もゆっくりしていて、優雅に見える。そして情感もこもっており、見ていて心が動かされる演技だった。が、こういう演技でD得点は出るのだろうか? そう感じてしまうくらい、技がつまっているようには感じさせない演技だったのだが、そこはきっちり巧みに技は入れ込んであり18.300という高いD得点を獲得した。今のルールの中で慌ただしく見えずに高い得点を得るということは容易ではない。それだけこの演技をやり込み、技が技に見えないところまで昇華させてきたのだと感じさせる演技だった。

Junshin R・Gの決勝の演技
Junshin R・Gの決勝の演技

決勝の「ボール×5」も、堂々たる演技で、ラストは床に寝そべった選手が見えない位置でボールを脚キャッチするという失敗すれば即場外になるリスキーな技を見事に決めた。決勝での得点が静岡RGには及ばなかったが、2種目とも2位という安定した強さを見せての準優勝だった。

昨年のインターハイで準優勝したときは、夢見心地という面持ちだったチームが、今年は風格さえ感じさせるチームに成長していた。昨年は「出られただけも夢のよう」だった全日本選手権でも、もうひと暴れしてくれることを期待したい。

Dream☆Inter・ Cuolesの決勝の演技
Dream☆Inter・ Cuolesの決勝の演技

3位には、Dream ☆Inter・Cuoles(千葉県)が入った。昨年のインターハイでは6位だった昭和学院高校の選手たちが所属するクラブで予選では4位だったが、決勝ではJunshinR・Gと同点2位となる23.300の高得点をマーク。2種目ともミスらしいミスなくまとめ、同チームの持ち味である美しく、表現力豊かな演技を見せつけた。

Dream☆Inter・ Cuolesの予選の演技
Dream☆Inter・ Cuolesの予選の演技

このチームの演技も、決して技を詰め込んでいるようには見えなかった。とくに決勝のボールはごく優雅で美しさの際立つ演技だったが、それでもやはりD得点は17.000を稼いでおり、表現と技を巧みに両立させた演技だった。

非常に美しい選手の多いチームで、予選種目でのレオタードも白ととことん優雅だったが、予選の演技は曲が「スパルタカス」。見た目の優雅さの裏に秘めた力強さ、精神の強さを感じさせる演技で、「戦うお姫様軍団」という趣きがあった。

春からほとんどの試合が中止となり、先の見えない中で、いつもの体育館で仲間と練習できない日も多かっただろうことなど、まったく感じさせない素晴らしい演技を見せてくれた3チームだったと思う。

3位以下のチームも、それぞれに素晴らしい演技を見せてくれたが、種目によっていくらかのミスがあり、それが勝敗を分けたと言える。

日本の高校生たちは、本当にスゴイ! それを証明してくれた大会だった。

<写真提供:清水綾子>