【新体操】東京五輪に向けて進化が加速するフェアリージャパンの公開練習をレポート!

ユースチャンピオンシップでエキシビション演技をするフェアリージャパンPOLA

12月7日、宗像市で行われたイベントは、タイトルを見ただけだと山崎浩子強化本部長のトークショーなのか? とも思われ、フェアリージャパンPOLAの演技が見られるのかどうかもわからなかった。

最近の大会でも、フェアリージャパンPOLAは姿は見せても挨拶だけ、または握手会などがほとんどで国内の公の場で演技を公開したのは5月のユースチャンピオンシップ以降なかったからだ。

世界選手権では、団体総合銀メダル、種目別ボール×5では日本初の金メダルを獲得という大活躍を見せ、来年の東京五輪でのメダル獲得がいよいよ現実的な目標となってきたフェアリージャパンPOLAだが、その活躍に反比例するかのように、日本のファンが生で演技を見る機会は減っているようにも感じていた。

だから、宗像でのイベントも「話だけ」「顔見せだけ」の可能性はある、と覚悟していたのだが、それは良い方向に大きく裏切られた。

会場に入ると、階段式の観覧席も設けられていたがアリーナにはマットが敷かれていた。手具もある。

「これは・・・演技を見られるのでは?」

会場に入ってきた観客もワクワクしているのがわかる。

そして、フェアリージャパンが登場。

本番用の華やかなレオタードではなく、練習着だが、それがかえって貴重だ。

しかも、団体メンバーは控えを入れて9人。さらには、個人の特別強化選手、皆川夏穂選手と喜田純鈴選手もいる。

NTC(ナショナルトレーニングセンター)に紛れ込んだのか? と思うほどの、豪華な練習風景が目の前で繰り広げられ、そこに山崎強化本部長の解説がつく。

全日本ジュニアで挨拶するフェアリージャパンPOLA
全日本ジュニアで挨拶するフェアリージャパンPOLA

この日の団体メンバーは、杉本早裕吏、松原梨恵、熨斗谷さくら、鈴木歩佳に、九州・熊本県出身の稲木李菜子が入っていた。世界選手権のときはメンバーだった竹中七海と横田葵子はサブフロアで、今岡里奈、末永柚月と練習をしていた。おそらくコンディションの問題か、あるいは、新作ということでメンバーを入れ替えながら、さまざまな可能性を模索している最中なのだろう。

山崎強化本部長の談によれば、東京五輪で勝負をかけることになる新作演技は、まだ出来上がったばかりとのこと。この日も、いわゆる曲を最初から最後まで続けてかけて行う「通し練習」はなかった。いわゆる「フレーズ練習」で、同じ箇所を何回も繰り返しての練習。それも、ミスが出てしまえばすぐに止めてそこを重点的に練習するなど。この日、会場には新体操をやっているのだろうジュニアや高校生などが多く見られたが、彼女たちにとってはおそらく見慣れた、いつも自分たちがやっているのと同じような練習風景だったと思う。

ただ、それがフェアリージャパンとなると、やっていることの難易度が高い。

今年の世界選手権での演技よりもさらに技を詰め込み、難易度を上げているというから、本当に見ているだけでも息つく暇がない。

「フープ&クラブ」の曲は和太鼓が使われていると話題になっていたが、たしかに使われてはいるが、あまり和風な印象ではない。後半はヴィバルディの「四季/冬」もアレンジされている、ちょっと欲張りな曲だった。

「ボール×5」は、ジュニアでもよく使っている軽快でかわいらしい印象の曲。現在のフェアリーメンバーの年齢にしてはやや子どもっぽいようにも思うが、フレッシュさや、キュートさは生かせる曲だ。

どちらの種目も、演技内容は、本当に濃い。「3~4秒に1回は技が入っている」と山崎強化本部長の解説にもあったが、その技も、いくつかの手具を一人が同時に投げる(複数投げ)や、手以外、視野外での操作など、すべてに工夫が凝らされており、1つの技で高い得点が稼げるようになっている。

もちろん、それだけリスクも高く、ノーミス演技にはまだ遠そうではあったが、それでも、この日も、かなり長いフレーズをミスなく実施することも何回かあり、山崎本部長が、「今のはかなり良かったですね。あんなに長く続いたのは初めてかも」と声を弾ませる場面もあった。

まだ演技もメンバーもかたまってはいないようだが、完成したばかりというこの時期としては、この日の練習は上々の出来だったようだ。

そして、なによりも、公開練習という通常とは違う環境ではあったが、練習の雰囲気がとても良かった。

同じ箇所でミスが連続してしまうことがあっても、決して煮詰まった感じにならず、お互いに建設的なアドバイスをしながら、演技を仕上げていく、当たり前といえば当たり前のことだが、それがきっちりとできているのだ。

だから、練習のテンポがよく、無駄がない。こういう練習ができているときは、やればやるだけうまくなる、そう思える練習ぶりだった。

こういう練習ぶりを間近で見られたことは、新体操をやっている子ども達にとってはおおいに参考になったに違いない。

さらに、この日、会場に駆け付けた一般の観客も、こんな練習を見せられたら、きっとフェアリージャパンのファンになる。

これからますます関心をもち、熱く応援するようになるだろう。

1年の大半がロシア合宿。日本ではNTCで合宿。今年に関しては、エキシビションでの演技披露もほとんどなかった。

東京五輪での活躍への期待は膨らんではいるが、ともすれば「遠い存在」になりかねないのが今のフェアリージャパンだ。

もちろん、ここから五輪本番までの8か月間は、練習、コンディショニングが最優先になってくることはわかる、わかるが、できることならもう少し、より多くの人が生で目にできる機会が増やせればいいと思っていた。

そうすればもっと多くの人から熱く応援されるに違いないのに、と。

今回の宗像でのイベントはそういう意味では理想形だった。

こういう姿を見たいのだ。「通し」がなかったことなどはまったく問題ではない。

フェアリージャパンでも、「通し」まではできないような段階を経て、作品を完成させているのだということを見られたことのほうがずっと貴重だ。

なんとかこういう機会をもっと設けてもらえないだろうか、と思っていたら、嬉しいニュースが入ってきた。

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2020年は、新年早々、熊本県で公開練習が行われるというのだ。

これは、楽しみだ。

12月の宗像から1か月以上ある。演技はどのくらい仕上がってきているのか。

どんなメンバーになっているのか。おおいに注目したいと思う。

<写真提供:清水綾子>