【男子新体操】選抜覇者・森谷VSユースチャンピオン・東本の一騎打ちか?~2019全国高校総体

開催地鹿児島県代表・森園颯大(れいめい高校)も力のある選手

高校生は、4種目で競う高校選抜、全日本ユースチャンピオンシップ、男子クラブ選手権個人総合のいずれかで上位入賞することにより、10月に行われる全日本新体操選手権への出場権を獲得できる。

また、一昨年までは全日本ジュニアの上位3名も全日本選手権に出場できたため、今回の全国高校総体に出場している選手の中にも、すでに全日本選手権出場経験のある選手もいる。

岩渕緒久斗(尼崎西高校3年)
岩渕緒久斗(尼崎西高校3年)

昨年の全国総体でも3位入賞を果たしている岩渕緒久斗(尼崎西高校)だ。今年3月の高校選抜でも4位、近畿大会では惜しくも2位となったが、ジュニア時代から安定して結果を残してきた選手だ。のびやかでやわらかく大きさを感じさせる演技には、男子新体操のオーソドックスな良さが詰まっている。

尾上達哉(清風高校3年)
尾上達哉(清風高校3年)

近畿大会で、その岩渕を破った尾上達哉(清風高校)は、非常に表現力豊かな選手で、アピール性の高い演技に注目したい。

遠藤那央斗(名取高校3年)
遠藤那央斗(名取高校3年)

昨年の高校総体7位、今年の高校選抜で2位、全日本ユース7位と表彰台の常連となっている遠藤那央斗(名取高校)も、ジュニア時代から達者な選手だったが、ここにきて体も大きくなり、演技にスケール感が出てきている。

今年は、2年生に有力選手が多いが、岩渕、尾上、遠藤は3年生だ。すでに全日本選手権にも出場するだけの実績もあり、「最後の全国総体」に懸ける思いは強いだろう。

そんな3年生を脅かす2年生たちの3強と言えそうなのが、今年3月の高校選抜で優勝している森谷祐夢(国士舘高校)、全日本ユース優勝の東本侑也(広陵高校)、そして昨年は全日本ユース2位で全日本選手権にも出場している田中涼介(青森山田高校)だ。

森谷祐夢(国士舘大学2年)
森谷祐夢(国士舘大学2年)

森谷の持ち味は、繊細で美しく抒情的な演技だ。それでいて手具操作にも長け、タンブリングもじつは強い。非常にマルチな能力をもっているだけに、演技内容もかなり難易度が高い。しかし、それでも技に追われることなく、見る人を惹き込む表現力も兼ね備える透明感のある彼の演技は、観客に感嘆のため息をつかせる。

東本侑也(広陵高校2年)
東本侑也(広陵高校2年)

その森谷を退け、全日本ユースチャンピオンになった東本は、なんとも気持ちのよい体操と、間合いをもった選手だ。近年、やや技を詰め込み気味になりがちな男子新体操で、昔ながらの良さを醸し出しつつ、技術も強さも併せ持つ彼の演技は、非常に好感度が高く、評価もうなぎ昇りだ。高校選抜でも、じつは3種目で1位の得点を出しながら、クラブで大きなミスが出て総合3位に後退。その雪辱を全日本ユースでしっかり果たした気持ちの強さにも期待がもてそうだ。

田中涼介(青森山田高校2年)
田中涼介(青森山田高校2年)

田中は、高校入学したとたん、大ブレイクを果たした。団体優勝候補の青森山田高校の団体メンバーを兼任していることを思うと、個人の練習時間が十分とれているとは思えないが、ジュニアからの貯金と、抜群の身体能力、そして、演技にも現れる気持ちの強さゆえか、今年の高校選抜では5位、全日本ユースでも4位と気を吐いている。

大西峻介(恵庭南高校)
大西峻介(恵庭南高校)

高校選抜6位、全日本ユース5位とじわじわと力を発揮しつつある大西峻介(恵庭南高校)も、上位をうかがうだけの力はある。昨年まで上級生に強い選手がいたため、個人での全国総体出場は初めてだが、力強い体操とタンブリングに、手具操作でも攻める気持ちを感じさせるアグレッシブな選手だ。

7月に国士舘大学に遠征し、大学生の指導を受けながら演技に磨きをかけていた山本恭広(科学技術高校)、新垣大悟(南風原高校)、

山本恭広(科学技術高校3年)
山本恭広(科学技術高校3年)
新垣大悟(南風原高校3年)
新垣大悟(南風原高校3年)

九州大会での、表現力炸裂の演技がとても印象的だった田中昴(福岡舞鶴高校)、

田中昴(福岡舞鶴高校3年)
田中昴(福岡舞鶴高校3年)

昨年度全日本ジュニアチャンピオン・石橋知也(神埼清明高校)などの演技にも注目したい。

石橋知也(神埼清明高校1年)
石橋知也(神埼清明高校1年)

そして、なによりも、開催地・鹿児島県代表の2選手に、ぜひ注目してほしいと思う。

7月28日。れいめい高校を訪ねてみた。

田窪莉久(れいめい高校3年)
田窪莉久(れいめい高校3年)

B代表の田窪莉久(れいめい高校)は、今年の九州大会で3位。全日本ユースでも11位に入り、今年の全日本選手権の出場権をすでに得ている。しかし、この2年間、県大会、全日本ユース以外にはなかなか出番がなかった。が、この2年間、鹿児島県の男子は稀にみる豊作で、鹿児島実業に個人でも強い選手(吉留大雅⇒現在国士舘大学、石牟禮華月⇒現在青森大学)がいて、田窪はその壁を破れずにいた。

それでも、今年は開催県にあたったため、全国総体への切符をつかむことができた。この最後に回ってきたチャンスに懸ける思いはひとしおだ。

「優勝は目指していますが、結果より自分が気持ちよく終われて、みんなを感動させられるような、そんな演技をして、それに結果がついてくればいいと思います。」

と言う田窪だが、この日の練習の最後に通した1本はまさにそういう演技だった。こういう1本が本番で出れば、彼の目標は達成できるのではないかと思える演技だった。

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「自分は、タンブリングが得意なので、そこを見てほしいと思います。この2年間、納得のいく演技がなかなかできず、くじけそうになったこともありましたが、あきらめなくてよかったと思います。苦しいときに踏ん張れたのは、3年のとき鹿児島総体があることが決まっていたから。絶対にそこに出たい!という思いでやってきました。」

出番こそ、なかなか回ってこなかったが、そのポテンシャルの高さは、すでに多くの人の目に留まっている。しがみついて、しがみついて手にした鹿児島での全国総体。そこでは思い切り、のびのびと何も怖がらない演技をしてほしいと思う。

森園颯大(れいめい高校3年)
森園颯大(れいめい高校3年)

A代表の森園颯大(れいめい高校)は、今年度九州チャンピオンだが、昨年までの2年間、九州大会に進めなかった。2018年は高校選抜で6位に入り、全日本選手権にも出場している。なにより、彼はジュニア時代には九州では敵なし、全日本ジュニアも常連で、中3のときは準優勝という結果を残している。それが、高校3年まで全国総体はおろか、九州大会にも出られないとは想定外だったのではないかと思う。が、この2年間、田窪と同じく森園も県内での壁を破れずにいた。

ジュニア時代、それも小学生のころから華々しい活躍をしてきた選手だけに、この2年間、どれほど苦しい思い、悔しい思いをしてきただろうと思うが、やっとめぐってきた舞台が、地元・鹿児島での全国総体だ。幼いころから身にまとっていた彼のもっているオーラが、やはり最後には運も味方につけたのか、と思う舞台の整い方だ。

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初めての全国総体に向けての思いを訊いてみた。

「出るからには、もちろん優勝を目指しています。

 でも、それ以上に、今回は地元開催なので、今まで全国大会は観に来たことのない母が観に来てくれる予定なので、今まで支えて、応援してもらったことへの感謝の気持ちが伝わるような、演技をしたいと思います。

 スティックでは、曲をよく聴きながら、大きく動いて、呼吸が感じられるように、リングはテンポの速い曲ですが、動きのスムーズさが出せるようにしたいです。」

やっと迎えられるこの舞台。

思う存分、自分のためにこの時間を使ってほしいと、ただそれだけを祈りたい。

そして、この8月6日の鹿児島アリーナでの時間を楽しめたときに、彼はきっと

「新体操が大好き!」という気持ちを、手に入れることができる、そんな気がしている。

今年の全国高校総体新体操競技は、8月6~7日に鹿児島県の鹿児島アリーナにて行われる。観覧は無料だが、混雑が予想されるため、入場は抽選になっている。

※入場についての注意はこちら

男子個人競技は、6日(火)に行われる。

会場での観戦は無理でも、インハイTVでライブ中継されるので、ぜひこちらをチェックしてほしい。

※「インハイTV」はこちら

<写真提供:清水綾子> ※森園、田窪、田中は筆者撮影