【新体操】スーパー女子高生軍団 VS 大学生の意地「2019JAPAN」女子団体を振り返る

団体総合で2年ぶりに王座奪還を果たした日本女子体育大学

今年は、フェアリージャパンPOLAが世界選手権の種目別「ボール×5」で、日本にとっては初となる金メダルを獲得した。

そして、いよいよ来年は東京五輪。

フェアリージャパンPOLAのテレビ露出も日々増えてきており、新体操人気、盛り上がりつつある、ような気はする。

しかし、フェアリージャパンや五輪は注目されても、国内の大会への注目はもう一歩、と感じる。

10月18~20日に千葉ポートアリーナで行われた全日本新体操選手権では、今年、インターハイ、インカレなどを勝ち抜いてきたトップ16チームが激突。新体操の世界における日本の地位が向上してきたのに伴って、日本国内のチーム、選手のレベルも上がってきているため、非常に見ごたえのある演技の応酬だった。

CS放送のスカイAが、今年もこの大会の様子を放送している。

本日(11/24)は、女子団体総合が放送されるので団体総合上位8チームについて紹介したい。

普段は新体操を見たことがない人が、今日の放送を見る際に少しでも興味をもって見てもらえればと思う。

また、スカイAの放送は見れない人にも、国内の新体操に関心を持っていただき、チケット入手の難しい五輪でなくても、国内の大会に足を運んでみようかと思ってもらえれば幸いだ。

8位:TESORO(東京都)

TESORO(東京都)
TESORO(東京都)

 全日本クラブ団体選手権3位。

 昨年は、このクラブの高校生たちが「潤徳女子高校」の団体としてインターハイの東京都代表になった。しかし、3年生が多かったこと、東京都の代表争いが激戦なことから、今年はインターハイ出場は逃していた。インターハイが全日本選手権の予選(上位6チームが通過できる)となっているため、高校生にとって、以前はインターハイ出場を逃す=全日本選手権出場もなし、となっていた。ところが、近年は、8月に行われる全日本クラブ団体選手権のシニア上位3チームにも全日本選手権の出場権が与えられるようになった。

 TESOROは、その全日本クラブ団体を3位で通過し、全日本選手権への扉をこじ開けた。まずはその根性、本番強さに感服するしかない。クラブ団体選手権のシニアは予選と決勝があり、予選はインターハイ種目とは異なる。インターハイを目指している間はおそらく「フープ&クラブ」に懸けていただろうチームが、8月のクラブ団体選手権に向けては、まず「ボール×5」の完成度を上げなければならない。おそらくインターハイ出場がなくなった翌日から、「ボール×5」をやってきたのかな、と思うくらいにTESOROのこの種目は素晴らしかった。ハンガリー舞曲という細かく音を刻む曲を使用しながら、その音をしっかり拾って動きを合わせ、それが5人揃っていた。投げの高さまで合わせる同調性には感心するばかりだった。

7位:武庫川女子大学(兵庫県)

武庫川女子大学(兵庫県)
武庫川女子大学(兵庫県)

 全日本インカレでは日本女子体育大学と同点優勝。

 昨年の全日本選手権で初優勝、今年はユニバーシアード代表も決定戦で勝ち取り、ユニバーシアードでも銅メダル獲得。全日本インカレでも悲願の初優勝を成し遂げ、大飛躍の年となった武庫川女子だが、連覇を狙った全日本選手権では苦い思いをすることになった。「ボール×5」はほぼノーミスの演技に見えたが、日本女子体育大学がマークした23.350には届かず、高校チャンピオン・常葉の21.750にも後れをとった。それでも優勝争いにはとどまれる位置にはいたが、「フープ&クラブ」で、久々に大崩れしてしまう。落下が続き、18.200。団体総合順位も7位まで下げてしまった。

 1年前の歓喜を思えば、きっと悔しい思いををしているとは思うが、この1年間で得た自信があれば、きっとまた優勝争いに戻ってこれる。武庫川女子には、それだけの力があることはすでに証明されているのだから。

6位:東京女子体育大学(東京都)

東京女子体育大学(東京都)
東京女子体育大学(東京都)

 全日本インカレ団体総合3位。

「ボール×5」は、東女の十八番「シェヘラザード」を使用したドラマチックな演技だったが、少々綻びが多かった。それでも、大きく崩れなかったことで5位に踏みとどまった。「フープ&クラブ」でも、演技冒頭で落下場外という波乱のスタートだったが、これもなんとか踏ん張る執念が見えた。実施をまとめきれなかった感はあるが、今年のチームは1年生が多く、勢いはあった。そして、負けたときに本当に悔しそうだった。そんな気概をもったチームだけに、今年の苦い思いも悔しさも、来年以降の飛躍に繋いでくれるに違いない。

5位:高松学園伊那西高校(長野県)

高松学園伊那西高校(長野県)
高松学園伊那西高校(長野県)

 インターハイ3位。

 「フープ&クラブ」では、インターハイをも上回ったかと思うほどの精度の高い演技を見せ、高校生にとっては鬼門となる「ボール×5」では、「グレイテストショーマン」の「This is me」を効果的に使ったうまい演技で、どちらの種目でも高い実施力を見せた。数年前までは、高校生は全日本選手権に出場しても、インターハイ種目ではないほうの種目(今年なら「ボール×5」)をまとめることができず総合での上位進出は難しかったが、今の高校生たちは違う。しっかり全日本選手権を見据えて、団体2種目を仕上げてくる。伊那西の「ボール×5」も、超高難度な「フープ&クラブ」とは少し違った作り方ながら、しっかり得点を確保できる賢い作品になっていたように思う。

4位:国士舘大学(東京都)

国士舘大学(東京都)
国士舘大学(東京都)

 全日本インカレ4位。

 数年前から優勝争いしてもおかしくないチーム力をもっている。が、国士舘大学は、なかなか2種目をパーフェクトな実施で揃えることができず、苦しんでいる。全日本インカレでも「ボール×5」が4位に沈んだ。「フープ&クラブ」では2位と巻き返しただけに、2種目ともノーミスなら、と思う試合だった。そして、今大会でも、「ボール×5」で大きな移動やラインオーバーがあり、7位。「フープ&クラブ」は、後半になるほど盛り上がるエネルギーあふれる演技で3位と巻き返したが、メダルには届かなかった。独特な世界観のある作品には定評のあるチームだけに、来年以降、本番でよい実施が出る確率を上げてこれれば、注目株であることは間違いない。

3位:常葉大学常葉高校/静岡RG(静岡県)

常葉大学常葉高校/静岡RG(静岡県)
常葉大学常葉高校/静岡RG(静岡県)

 インターハイ優勝。

 今年の常葉はとにかく強かった。3月の高校選抜、8月のインターハイと文句なしの優勝。「ボレロ」という名曲かつ難曲に果敢に挑戦し、高難度の演技なだけでなく、この曲を演じ切ったと言える。しかも、「ボール×5」もきっちりとまとめてきた。新体操ではよく使われる定番曲・ギリシャ民謡は、チャーミングでステップがよく映え、おそらく難度は「フープ&クラブ」ほど高くないのだろうが、その分、同調性を見せつける演技で、2種目をうまくまとめての総合3位は立派だ。これだけの強豪校ながら、練習時間は決して長くない、また練習場所の広さも十分ではないという。その不利をはねのける集中力が、今の常葉の強さにつながっていると言えるだろう。

2位:金蘭会高校/すみれRG(大阪府)

金蘭会高校/すみれRG
金蘭会高校/すみれRG

 インターハイ5位。

 近年、高難度演技で高校生のトップ争いに常に絡んできた金蘭会。今年のインターハイでの5位も金蘭会にとっては不本意な成績ではなかったかと思う。そして、その鬱憤をインターハイから1か月も開けずに開催された全日本クラブ団体選手で晴らして見せた。この大会ですみれRG(金蘭会高校の選手たちが所属するクラブチーム)は、予選「ボール×5」、決勝「フープ&クラブ」ともに1位でぶっちぎり優勝。2位にはインターハイチャンピオンの常葉がいたことを思えば、決して楽な戦いだったわけではない。それでも優勝できるだけの力はあるのだ。

 そして今回、「ボール×5」3位、「フープ&クラブ」2位で団体総合2位。とくに、「D3」の得点はどちらの種目も1位。とくに「フープ&クラブ」でマークした13.000は、2番目に高い「D3」得点を上げた日本女子体育大学の11.700を大きく引き離した。しかし、難度の高さに比例して細かいミスは出てしまい、今のルールではその減点が大きいため、実施点が上位チームの中ではかなり低めになってしまっている。このへんのバランスがもう少しよくなれば、より上にいけるのでは、とも思うが、D得点でぶっちぎる! という金蘭会の演技が会場を沸かせてくれることも事実だ。新体操が求めるもの、今のルールが求めるものとのすり合わせは、勝つためにはもちろん大切なのだが、Going my wayの金蘭会は今後も注目のチームに違いない。

優勝:日本女子体育大学(東京都)

日本女子体育大学(東京都)
日本女子体育大学(東京都)

 全日本インカレでは武庫川女子と同点優勝。

 昨年の全日本選手権で武庫川女子に王座を明け渡した日本女子体育大学。今シーズンは、雪辱を期したユニバーシアード代表決定戦でも武庫川女子の後塵を拝し、全日本インカレでは、辛うじて優勝は成し遂げたものの武庫川女子と同点という苦しいシーズンとなっていた。

 全日本選手権に関しては、「絶対優勝する!」という思いも強かったことは想像に難くない。が、その思いが緊張につながったのか「ボール×5」では序盤にポロリと落下があった。その後は持ち直し、同調よく踊り感あふれる素晴らしい演技を見せてなんとか1位発進。しかし、全日本インカレでは、後半種目「フープ&クラブ」で大崩れし4位となっているだけに、一抹の不安はあったが、今回はこの種目が素晴らしかった。構成の面白さ、実施の正確さともに、他を圧倒する演技で堂々の総合優勝を成し遂げた。

 昨年はアジア選手権での優勝という輝かしい実績をあげながら、シーズンを締めくくる全日本選手権で苦杯をなめた日本女子体育大学だが、今年は女王へ返り咲き。地力の高さと、勝利への執念を見せつけた優勝だった。

全日本選手権で、団体2種目をやり切れる力をもつ高校生チームが増え、大学生と激しくしのぎを削るようになってきた近年の女子団体は、熾烈で、熱く面白い。

本日は、CS放送・スカイAで14時から、全日本新体操選手権女子団体総合が放送される。

まだ新体操を見たことない方にも、ぜひ一度見てもらいたい。

フェアリージャパンだけではなく、日本の国内にもこんなに素敵な演技をする大学生、高校生がいるという頼もしさを感じてもらえると思う。

※スカイAの「全日本新体操選手権」放送予定

<写真提供:清水綾子>