【新体操】日本代表の座に挑む13人の舞姫たち~日本代表選考会展望vol.3 東女プライド

海外でも表現力が高く評価された藤岡里沙乃(ラヴィール/東京女子体育大学OG)

2016年のリオ五輪には、皆川夏穂(イオン/国士舘大学)が日本代表の個人選手として出場した。

これは、2004年のアテネ五輪に村田由香里(当時、東京女子体育大学)が出場して以来のことだった。

1984年のロスアンゼルス五輪で新体操が採用されて以来、個人競技で五輪に出場した日本人選手は、皆川夏穂で9人目になるが、その9人中じつに7人が東京女子体育大学の選手だった。

【過去の五輪の日本代表個人選手】※所属を記載していない選手は東京女子体育大学

●1984年ロスアンゼルス五輪:山崎浩子

●1988年ソウル五輪:秋山エリカ、大塚浩子

●1992年バルセロナ五輪:川本ゆかり、山田海峰(日本女子体育大学)

●1996年アトランタ五輪:山尾朱子、山田海峰(ジャスコ)

●2000年シドニー五輪:松永里絵子

●2004年アテネ五輪:村田由香里

●2016年リオデジャネイロ五輪:皆川夏穂(イオン/国士舘大学)

この東女一強時代から思えば、今の東女の状況を「さびしい」と感じる人も少なくないだろうと思う。

が、それは、「新体操」というスポーツが日本でより広く普及し、多くの選択肢を獲得してきた、その結果なのだ。

以前から東女にとってはライバルだった日本女子体育大学だけでなく、現在は、国士舘大学や日本体育大学なども東女の強力なライバルとなってきたが、国士舘の山本里佳監督、日体大の村田由香里監督ともに東女の卒業生だ。

現在の群雄割拠状態は、ある意味、東女の貢献によって出来上がったものとも言えるのだ。

その東女から、今回の代表選考会に3名の選手が出場する。

●亀井理恵子(東京女子体育大学)2018全日本選手権7位

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 2016年高校総体では優勝もした選手。非常に巧緻性の高い演技を見せ、技が隙間なくつまった高難度の演技ながら、それを音楽に気持ちよく一致して見せられるのが、この選手の強みだ。もともと器用性には恵まれた選手ではあるが、現在の新体操で上位に上がっていくために求められる手具操作能力は果てしない。昨年は、作品を刷新した種目があったことも影響してか、ミスが出てしまった大会も多かった。連続性の高い、つまった演技だけに、一か所綻びが出ればダメージが大きく、良さを生かし切れなかったこともあったように思う。が、今回の選考会に向けては、そろそろ精度が上がってきていることが期待できそうだ。難度点を稼ぐためにどうしても表現が犠牲になりがちな今の新体操の中で、確実に音に合わせて動くことができる亀井選手の存在は貴重だ。その能力を存分に発揮することができれば、もうひとつ上のステージに進むことができるのではないだろうか。

●藤岡里沙乃(ラヴィール/東京女子体育大学)2018全日本選手権9位

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 社会人選手として2年目を迎える藤岡選手だが、昨年はまったく衰えを見せず、「まだまだいける」という意欲満々の演技を見せてくれた。2018年は全日本選手権後にイスラエルでの大会にも出場し、優勝するなど、その芸術性の高い演技は、国際的な評価も高まっている。もともと器用なタイプの選手ではなく、現在の主流である「手具操作を詰め込んだ演技」では、その個性が生かしにくいタイプだとは思う。本人にもその自覚はあるようだ。トップレベルで戦い、世界を目指すためには、我が道をゆくだけではいけないことはわかっているので、現行ルールでの得点を上げるべく対応はしつつ、それでも「自分らしさ」を失わないというこだわりをどこまで貫いてくれるのか。その難しい両立をどうしても期待したくなってしまう。現役の個人選手では最年長となり、1回1回の演技が貴重なものに感じられる。ジュニア時代からずっと見るものを楽しませてくれた彼女の演技を、最後まで見届けたい。そう思わせる選手だ。

●松坂玲奈(東京女子体育大学)2018全日本選手権13位

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 今年、東京女子体育大学に進学。チャイルド、ジュニア時代から非常にしっかりした精度の高い演技を見せる選手だったが、高校3年間を通して、ますます能力には磨きがかかり、もともと大人びた雰囲気をもっていただけに演技に味わいが出てきた。技術的にはすでに高いレベルにあるだけに、大学でさらに表現力を磨いていけば、かなり面白い存在になっていくのではないかと思わせる期待の選手だ。

 中学、高校時代はずっと団体選手を兼任してきた。近年は、早い時期から個人に絞っている選手も多いが、高校まで団体兼任していく中で培っていた対応力、体力、集中力は、この先、個人に専念したときに大きな力になる。すでに長く活躍している選手ではあるが、個人選手としての松坂玲奈は、ここから! ではないか。大学生としての初戦、思い切りよくのびのびとした演技を期待したい。

※なお、4月20~21日には、スカイAが2018年全日本選手権TOP10選手の演技4種目を完全放送。亀井選手、藤岡選手の演技も放送される。代表選考会を生観戦できない人はぜひこちらで日本トップレベルの演技を堪能してほしい。

 ※スカイAの放送予定はこちら

<写真提供:清水綾子>※2018全日本選手権のもの