【新体操】永久保存版! 日本の新体操を支えてきた「強くて美しい8人」最後の競演

全日本選手権連覇を達成した喜田純鈴(エンジェルRGカガワ日中/国士舘大学)

今年は、フェアリージャパンPOLAが世界選手権で日本史上初の金メダルを獲得した。

そして、来年はいよいよ東京五輪だ。

まさか、新体操で日本のメダル獲得を期待しながら見られる五輪になるとは!

長く新体操を見ている人なら、感無量に違いない。

フェアリージャパンという強化体制をとるようになってから14年。

日本の新体操はやっとここまできた! それは誇るべきことには違いない。

しかし、日本の新体操を支え、牽引してきたのはなにもフェアリージャパンだけではない。

いや、むしろ。

日本で新体操をやっている選手たちにとって、より身近でより憧れだったのは、国内で活躍する選手達だ。

それでも、フェアリージャパンが活躍すればするほど、そういう選手たちにスポットがあたることは少なくなる。

「新体操知ってる?」と訊けば

「知ってる! フェアリージャパンPOLAね!」

という答えが返ってくる。

頑張っているのは、素晴らしい演技をするのは、彼女たちだけではない!

それでも、14年かけてやっとたどりついたのは、「フェアリージャパンだけはなんとか世間に認知された」

それが新体操の現実だ。

だから。

より多くの人に、日本で活躍している「フェアリージャパンではない選手達」のことを知ってほしい。

そう思ってずっと情報発信をしてきた。

それはそう思わせてくれる選手たちがいたからだ。

現在のフェアリージャパンが発足したのは、現在の大学4年生が8歳の時だ。

チャイルド選手権で、ジュニアの大会で、そしてインターハイ、インカレ。

フェアリージャパンが国際的な評価を高めていく傍らで、彼女たちはずっと国内の大会で、着実に歩みを進めてきた。

ときには、「こういう選手を国際大会に出してほしい!」と思わせる演技を見せてくれた。

そして、現実に、ワールドカップなどに派遣された選手もいれば、世界選手権の切符を勝ち取った選手もいた。

努力すれば報われることもある、とずっとその姿で示してくれた選手たちだ。

しかし、彼女たちは、東京五輪の前年、2019年の全日本選手権を最後に引退するという。

2020年の日本代表決定戦の出場権も手にしているが、そこにはもう彼女たちの姿はないはずだ。

フェアリージャパン以上に、日本の新体操を支えてきた選手たちの最後の公式大会となった今大会は、彼女たちが繋いできたものを、しっかりと後進に引き継いだ大会でもあった。

上位8選手中、4人が大学4年生。大学3年が1人、1年生が2人、高校生が1人。

4年生たちが引退した後も、五輪に出る、出ないにかかわらず、きっと日本で新体操をやっていく選手たちの目標であり続けてくれる選手たちだと思う。

あるべき姿を見せ続けてくれた4年生たちのためにも、きっとそうなっていく。

8位:山田愛乃(イオン)

山田愛乃(イオン)
山田愛乃(イオン)

2019インターハイチャンピオン、2018全日本ジュニアチャンピオン。

次世代エースと言ってよい、華やかさと身体能力を兼ね備えた選手。

今年は一気に演技の難易度を上げたが、それでもやり切る勝負強さが頼もしい。

7位:古井里奈(国士舘大学)※大学4年生

古井里奈(国士舘大学)
古井里奈(国士舘大学)

2019、2018全日本インカレチャンピオン。2013インターハイチャンピオン。

チャイルド時代に見せた「新体操が大好き!」な気持ちがあふれ出るキラキラ演技は、最後の瞬間まで健在だった。

息つく暇もない演技ながら、どこまでもリズミカルに演じ切り、見ている人を幸せにする演技は、必見だ。

6位:桜井華子(エンジェルRGカガワ日中/環太平洋大学)※大学4年生

桜井華子(エンジェルRGカガワ日中/環太平洋大学)
桜井華子(エンジェルRGカガワ日中/環太平洋大学)

2019インカレ4位。

大学生になってからの凄まじい伸びは、遅咲き選手達におおいなる希望を与えた。

年々凄みを増してきた表現力で、観客の心をつかむ演技を見せた。

5位:河崎羽珠愛(イオン/早稲田大学)※大学4年生

河崎羽珠愛(イオン/早稲田大学)
河崎羽珠愛(イオン/早稲田大学)

2019インカレ9位、2014~2016全日本チャンピオン、2015世界選手権日本代表

早い時期に頂点を極め、大学生になってからは故障も多く苦しい時期を経験した選手。

それでも、年齢を重ねるごとに表現に深みが増し、応援する声も大きくなってきた。

今大会での彼女の演技中の後押しするような観客の手拍子、応援、これこそが苦しくても投げ出さず自分の新体操を全うしたことで彼女が得たものだ。そして、それは何よりも価値のあるものなのだ。

4位:猪又涼子(日本女子体育大学/ポーラ☆スターRG)※大学4年生

猪又涼子(日本女子体育大学/ポーラ☆スターRG)
猪又涼子(日本女子体育大学/ポーラ☆スターRG)

2019インカレ2位。2015インターハイチャンピオン。

いつ見ても、「まだまだ進化中」という雰囲気を最後まで失わなかった。

努力すること、向上することをいつまでも止めない、そんな選手だった。

だから、誰もが彼女を応援したし、彼女のいい演技、いい笑顔を見ると幸せな気持ちになった。

最後まで全力疾走、それが猪又涼子だった。

3位:立澤孝菜(イオン/国士舘大学)

立澤孝菜(イオン/国士舘大学)
立澤孝菜(イオン/国士舘大学)

2019アジア選手権日本代表。2019インカレ8位。2017全日本チャンピオン。

2018年は故障でほとんどの大会に出場できず苦しい1年となったが、今年は完全復活! と思わせる演技を見せた。

持ち前の繊細で美しい線に、力強さも増し、集大成となる来年に向けておおいに期待したい選手だ。

2位:柴山瑠莉子(イオン/日本女子体育大学)

柴山瑠莉子(イオン/日本女子体育大学)
柴山瑠莉子(イオン/日本女子体育大学)

2019アジア選手権日本代表、ユニバーシアード日本代表、2019インカレ3位。

なんと、今回で4回目の全日本選手権2位。そして、また優勝に手が届かなかった悔しさをしっかり刻み込むのがこの選手。

4年連続の2位は本当に凄い。それも、ここ2年は1位が特別強化選手の喜田純鈴であることを思えば、実質国内選手では2年連続のトップとも言えるのだ。それでも、「優勝できなかった自分」の弱さに目を向け、次に向かう。その気持ちの強さが、彼女をここまでの選手にした。

今年は、2年続けて4種目同じ作品で勝負に懸けてきた。来シーズンはまた新しい挑戦を見せてくれるのではないかと今から楽しみでたまらない。隅々まで曲に合い、ひとつひとつの動きが計算され尽している、今、日本でもっとも完成度の高い演技を見せてくれる選手だ。

1位:喜田純鈴(エンジェルRGカガワ日中/国士舘大学)

喜田純鈴(エンジェルRGカガワ日中/国士舘大学)
喜田純鈴(エンジェルRGカガワ日中/国士舘大学)

2019世界選手権日本代表。2018全日本チャンピオン。特別強化選手。フェアリージャパンPOLA(個人)。

2018年が故障のため、思うように練習できず、大会出場もままならないという苦しいシーズンだったが、今年はかなりの復調を見せてきた。しかし、2018年の不調のため、特別強化選手3人の中での出遅れ感があるのか、以前のような強気が見られないのが気がかりだ。

今大会でも、ミスのない種目では、他を圧倒する演技をし、高得点をたたき出したが、まさかと思うような崩れ方をする種目もあり、安定感がまだない。それでも、フープやリボンのように、自分の演技を堂々とやり切ることができたときに出し得る得点は、十分、他の強化選手とも戦えるところまで戻ってきている。

まずは来年が勝負の年になるが、苦しいときには、この2年間、自身が全日本のチャンピオンだということを思い出し、それを支えにしてほしいと思う。

日本国内には、五輪や国際大会への出場を夢見ることさえできなくても、頑張っている選手たちがたくさんいる。

全日本チャンピオンである喜田純鈴は、そんな選手たちの頂点に立っているのだから。そんな選手たちの代表なのだから。

おそらく、その立場にいる人にしかわからない苦しさはあるだろう。分からないが想像はできる。

だから、そんな苦しい中でも、全日本選手権に2年連続で出場し、「負けるわけにはいかない」というプレッシャーに打ち克った喜田純鈴を、みんなはきっと応援する。

五輪に出られるかどうか、ではない。喜田純鈴が、喜田純鈴として最高の輝きを見せてくれることを、みんな期待して信じている。

そしてまた、来年の全日本選手権で3連覇してみせてほしい。 

それもまた特別強化選手としての期待への応え方なのではないか。そう思う。

この「日本最高峰の8人」の演技を、今夜20時からCSチャンネルのスカイAで見ることができる。

ぜひ堪能してもらいたい。

フェアリージャパンだけではない、日本にはこんな選手たちがいる、のだ。

※スカイAの「全日本新体操選手権」放送予定

<写真提供:清水綾子>