【男子新体操】地元の応援を力に。青森山田高校、「高校3冠」なるか?~2019全国高校総体

5月に行われた全日本団体選手権で優勝したときの青森山田高校

冬場に青森3都市をまたいで大きな盛り上がりを見せた、男子新体操のプロ集団BLUE TOKYOによる「BLUE冬大祭」。

「ぶるー nebuta」でのパフォーマンス(7/31公演)
「ぶるー nebuta」でのパフォーマンス(7/31公演)

その夏バージョンといえる、「ぶるー nebuta」が、7月31日開幕した。

こちらもおおいに賑わっているが、初日は、BLUE TOKYOのパフォーマンスだけでなく、トークショーも行われ、つい先日、「氷艶」で名フィギュアスケーター達と共演という、華やかな舞台に立ったBLUE TOKYOメンバー達の素顔が垣間見える楽しいトークで会場は沸いた。

「ぶるー nebuta」でのパフォーマンス(7月31日公演)
「ぶるー nebuta」でのパフォーマンス(7月31日公演)

そして、そのトークショーの時間を利用して、BLUE TOKYOの弟分である青森山田高校男子新体操部の「全国高校総体壮行式」も行われた。

トークショーでの青森山田高校壮行会
トークショーでの青森山田高校壮行会

青森山田高校が出場する全国高校総体の新体操団体競技は、8月7日(水)に、青森からは遠く離れた鹿児島県の鹿児島アリーナで行われる。

男子新体操の強豪である青森山田は、常に優勝候補の一角にはいるが、今年は、例年以上に力の入る大会となりそうだ。

「高校選抜、団体選手権に続いて、高校総体も優勝し、3冠を達成したい」と抱負を述べたキャプテンの佐久本和夢。
「高校選抜、団体選手権に続いて、高校総体も優勝し、3冠を達成したい」と抱負を述べたキャプテンの佐久本和夢。

なぜなら、2019年になってからの全国大会で、青森山田はすでに2勝(高校選抜、全日本団体選手権)しており、高校総体でも優勝すれば、「高校3冠」を達成するからだ。

2008年を最後に男子新体操が国体休止になるまでは、「高校選抜、高校総体、国体」が高校生男子では3大タイトルだった。

その後は、国体の代わりに2010年から新たに加わった全日本団体選手権を入れた3つが3大タイトルとなったが、この「3冠」を達成しているのは、2011~2012の井原高校(2011高校総体~2012高校選抜~2012全日本団体)だけだ。

全日本団体選手権での青森山田高校の演技
全日本団体選手権での青森山田高校の演技

今回の壮行会では、青森山田高校の演技披露はなかったが、事前に撮影されていた映像によるお披露目があった。

高校選抜、全日本団体選手権でも、その洗練された演技構成と、力強いタンブリング、実施力の高さなどが際立っていた同校だが、この夏に向けての作品は、非常に印象的な曲を使用し、チームの強みでもある同調性が強調された、「頂点獲り」に相応しいものに仕上がっていた。

猛暑に襲われている日本列島だけに、南国・鹿児島の暑さだけが不安要素ではあるが、条件はみな同じ。

今回の全国高校総体では、青森山田を率いる荒川栄監督が、「人生初」だという大トリだ。

大会3連覇のかかる神埼清明高校(佐賀県)の次、というガチンコ勝負には願ってもない試技順で、正真正銘の「神埼超え」を果たすことができれば、青森山田が「3冠」を達成する可能性が高い。

青森山田高校は、間違いなく男子新体操のトップ校だ。

2001年に、荒川栄が監督に就任してからの18年間で高校総体での優勝4回(2004、2009、2012、2015)。

3位以内に11回入っている(うち4回が優勝)。

そんな青森山田が今年の高校総体で優勝したとしても、決して驚くことではない。

が、この18年間で、青森山田の中身はかなり変わってきている。

契機となったのは、2011年の青森総体。

その前年の2010年、当時はまだ青森大学の現役だった学生たちによる「BLUE TOKYO」の活動が始まり、いわばその後継者たちを青森で育てるべく、青森開催の全国高校総体をきっかけに、本格的にキッズ、ジュニアの育成に乗り出したのだ。

それまでの青森山田は、強豪校ゆえに、地元出身の選手が少なかった。

ときには、「青森山田は、高校生のチームとしては強いが、他県で育てたジュニア選手をかき集めて勝っている」などと揶揄されることもあった。

それが、この2011年を境に変化していく。

「BLUE TOKYO」というロールモデルの存在もあり、青森では、男子新体操の認知度はどんどん上がっていき、やってみようという子ども達が増えた。指導には、強豪・青森大学OBがあたる、身近には最高のお手本となる高校生、大学生がいる。そんな環境で子ども達が伸びないはずはない。

2011年に発足したジュニアクラブ「BLUE TOKYO KIDS」は、すでに全国大会に出場するレベルになっており、その卒業生が青森山田高校、さらには青森大学に進学するようになってきている。

今年の5月に行われた「全日本団体選手権」(団体には小4~高3が出場できる)には、全国から25チームの男子団体が出場していたが、なんとその中の4チームが青森だった。

優勝した青森山田高校のほかに、

青森山田新体操クラブ

全日本団体選手権での青森山田新体操クラブ
全日本団体選手権での青森山田新体操クラブ

AOMORIYAMADA RG

全日本団体選手権でのAOMORIYAMADA RG
全日本団体選手権でのAOMORIYAMADA RG

BLUE TOKYO KIDS

全日本団体選手権でのBLUE TOKYO KIDS
全日本団体選手権でのBLUE TOKYO KIDS

が出場。いずれも、青森山田高校や青森山田中学、そしてジュニアクラブで練習している選手たちによるチームだった。

大会に出場できるレベルのチームがこれだけ育っているということが、現在の青森山田の強さの根底にある。

選手層が厚くなり、競争が激しくなり、個々の力は否応なく上がっていく。

それでいて、年齢幅が広く、長い付き合いのある仲間が多く存在することで、お互いを応援する気持ちは強くなり、選ばれて大会に出場する選手たちにとっては、その応援は力がなによりも力になる。

全日本団体選手権での青森山田高校
全日本団体選手権での青森山田高校

荒川監督になってからの18年間、さらにはその前の尾坂雄右監督の時代から(青森山田の高校総体初優勝は、1987年)ずっと。

青森山田は強かった。

が、今がいちばん、地域に密着し、愛され、応援される存在なのではないか。

「BLUE TOKYO」の舞台には、BLUE TOKYO KIDSの子ども達が登場する演目が用意されていることが多い。

「ぶるーnebuta」でのキッズの演技
「ぶるーnebuta」でのキッズの演技

その子ども達に対する会場の温かい声援、拍手などが、青森の男子新体操の未来を担う彼らへの期待の大きさが感じられる。

そして、そうやって育ってきた子たちと、青森山田にあこがれ、目指して全国から集まってくる選手たちが共存している強さが、今の青森山田にはある。

今、このチームが「高校3冠」を戴冠するとしたら、2011年から取り組んできたこのプロジェクトがひとつの完結を迎えるような気がする。もちろん、まだまだ通過点にすぎず、この先もずっと続いていくのではあるが。

ぶるー nebuta」でのパフォーマンス(7/31公演)
ぶるー nebuta」でのパフォーマンス(7/31公演)

青森山田高校は、高校総体優勝、そして3冠達成を目指して、3日には鹿児島に旅立つが、「BLUE TOKYO」は、まさに今、ホームグラウンドである青森で、恒例となった「ぶるー nebuta」公演を行っている。

今年で、5年目。例年1600人を超える集客で、地元だけでなくねぶた祭りに訪れた観光客にも、男子新体操のもつ魅力を発信し続けてきた公演だ。この公演を見て、「男子新体操をやりたい!」となった子どもも多いときく。

画像

今年の公演は、あと4日間だが、当日券は用意されている。(チケット受付:070-5367-9133)

青森が10年かけて育て上げてきた「BLUE TOKYO」によるこの公演を、より、多くの人に見てもらい、男子新体操の普及につながることを期待したい。

そして、8月7日には、青森山田高校が、高校総体優勝を目指して、鹿児島アリーナに登場する。

今年は、優勝争いがかなり熾烈なものになりそうで、青森山田といえど楽観はできない。

猛暑の鹿児島で、彼らが持てる力を存分に発揮できるように、祈りたい。

<写真提供:清水綾子>