【男子新体操】無音演技が世界でも話題に! 男子新体操プロ集団・BLUE TOKYOの新たな挑戦

BLUE TOKYOには個人または団体で日本一を経験しているメンバーが多数いる

男子新体操の名門・青森山田高校、青森大学出身者で成り立っている「BLUE TOKYO」は、男子新体操のプロユニットとして、2010年に活動を開始した。

【参考記事】2017年2月のYahoo!ニュース記事

その「BLUE TOKYO」が結成8年目の終わりにきて、世界でも話題になっている。

今年の1月、メンバーの中の6人がドイツの「Turn Gala」に出演した。

17日間15都市22公演というハードな日程の中で、「BLUE TOKYO」が演じた2演目はいずれも好評で大喝采を浴びたが、

中でも、ベートーベンの「運命」と「第九」をアレンジした曲での演技「Beethoven Mix」は、ドイツの観客の度肝を抜いた。

この演目の中には、30秒間の無音の時間があり、その間、伴奏曲なしで彼らは6人で一糸乱れぬシンクロパフォーマンスを披露したのだ。

日本でも、2017年末の紅白歌合戦でアーティストの三浦大知とそのバックダンサーたちが披露して、多くの称賛を集めたことは記憶に新しい「無音ダンス」。それがBLUE TOKYOによって海を渡り、ドイツの観客を熱狂させた。

※ 映像がこちら( ↓ )で公開されている。ぜひ見てもらいたい。

お互いの呼吸だけで、動きを合わせる。

それは、男子新体操のいわば真骨頂だ。ある意味、彼らにとっては得意技。それほど驚くことではない、が、普通の人には考えられない。

もちろん、男子新体操経験者ならだれでもできる、というわけではない。

なにしろ、このBLUE TOKYOのメンバーたちは、競技者としての実績も凄い。

2008、2009年と全日本選手権個人総合連覇の春日克之。

2009年全日本選手権チャンピオン・春日克之
2009年全日本選手権チャンピオン・春日克之

2010年の全日本インカレ個人総合優勝の大舌恭平。

2010年全日本チャンピオン・大舌恭平
2010年全日本チャンピオン・大舌恭平

2011年の全日本インカレ個人総合4位の椎野健人。

2011年全日本インカレ4位・椎野健人
2011年全日本インカレ4位・椎野健人

2012年全日本選手権個人総合優勝の松田陽樹。

2012年全日本選手権チャンピオン・松田陽樹
2012年全日本選手権チャンピオン・松田陽樹

さらに、青森大学団体のメンバーとして青森大学の連覇に貢献した石井侑佑(2014)、植野洵、渡辺剣史郎(2014~2017)らもいる。

2014年全日本インカレの青森大学団体(石井がメンバー)
2014年全日本インカレの青森大学団体(石井がメンバー)
2017年全日本選手権の青森大学団体(植野・渡辺がメンバー)
2017年全日本選手権の青森大学団体(植野・渡辺がメンバー)

男子新体操選手として、アスリートとして超一流だった彼らが、全身全霊を懸けて育んできたのがこの「BLUE TOKYO」なのだ。

発足当時から、BLUE TOKYOは、男子新体操選手の能力がエンターティメントの世界でも通用することを証明し、男子新体操選手の進路の選択肢を広げることをひとつの目標にしてきた。

あれから8年。その目標はかなり達成されてきている。

現在は、BLUE TOKYO以外にも、男子新体操の経験者が様々なエンターティメントの世界で活躍している。流行の2.5次元の舞台のアクロバットダンサーとしては欠かせない存在になってもいるし、テーマパークのダンサーには「男子新体操枠」があるのでは? と言われるほど、コンスタントに元男子新体操選手が出演している。

現役時代の所属はさまざまだが、「エンターティメントの世界に飛び込む」ことが決して遠い夢ではないと、BLUE TOKYOが後進たちに示してきたことの影響は大きいだろう。また、制作サイドにも、「男子新体操出身者」の使い勝手のよさを彼らが浸透させてきた功績も大きい。

足かけ8年。

うまくいくことばかりではなくても、彼らは辛抱強く、粘り強く、活動し続けてきた。

それが1つの大きな実になってきたことは間違いない。

しかし、彼らにはもう1つ大きな目標があった。

それは、「青森を盛り上げること」だ。

高校、あるいは大学時代を過ごした青森への恩返しの意味もあるのだろう。

「BLUE TOKYO」という、あえて「青」を入れたユニット名にしているのも、「青森」にこそ彼らのアイデンティティーがあるから、だ。

2017年まで5年連続で行ってきた、青森市での「BLUE」公演が、2018年は休止になった。

いくら男子新体操が根付いている土地柄とはいえ、一都市で、男子新体操だけで、キャパの大きな会場での複数回公演は、営業的には厳しいのではないかと想像できたので、続けることが難しくなったのか、とも思っていたが、それも今年、復活した。

2019年2月に「BLUE冬大祭」が青森県内3都市で開催される
2019年2月に「BLUE冬大祭」が青森県内3都市で開催される

それも、今までの青森市だけでなく、八戸市、弘前市と青森県内3都市での公演だ。

開催地によって出演者や演出も変わる、地元色の強い内容になるという。

そして、その振り付けや演出はすべてBLUE TOKYOのメンバーたちが手がけるのだそうだ。

過去5回の「BLUE」公演は、著名な振付師や演出家の力を借りてきた。

だからこそのクオリティーの高さはたしかにあったが、「男子新体操」や「青森」が主役かと言えば、やや違う部分もあった。

今回の「BLUE冬大祭」は、まったく違う。

文字通り、BLUE TOKYOが一から創り上げる舞台だ。そして、そこには地元・青森を代表する演奏者や演技者が加わる。

「男子新体操で舞台を作る」を実現してみせたBLUE TOKYOが、今度は

「男子新体操と青森の力で舞台を作る」ことに挑戦するのだ。

トウキョウダンスマガジンに彼らのインタビューが掲載されているが、その中にこんなフレーズがあった。

「青森においての1つの答え」

まさにそうなんだと思う。

【参考記事】トウキョウダンスマガジンの記事

男子新体操と青森を、なんとか盛り上げたいと、8年間全力疾走してきた彼らが、そこで身につけた能力、技術、感性すべてを注いで、青森のためになにができるのか、を考えた結論がこれなんだと思う。

そんな熱が伝わったのか、2月11日の青森公演はあっという間にチケット完売だった。

過去にも「BLUE」公演をやってきた実績もあり、地域にも浸透していたのだろう。

今回が初公演となる八戸、弘前ならまだチケットは入手できるようだ。

遠くから出かけて行くには、青森よりもさらにハードルは高いが、青森~弘前、青森~八戸はアクセスは悪くない。

もちろん、県内なら比較的移動は負担にならない距離だろう。

ドイツでも大絶賛された、アスリートたちならではのパフォーマンスを、生で見るチャンス。

また、BLUE TOKYOの青森に対する熱い思いを感じとれるチャンス。

そして、男子新体操の関係者、ファンにとっては、彼らが8年間かけて切り拓いてきたもの、を確認する絶好の機会になるだろう。

「男子新体操」という決してメジャーとは言えないスポーツが、青森県という本州最北の地域に、どれだけ活力を与えることができるのか、この公演はその試金石にもなる。

「スポーツによる町おこし」のひとつの形としても、おおいに注目したい。

<映像・画像提供:BLUE ties Impression/新体操研究所/ジムラブ/清水綾子>