河崎羽珠愛(イオン)らが代表に!~第10回アジア新体操選手権大会

日本代表の座を勝ち取った個人選手(4名)と日本女子体育大学団体チーム

2日間にわたる「代表選考会」は、やや波乱ぶくみの展開となった。

昨年10月の全日本選手権では、個人総合2位、大本命と思われていた柴山瑠莉子(イオン)は、1種目目のフープからやや安定性を欠く演技となり、2種目目のボールではラストで手具を落下。2種目合計で8位と出遅れる。

今回が久々の試合となった元・五輪代表候補の早川さくら(イオン)も、なんとか演技をまとめてはいたが、やはり試合勘が戻りきっていない印象の演技で、細かいミスが散見され10位。

ここ数年、試合ではほとんどミスなく安定した演技を見せてきた猪又涼子(日本女子体育大学)は、1種目目のフープのラストで手具落下。手具が場外に出て、手具なしで演技を終えるという大きなミスがあり、2種目合計7位となる。演技の巧緻性では抜きんでたものをもつ亀井理恵子(東京女子体育大学)も、フープで珍しく落下があり、2種目合計6位。

「代表入り濃厚」と思われた選手の多くが、前半種目でつまずいた。

そんな中で、「絶対に代表に入る!」という気迫にあふれる演技を見せたのが、河崎羽珠愛(イオン)だった。

1種目目のフープでは、その高い投げに会場から声があがるくらいのパラフルでダイナミックな演技を見せ、15.500というぶっちぎりの高得点をたたき出す。今年からのルールでは、実施減点が大きくなったため、日本のトップ選手たちが集まったこの試合でも、15点台はなかなか出なかったが、この河崎のフープは別次元の得点だった。

2種目目のボールでは、演技序盤がかなり不安定で落下も出てしまったが、フープの貯金が効いて、初日から首位に立った。

大岩千未来(イオン)は、2種目とも惜しい落下はあったが、その美しさと能力の高さを存分に見せつける演技で、初日2位スタート。シニアでは初の代表入りに大きく近づいた。

古井里奈(国士館大学)は、1種目目のボールもミスなくまとめたように見えたが、12.550(ボールのみの順位は8位)と得点が伸びなかった。が、そこで気落ちすることなく、攻めに攻めた演技をフープで見せ、14.000と河崎に次ぐ高得点をマーク。追い上げて初日3位となった。

独特な世界観を見せる演技の藤岡里沙乃(東京女子体育大学)。フープ、ボールともノーミスの演技で、ミスの出る選手が多い中、完成度の高さで初日4位につけた。

2日目。

初日首位の河崎はどちらの種目もミスを最小限に抑え、自分らしさを見せる演技をやり切った。落下は1回ずつあり、納得の演技とはいかなかっただろうが、まわりの選手たちにもミスが連発する中で、堪えきった粘りの勝利だった。とくに最終種目となったリボンは、去年から使っている明るい曲調にのせて、躍動感のある演技を見せ、今シーズンに懸ける河崎の思いも伝わってくるような演技だった。

河崎羽珠愛(イオン)
河崎羽珠愛(イオン)

2位を守った大岩は、クラブをポロリとこぼす場面はあったが、最終種目のリボンでは、この選手だからできる! と思わせるため息の出るような美しい演技を見せつけた。ポテンシャルでは日本一、いや世界でもトップクラスといわれてきた大器がいよいよ開花しようとしている、と予感させる演技だった。

大岩千未来(イオン)
大岩千未来(イオン)

そして、3位には一昨年末の全日本選手権途中棄権から、手術を経て復活した古井が入った。古井は1種目目のリボンでも、破綻のない攻めの演技を見せ、会場からは大喝さいが起こったが得点は11.550ともうひとつ伸びなかった。しかし、そこでひるむことなく臨んだ最終種目のクラブは、神がかっていた。90秒間休むことなく動き、手具も動かし続ける。それもひとつひとつの操作が決して簡単なものではない。そこで投げる? そこでキャッチする? そこを繋げる?

そんなサプライズの連続でありながら、すべてが音に合っている。音楽が聴こえる演技なのだ。

このときの、古井の演技には、何か突き抜けたものがあった。得点も13.650。河崎に次ぐ高得点だった。

1年前の代表選考会には出場すらかなわなかった選手が、再びこの舞台に戻ってきて、さらにアジアへと駒を進めた。

古井の健闘は、怪我やさまざまな理由で、思うようにならない状況にある選手たちにもおおいに励みになったのではないだろうか。

古井里奈(国士館大学)
古井里奈(国士館大学)

4位には、飯田がすべり込んだ。今までは肝心なところでミスが出ることの多かった選手だが、今回は、ほかの選手たちが種目によって上下動を繰り返す中、4種目すべてを12点台にまとめるというしぶとさを見せた。今回は惜しい落下があったがリボンも、選手の個性に合った魅力的な作品だった。まだ、完成度を上げる余地はおおいにあるだけに、日本代表という立場に立った今からの大化けが期待できそうだ。

飯田由香(イオン)
飯田由香(イオン)

惜しくも代表入りを逃した藤岡にとっては、リボンの10.950が痛かった。落下などのミスはなかったように見えたが、エシャッペなどで細かいミスが散見された。実施減点の厳しい現在のルールではこの細かいミスの積み重ねで思った以上に点数が引かれてしまう。クラブでは飯田を上回る得点をマークしていただけに、悔しい5位となった。

また、団体は全日本選手権優勝チームである日本女子体育大学が代表に選出された。

アジア新体操競技大会は、4月29日~5月3日、マレーシアで行われる。

また、8月に行われるアジア競技大会の代表選考は、4月21日に改めて高崎アリーナで行われる。

アジア競技大会は、代表2名には特別強化選手の皆川夏穂、喜田純鈴が内定しており、残り1名という狭き門にはなるが、今回、悔しい思いをした選手たちは、そこに向けてさらなる研鑽を重ねていくに違いない。

※アジア新体操競技大会選考会結果

<写真提供:清水綾子>