【男女新体操】超ハイレベルな前半種目に、男女ともに名勝負の予感!~第72回全日本新体操選手権

前半種目暫定首位の喜田純鈴(左)と安藤梨友(右)

10月18日、第72回全日本新体操選手権個人総合前半種目が終了した。

女子個人総合では、フープでほぼ非のうちどころのない貫禄の演技を見せ、21.300と、唯一の20点超えを果たした喜田純鈴(エンジェルRGカガワ日中/国士舘大学)が、ボールではとりこぼす場面が何回かあり、17.700に沈んだもののフープでの貯金を生かし暫定首位に立った。

フープでは20点超えを果たした喜田純鈴
フープでは20点超えを果たした喜田純鈴

2位には、一昨年の全日本チャンピオン・立澤孝菜(イオン/国士舘大学)が、ボールでは18.750と最高得点を上げ、フープも18.450と18点台を2種目そろえ、首位の喜田とは1.800差でつけている。昨年は故障でほぼシーズンを棒にふった立澤だが、前半種目はどちらも非常に落ち着いた危なげない演技を見せた。ほとんどの選手が絶え間なく手具操作を入れ込んできている中、非常に動きの少ない静的なボールの演技は新鮮に映った。儚げなまでに美しい演技をする選手だが、フープの演技では力強さもあり、パンシェでつま先を頭につけて回転するローテーションでは凄みすら感じられた。

3位の柴山瑠莉子(イオン/日本女子体育大学)は、この日の2種目ほぼパーフェクトだった。ボールは、立澤と同点の18.750でトップ。フープでも17.750と18点には届かなかったが、高得点をマーク。柴山の持ち味である「音楽を奏でるような、表現力豊かな演技」を披露し、2位立澤とは0.700差。

4位の山田愛乃(イオン)は、高校生で唯一人、上位に割って入る健闘を見せた。とくにボールは18.000と18点台にのせ、フープも17.450。どちらも目立ったミスはなく、勝負強さも感じさせる、勢いのある演技だった。

5位には、前半2種目を完璧にこなした猪又涼子(日本女子体育大学/ポーラ☆スターRG)が、フープ17.600、ボール17.550とスコアをまとめ入った。しっとりとした曲調のボールと、威勢のよい曲調のフープを見事に演じ分け、手具操作の正確性も際立った。

6位は、インカレチャンピオンの古井里奈(国士舘大学)。古井も2種目ともノーミスの素晴らしい演技を見せたが、17.850をたたき出した得意のボールに比べると、フープは17.150とやや点が伸びなかった。しかし、フープは今年になって新しくした作品で、春先の代表決定戦では大苦戦していたことを思えば、よくぞここまで! と思える演技だった。

7位は、フープでは惜しい落下があったが、ボールは完璧な出来で、パンシェターンやバランスで素晴らしい軸ののりを見せた桜井華子(エンジェルRGカガワ日中/環太平洋大学)。8位には、1種目目のフープをノーミスで久々にいいスタートをきった河崎羽珠愛(イオン/早稲田大学)が入った。ボールではわずかにこぼしたところがあり、もったいなかったが非常にはつらつとした演技を見せており、後半種目にも期待がもてそうだ。

暫定首位には、特別強化選手の喜田、2~4位はイオンの選手たちが占め、その下の5~8位が「97年組」という、今大会らしい結果となった1日目だが、上位陣にはミスが少なく見ごたえのある前半種目だった。桜井、河崎はミスの出た種目はあったが、1つのミスを引きずることなく、演技をやり切ることができたため、この順位につけている。大学4年生。さまざまな経験をしてきたからこその底力を感じさせる戦いぶりだった。

男子も、前半種目上位は非常にレベルの高い演技の応酬となった。

暫定首位となった安藤梨友(青森大学)は、最初の種目だったスティックが、すさまじく精度の高い演技で18.300。スティックは、4番という早い試技順だったが、それをものともせずこの日の最高得点をマークした。リングは「愛の讃歌」を使った意欲作だが、こちらも見事なノーミス演技で18.150と18点台を2つ揃え、初優勝へ視界良好だ。

2種目とも18点台にのせた安藤梨友(青森大学)
2種目とも18点台にのせた安藤梨友(青森大学)

2種目合計36.450という安藤のハイスコアを追う形で午後から登場した川東拓斗(国士舘大学)は、まずスティックで、他の選手との違いを見せつけるたっぷりと間をとった説得力十分な演技で18.225。安藤にはわずかに及ばなかったが反撃ののろしを上げた。続くリングでは、迫力あふれるパワフルな演技で、わずかに着地で弾んでしまったところがありながら18.175。こちらは安藤をかわし、この種目ではトップとなり、2種目合計36.400で安藤との差はわずか0.050に迫った。

3位には、2種目ともなんなくノーミスの堀孝輔(同志社大学)。とくにリングでは、2つのリングを時差をつけて違う投げ方で3連続で投げたり、2本同時投げを背面投げで行うなど、独自性のある構成で観客を引き込んだ。スティック17.950、リング17.825と限りなく18点に近い高得点をマークした。

4位は、2種目とも貫禄のノーミス演技を見せた社会人選手の臼井優華(大垣共立銀行OKB体操クラブ)。元来の持ち味であるダイナミックで力強い演技だけでなく、スティックでは、かつてなく「魅せる」方向に寄った遊びのある演技も見せ、社会人ならではの面白みを感じさせる選手になってきた。2種目合計35.275は、3位の堀と0.500差。まだまだ巻き返しの可能性は十分にある。

5位には、久々に「会心」と言えそうな演技を見せた小川恭平(花園大学)が入った。昨年の怪我によるブランクから復活したものの、8月の全日本インカレでは16位とまだ万全とはいえない状態だったところからのジャンプアップ。かつてないシャープさと深さを併せ持ったオリジナリティーの感じられる演技で、新境地を開いてみせた。

6位の佐藤颯人(青森大学)は、あまりにも全てが高いレベルにそろっていた。とくにスティックでは、柔剛併せ持った演技で、ふわりとしたジャンプ、凄まじい回転力をもった伸身でのひねり(おそらく3回)さらに連続してのひねりなど卓越したタンブリング、胸後反のあとの柔らかさを見せる伸び、すべてで彼の力を見せつけた。

7位の向山蒼斗(国士舘大学)の演技は、どこまでもスマートだった。ミスする気配さえ感じさせない熟練度の上に、リングでは地の底からわきあがってくるような力強さも感じさせる演技が圧巻だった。

8位には、今日の2種目を「一世一代」くらいの出来ばえで演じた満仲進哉(青森大学)が入った。男子選手としては卓越した柔軟性をもつ選手ならでは、柔らかくかつ粘るような独特の動きを駆使しノーミスで通しきった2種目は彼自身の存在証明のようにも見える演技だった。

非常にミスの少ない締まった試合になったため、男子は7位の向山から、15位の吉田和真までの9選手が2種目合計34点台にひしめきあうという史上稀に見る混戦となっている。2日目にはミスの出やすいロープがある。後半種目の出来いかんでは、混戦なだけに大きく順位は変わってきそうだ。

本日(10月19日)10時から行われる個人総合後半種目から目が離せない。

<写真提供:清水綾子>