【男女新体操】安心してください! 鹿児島実業は今年も出ます!~2019全国高校総体

3月の高校選抜から6月の九州大会までに5点アップをやってのけた鹿児島実業高校

「古豪復活」への道を歩む鹿児島純心女子高校に対して、女子でもう1つの鹿児島代表が鹿児島実業高校だ。

2017年までの14年間、鹿児島県の代表は鹿児島実業高校だった。

ユニークな演技の男子新体操が有名な鹿児島実業だが、女子の新体操部もある。例年、文化祭や地域の演技会などで行う男女合同の長縄の演技は、動画サイトなどでも大人気だが、そこで男子にも劣らぬ身体能力を披露しているのが、鹿児島実業の女子部員たちだ。全国で上位とまではいかないが十分に能力は高い。だからこそ、14年間、代表の座を守ってこれた。

鹿児島県B代表の鹿児島実業高校/九州大会
鹿児島県B代表の鹿児島実業高校/九州大会

今年の県予選では、ミスもあり2位だったが、開催地枠で「鹿児島B代表」として出場する。今年の作品は途中で大きく曲調が変わり、選手たちは演技中に様々な表情を見せてくれる。

若い水元菜央監督の元、高校生だけでなく、「鹿実RG」としてジュニア選手も育ってきている。ここ2年は鹿児島純心の後塵を拝しているが、まだまだ巻き返しのチャンスはある。そして、この2校がしのぎを削っていけば、やや低迷気味の九州の新体操を、鹿児島が牽引するときが来る可能性もある。

「開催県枠」での出場だと、普通なら「全国」には届かないだろうチームが出場することもあるが、昨年の超ハイレベルだった静岡県に続き、今年の鹿児島も十分、全国レベルといえる2校を揃えてきた。これは、鹿児島アリーナに駆けつけるだろう地元の観客をおおいに喜ばせるだろう。

そして、鹿児島といえば、なんと言っても男子!

鹿児島ではいちだんと知名度の高い鹿児島実業高校男子新体操部だ。

全国高校総体の切符がかかった九州大会では、5位。4位までが全国総体出場なので、あやうくまた「鹿実のいない夏」になるところだった。

が、今年は、幸いにも開催地枠があり、無事、今年の夏も鹿児島実業の演技を見ることができる。なにしろ、今年の九州大会はハイレベルだった。

優勝した神埼清明は17.650、2位芦北16.600、3位小林15.850、4位の福岡舞鶴でも15.650。単順にブロック大会の得点だけ並べてみると、福岡舞鶴も東北や近畿なら2位にあたる高得点だ。

高校選抜とは見違えるような演技を見せた鹿児島実業高校/九州大会
高校選抜とは見違えるような演技を見せた鹿児島実業高校/九州大会

そんな中、鹿児島実業の13.200は、言ってみれば「ダントツの最下位」だが、九州大会後の樋口監督の表情は明るかった。

「3月の高校選抜から5点も上がりました。すごくないですか?」

たしかにそうだ。

昨年のメンバーには、力のある選手が多く、6人中5人が3年生だった。

その3年生がごっそり抜けたチームで挑んだ今年3月の高校選抜での鹿児島実業の演技は、構成は昨年の「ヤングマン」を踏襲はしていたが、到底同じものには見えなかった。タンブリングの難度はもちろん落としていたし、鹿倒立でも2人動いてしまった。

結果、得点は、8.550。出場19チーム中17位という成績だった。

しかし、これは無理もなかった。キャプテンの藤本祥太以外は、全員が初めての全国大会出場だったのだから。

このときの失敗をバネにして、練習にいっそう熱が入ればそれでいい。

おそらく樋口監督はそう考えていただろう。

そして、本当にそうなった。

5月の県予選。6月の九州大会と、彼らの演技はみるみるブラッシュアップされてきた。

高校選抜のときは、「先輩たちの演技をなぞっている」ようだった演技が、どんどん自分たちのものになってきていた。タンブリングなど、短期間で強化するのは難しい部分は、徐々にやっていくしかないが、それ以外の部分、少しの意識や訓練で直ることは急速に改善していった。

その結果が、九州大会での13.200だ。樋口監督の笑顔にも合点がいく。

新チームは、着実に力をつけてきている。そして、ありがたいことに今年は全国高校総体という大舞台が、それも地元・鹿児島で用意されている。

この経験が、彼らをより大きく成長させてくれるに違いない。

7月27日。

全国高校総体で初披露となる新作演技の練習に余念のない鹿児島実業を訪ねた。

そこにいたのは、3月の選抜とはまったく別チームのような鹿実だった。

みんな、それぞれに伸びていたが、チームとしての一体感がすごい。今年の演技は、例年にもまして動きも速いが、細かい部分まで執拗なまでに音に合わせ、6人で揃える練習を積み重ねていた。

樋口監督も、「今年は、去年ほどタンブリングは強くないので、そこはあまり無理せずに、その分、同調性や体操のきれいさなどを見せらればと思ってます。」と言う。

じつは足先、指先などの美しさ鹿児島実業の演技の持ち味
じつは足先、指先などの美しさ鹿児島実業の演技の持ち味

キャプテンの藤本にも、チームが急成長を遂げたこの1年間を振り返ってもらった。

「去年のメンバーから先輩たちが抜けてしまって、自分しか残らないということに不安とプレッシャーはありました。本当にこのメンバーで、全国総体に出れるのか? と思ったこともありましたが、その危機感があったからみんなすごく必死に頑張ってきました。自分はキャプテンといっても、あまり引っ張っていけるタイプではないのですが、引っ張らなくても周りがぐんぐん上がってきてくれた感じで、自分もみんなと一緒に成長できたと思います。」

毎年注目される鹿児島実業の演技だが、今年に新作演技についても訊いてみた。

「今までの鹿実とはちょっと違う、、、かな。あれ? 鹿実なのかな? と思われる演技かもしれません。でも、見ているうちに、やっぱり鹿実だ! と感じてもらえるのではないかと思います。とくに前半は、細かい動きまでしっかり揃えるということを意識してずっと練習してきているので、そこを見てほしいです。

個人的には、第1タンブリング。自分は最後に跳ぶんですが、去年の秋から冬にかけて練習してきた技で、他の人はやっていないと思います。試合で使えるようになるまで時間はかかりましたが、ここは、自分が今まで鹿実の新体操でやってきた成果を見せられるところだと思うので注目してほしいです。」

振りの細かい部分まで合わせる練習を重ねている
振りの細かい部分まで合わせる練習を重ねている

強い先輩たちが多かった去年のチームでは、決して目立つ存在ではなかった藤本。

スリムな体型のせいもあって、やや影が薄い印象だった選手が、今年は、鹿児島実業のキャプテンとして地元の大声援を受けながら、全国総体で演技する。

しかも、第1タンブリングでは締めを務める。ややスリムすぎる体型も、今年の演技にはぴったりマッチしそうだ。

YouTubeで見た鹿児島実業の演技に憧れて、高校から新体操を始めたという選手を、2年4か月でここまでにする。コミカルな演技ばかりが話題になる鹿実だが、やはり樋口監督の指導力には確かなものがある。

そんな鹿実だから、審判には怒られても、順位は下位に沈んでも、みんなから愛されるのだ。

地元・鹿児島で、おそらく超満員になるだろう会場で披露される鹿児島実業の今年の新作演技。これは見逃せない!

今年の全国高校総体新体操競技は、8月6~7日に鹿児島県の鹿児島アリーナにて行われる。観覧は無料だが、混雑が予想されるため、入場は抽選になっている。

※入場についての注意はこちら

例年、会場がおおいに沸く団体競技は、7日(水)に行われる。競技開始は9時15分。

会場での観戦は無理でも、インハイTVでライブ中継されるので、ぜひこちらをチェックしてほしい。

※「インハイTV」はこちら

<撮影:筆者>