【男女新体操】男子は森谷、女子は山田の高2コンビがともに初の高校総体覇者に!~2019全国高校総体

ドラマチックな「火の鳥」の曲を使った山田愛乃のクラブの演技

6日未明に九州に上陸した台風のため、前日のうちに個人競技は、開始時間を2時間遅くすることが決まった。

当初9時15分だった競技開始時間が、11時15分になった。

そんな急な変更も「ラッキーだった」と言うのが、男子の中では3番目という早い試技順だった森谷祐夢(国士舘高校)だ。

11時30分前には、もう1種目目・スティックの演技順が回ってきたが、9時半とは違い、体は十分に動くようになっていた。

森谷祐夢(国士舘高校2年)のスティックの演技
森谷祐夢(国士舘高校2年)のスティックの演技

スティックの曲は、「Once Upon a December」。

もの悲しい曲調が、美しい森谷の演技を引き立てる。

演技冒頭に男子新体操では珍しい前後開脚での大ジャンプが入っているが、その美しさには息をのんだ。

思えば、あの瞬間に彼の優勝は決まっていたような気がする。

スティックの得点は、17.050。今大会唯一の17点台だった。

森谷祐夢(国士舘高校2年)のリングの演技
森谷祐夢(国士舘高校2年)のリングの演技

11時41分、森谷は「はい!」と返事をし、2種目目・リングを演じるためにフロアに上がった。

「ある愛の詩」にのせた繊細で美しい演技を彼が終えると、会場は静まりかえった。

リングの得点は、16.900。完璧だったスティックに比べるとややもたついたように見える部分はありつつもノーミスでまとめ、こちらも最高得点をマークした。

森谷が演技を終えたのは、11時43分。競技開始からわずか30分後には、今年の全国総体チャンピオンは決まったのだった。

昨年は国士舘高校の先輩である向山蒼斗(現在は国士舘大学に進学)が優勝しており、国士舘高校としての連覇となった。

競技終了後、森谷選手に話を訊いた。

「優勝できたことは本当によかったです。

 5月のユースチャンピオンシップが終わってから、今日までは、大きく演技を変えたりはしていませんが、動きの面を強化してきました。手具の操作と体の動かし方、など細かい部分を見直して、磨いてきました。演技が終わった時間が早かったので、それから優勝が決まるまでは長かったです。競技開始が2時間遅くなったことへの動揺はありませんでした。かえって助かったところもありました。」

 タンブリングが強くなったように見えたが、

「だとしたら嬉しいです。自分は伸身でのタンブリングが得意なので、それを比較的多く入れています。去年の冬くらいから入れ始めたきりもみ前宙は、あまりやっている人がいないので、そこはちょっと自分の見せ場だと思っています。

 次の目標は、今よりももっと動けるようになりたい、そしてタンブリングももっと強くなりたいです。」

 同級生の東本侑也(広陵高校)について、

「(高校選抜では勝ったけれど)ユースでは負けていたので、今回は勝ちたいと意識はしていました。

今回、勝てたことは嬉しいですが、次は、東本くんもますます強くなってくると思うので、負けないように自分も頑張りたいです。」

女子では、今年のアジア新体操選手権日本代表にも選出された山田愛乃(クラーク記念国際高校)が、前評判とおりの演技を見せ、優勝した。

ボールで華やかな演技を見せた山田愛乃(クラーク記念国際高校2年)
ボールで華やかな演技を見せた山田愛乃(クラーク記念国際高校2年)

1種目目・ボールは、昨年から引き続き演じている作品で、ますます磨きがかかってきていた。動きがのびやかで、艶やかさもある。以前よりは技もかなり増やしているはずだが、それもこなれてきて、やっていることを伝えられるだけの間ができた。この1種目目を終えた時点で、山田の優勝は揺るぎないように見えた。ボールの得点はダントツの17.600。

ややミスはあったが、ダイナミックさが光ったクラブの演技
ややミスはあったが、ダイナミックさが光ったクラブの演技

が、2種目目のクラブでは、2本のクラブを繋ぎ合わせるところで一瞬手間取ったあと、リズムが狂ったのかパンシェターンでバランスを崩す、ラストの投げで落下とミスが続いてしまった。クラブの得点は15.000で、この種目だけなら4位にあたる点数。

しかし、終わってみれば、2種目合計では32.500と最高得点をマークし、昨年、一昨年と連覇した同じクラブチーム所属の柴山瑠莉子(現在は日本女子体育大学に進学)に続いて、千葉県勢としての3連覇を成し遂げた。

競技終了後、山田選手に話を訊いた。

「優勝できて、とても嬉しいです。ただ、クラブでは最後の最後にミスが出てしまって、そこは反省点です。次の全日本選手権に向けて、しっかり練習して挑戦したいと思います。クラブは途中から曲に遅れてしまい、焦っていたことが最後に響いてしまいました。

 今大会は、ボールもクラブもとても楽しめていて、とくにボールは最近の中で一番いい演技ができたので良かったです。」

今後の目標は、

「全日本選手権で大学生に食い込めるように頑張りたいです。順位や結果などの欲を持たないようにして、自分が今できることをきちんとやっていきたい。全日本選手権までは少し試合の間があくので、緊張感を忘れず日々の練習をしっかりやっていきたいです。」

初めて出場した全国高校総体の感想は、

「県で一人の代表だということで、緊張感もあり、結果を気にしたりも少しはありましたが、メイン会場に入ってからは落ち着いて、自分のことに集中できました。明日の団体では、同じ千葉県代表の昭和学院高校をしっかり応援したいと思っています。」

男子の森谷選手、女子の山田選手ともにまだ高校2年生。

しかし、すでに高校生の中では、ではなく全日本選手権で大学生に混じっても、上をうかがえるだけの力はある逸材だ。

2人が日本のトップに立つ日がくるとしたら、それは2020年以降かもしれないが、こういう選手の存在がある以上、「東京五輪後」の新体操にもおおいに期待してよさそうだ。

<写真提供:清水綾子>