【新体操】フェアリージャパンPOLAに勢いと刺激を与える新メンバーに注目!

新たにフェアリージャパンPOLA入りした鵜鷹くるみ(左)と生野風花(右)

さすが2020年!

熊本県の芦北町という、都心からすればかなりの遠隔地での合宿にもかかわらず、ズラリと並んだテレビカメラ、新聞各社のカメラマン、記者という大報道陣を見て、改めてそう感じた。

東京五輪は、本当にもう目の前なのだ。

そして、新体操は、「メダル獲得が期待される種目」として、かつてない注目を浴びながら東京五輪を迎える。

この1週間は、テレビでの露出も多く、今夜も明石家さんま氏とバラエティー番組への出演が予定されている。

今回の芦北合宿も各スポーツニュース、新聞がこぞって取り上げている。

※日刊スポーツの記事

※西日本スポーツの記事

※産経新聞の記事

※NHK WEB NEWS(動画有)

告知されていた合宿の一般公開は13、14日とも2時間ずつだったが、実際には両日とも4時間近く、一般の観客も練習を観覧できた。

13日は、新聞記事にもあるようになかなか演技がまとまらず、練習にキリがつかなかったため、途中で観客に退場を促すこともできず、だったのかと思っていたが、14日も同様で、結局、練習を締めるところまですべてを公開で行うという、観客にとっては嬉しい大サービスの2日間だった。

しかし、これは決して「お客様サービス」で行ったわけではないだろう。

この2日間の練習はかなり厳しいもので、疲れもたまってきてか、ミスが連続、連鎖する場面もあった。

ときには涙を浮かべている選手もいたし、基本的には穏やかな口調で「●●してごらん」という指摘の仕方で指導をしていた山口留奈コーチだが、同じミスが続いてくると、声に厳しさが増した場面もあった。

つまり、じつに「いつも通り」の練習を観客の前でやってくれたのだと思う。

以前、NTC(ナショナルトレーニングセンター)での報道陣への公開練習も見たことがあるが、そのときとなんら変わりない。

多くの人に見られている前でも、いつも通りのメンタルで練習できること、それが大会本番でも平常心で「いつも通りの演技」ができることに繋がるという思いからの「公開練習」なのだと思い知らされる練習ぶりだった。

そして、テレビでの晴れやかな笑顔、華麗な演技しか見たことのない人たちにとっては、少し驚いてしまうくらいの厳しい練習、ときには煮詰まり、笑顔も消えてしまう選手たちを目の当たりにすることで、たまたま見に来た、ような人たちにも「応援したい」という気運は生まれていたと思う。

2日とも練習の終盤になってきて、選手たちにも疲れが見えてくる時間帯になると、会場からは自然に手拍子が起きた。フレーズでの通しが落下なく決まると、大きな拍手も起きた。

東京五輪を前にして、全国にこういうファンが増えてくれるなら、こんなに嬉しいことはない。

2月のモスクワグランプリ前には、ロシアでの合宿もあり、国内での公開練習は当面予定されていないようだが、五輪までの間にはまたぜひ日本のあちこちで企画してもらえればと思う。五輪本番が近づけば、公開練習であっても観客はより熱狂するだろう。その熱い声援を受けながらの練習はおそらく選手たちにとっても本番に向けたよい経験になるに違いない。

昨年12月に行われた福岡県宗像市での公開練習時は、フェアリージャパンPOLAの団体メンバーは9名だった。

世界選手権後に行われたトライアウトを経て、11名になっていたのだが、新規加入の2選手が12月の時点では同行していなかったのだ。

※第16期フェアリージャパンPOLAメンバー

今回の芦北合宿には、11名全員が参加。

新メンバーの2人も元気な姿を見せていた。

フェアリージャパンPOLA16期メンバー・鵜鷹くるみ(ヒューマンRG)
フェアリージャパンPOLA16期メンバー・鵜鷹くるみ(ヒューマンRG)

鵜鷹くるみ選手は、チャイルドのころから、その脚のラインの美しさでは目を引く選手だった。とにかくつま先が美しく弧を描き、かかとが高い。そして、膝も入ったまさに理想的な脚をもっているのだ。ジュニアではアジアジュニア新体操選手権に団体メンバーとして出場経験もある。その鵜鷹選手がついにフェアリージャパン入りを果たしたのだ。

鵜鷹選手がその真価を見せたのが、14日の朝一で行われたバーレッスンなどの基礎トレーニングだ。ややふらつく場面などもあったが、バーでの美しさは先輩メンバー達にも見劣りしない。さらに、フロア上でのアップ(ジャンプやステップなどを行う)では、先頭を務めており、「お手本」とも言える美しい足先を印象づけていた。

まさに「つま先番長」! 団体経験が浅いため、今後、団体での経験を積んでいき、対応力などには磨きをかける必要はあるだろうが、東京五輪後のフェアリージャパンPOLAにとっては楽しみな選手になりそうだ。

フェアリージャパンPOLA16期メンバー・生野風花(宝塚サニー新体操クラブ)
フェアリージャパンPOLA16期メンバー・生野風花(宝塚サニー新体操クラブ)

生野風花選手は、メンバー唯一の中学生。2019年にはアジアジュニア新体操選手権に個人選手として出場。アジアジュニアでも、ボールに出場し、予選2位、決勝3位という素晴らしい演技を見せた勝負強さもある選手だ。この選手に驚かされたのは、13日の公開練習時だった。

現在、メンバーが11名のため、レギュラー5人が練習する横のフロアで、サブメンバーも5人でチームを組んで練習するので、1人余ってしまう。新規加入の生野、鵜鷹は、交代で1人外れて練習していたのだが、13日に1人で練習していた生野選手は、驚くべき勤勉さでとにかくがむしゃらに練習していたのだ。団体演技に入っている技を一人で練習すると、本来なら受けてくれるはずの選手がいないので、やるたびに手具を自分で拾いに行くことになり、かなり体力を消耗する。が、それを黙々とやり続けられる根性、集中力は、最年少ながら選ばれるだけのことはあると感じた。14日の練習では、序盤の基礎トレーニングではややぎこちなさも見えたが、いざサブメンバーに入って団体練習を始めるといい意味で目立たない。難しい技も危なげなくこなしており、対応力の高さを感じさせた。

フェアリージャパンPOLAも、トライアウト方式をとり始めた2005年から14年が経ち、世界でメダル獲得もできるところまで評価がついてきた。新体操をやっている子ども達の中には「フェアリージャパンに入るのが夢」という子も多くいる。トライアウトにも以前とは比べものにならないほどの多くの参加者が集まるようになっている。それだけに、そこで選ばれた選手には、やはり選ばれるだけのものがある、と感じられる新メンバー2人を見て、頼もしく感じた。

もちろん、若い2人にはまだまだ足りないところも多い。が、今回の公開練習で見たフェアリージャパンPOLAのおそらく世間が想像するよりもずっと厳しく、泥臭い練習の中で彼女たちもいずれ大きく成長していくに違いない。

東京五輪はもうすぐだ!

しかし、フェアリージャパンPOLAは、その先もずっと楽しみにしてよさそうだ。

<写真提供:清水綾子>※鵜鷹選手(2017年)、生野選手(2018年)