待ちに待った発表だった。

全日本シニア体操クラブ連盟は、5月31日にまず体操競技の「全日本シニア・マスターズ体操競技選手権大会」(9月18日~22日/高崎アリーナ)の開催と申し込み受付を開始。

東京五輪代表の有力候補選手も多数出場することが予想される大会だけに体操ファンは歓喜した。

そして、その翌日。

6月1日に、今度は「新体操フェスタ岐阜」の大会要項が出た。

こちらも開催は、9月19日~22日。岐阜メモリアルセンターで愛ドームで行われる。

※「新体操フェスタ岐阜」大会要項はこちら

同フェスタは、「第5回全日本男子新体操クラブ選手権大会」と、「第28回全日本男子新体操社会人選手権大会」を併せて行うもので、昨年からは「マスターズRGレディース」という女子の新体操愛好家の大会も併設されている。

まさに、「新体操のお祭り」なのだ。

とくに大会数の少ない男子選手にとっては、貴重な大会のひとつだが、2016年に創設されて以来、参加者数が伸び悩んでいた。

それでも、2018年からは男子クラブ選手権の上位選手に、全日本選手権の出場権が与えられるようになったことで、大学生の参加は増えつつあった。

昨年までもユース部門があり、高校生の参加も可能だったが、昨年は、高校生の団体はエントリー2チーム、個人選手もごくわずかだった。

7月末か8月上旬にインターハイが終わった後の9月開催となると、高校生はそこに合わせることが難しいと言われてきていた。

しかし、今年は状況がまったく違う。

新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、3月の高校選抜、5月のユースチャンピオンシップ/団体選手権、そしてインターハイまでもが中止になってしまった。

現時点では、全日本新体操選手権は開催が予定されているが、これらの中止になった大会には、全日本選手権の出場権もかかっており、このままでは、たとえ全日本選手権は開催できても、高校生は誰も出場権がない、という事態になりかねなかった。

そこで、今年は、この「新体操フェスタ岐阜」で行われる「男子新体操クラブ選手権」の中に、従来のシニア、ユース、ジュニアというカテゴリの他に「予選部門」(団体、個人総合とも)を特設した。

つまり、今年度は、この大会一発で全日本選手権に出場する高校生チーム、選手を選抜することになる。

ただし、本来なら3大会に与えられるはずだった「出場枠」がすべてここに集約されるため、個人は最低でも12枠、団体は最高で9枠というかなりの大盤振る舞いだ。これは、夏の目標がなくなってしまっていた高校生にとっては、かなりの朗報だと思う。

この時期に、いち早く、代替大会の開催を決定することには多くの困難があったと思われるが、全日本シニア連盟理事で、男子新体操委員会副委員長の臼井俊範氏は、「全日本選手権の予選になるため、日本体操協会や高体連関係者とのさまざまな調整や理解を得ることは必要でした。ただ、男子新体操関係者は、なんとか開催をという気持ちが大きかったため、なんとか開催にこぎつけられました。同じ日程で予定されていた体操競技のシニア・マスターズ選手権も開催の方向になったことも追い風になりました。」と言う。

大学生にとっても、例年は8月に行われる全日本インカレが10月に延期見込みのため、この男子クラブ選手権のほうが先になる。

近年は、インカレで全日本出場権を獲得できなかった選手が「敗者復活戦」的に男子クラブ選手権に出場してくることが多かったが、今年に関しては、インカレまでの調整として出場したり、先に出場権を確保しておきたくて出場する選手も増えそうだ。

これは、男子新体操にとってはかつてないビックイベントになる可能性を秘めてる。

インターハイなど高校生の大会の相次ぐ中止は悲劇ではあったが、この「新体操フェスタ岐阜」が、ジュニアから社会人までの男子新体操選手が一堂に集い、全日本選手権出場という夢に向かって切磋琢磨する場になるなら、それは歓迎すべきことだ。

この大会にここまで出場枠が集中するのは、今年限りの限定措置ではあるが、翌年以降の継続出場を考えるチーム、選手も出てくるだろう。

夢は膨らむばかりだが、日本全国がまだ厳しい状況下にあることには違いない。

開催を決定したことは大きな一歩だが、ここからの道のりがまた険しいのだ。

「今後、どのように情勢が変わるか不明なので不安はありますが、検温、手洗い奨励、消毒などの対応をし、観客を入れる場合は、席間を空ける、または無観客にすることも視野に入れ、開催にこぎつけたいと思います。

 コロナ感染防止の観点からも遠征は不安という学校や保護者の判断もあると思いますが、運営側でも、これから始まる野球やサッカーなどの対応を参考にして、関係者全員が安心して参加できるように工夫をしていきます。また、出場されるチームの監督、指導者にも、例年とは違い練習不足は否めないことを鑑み、演技構成などでくれぐれも無理はせず怪我のないように留意してほしいと思います。」と言う臼井氏。

高校生は、学校単位では、高体連以外の大会は遠征許可が出ない場合もあるという。

学校に遠征許可をもらうというハードルは高いかもしれないが、春からすべての大会が失われ、全日本選手権出場にチャレンジすることさえもできなくなっていた高校生たちにとって、この大会がどれほど救いになるか。

そこを考慮し、各学校、所属が柔軟な対応をしてくれることを祈るばかりだ。

<写真提供:清水綾子>