男子新体操、地殻変動中!~2016高校総体団体を占う!

第7回男子団体選手権優勝の青森山田高校(青森県)

2016年6月12日に行われた「第7回男子団体選手権」において、青森山田高校が優勝した。

青森山田は男子新体操では強豪で団体選手権は連覇。

8月に行われる高校総体でも、優勝候補の筆頭であることは間違いない。

一方で、近年の男子新体操では新興勢力が目立ってきている。

男子団体選手権で2位に入ったOKB体操クラブ(岐阜県)も、男子新体操では強豪クラブとして知られている存在で、ジュニアから高校生、大学生、社会人まで幅広い年齢層の選手をかかえるビッグクラブだ。

しかし、このクラブで育った過去の名選手たちも成し遂げられなかった夢に、今のOKBの選手たちは挑もうとしている。

OKBの選手たちは、済美高校(岐阜県)に進学することが多く、現在、中京大学4年生の臼井優華をはじめ、五十川航汰(中京大学3年)、持舘将貴(青森大学2年)、山本悠平(国士舘大学2年)など個人選手としては、高校総体やユースチャンピオンシップでも活躍してきた。

しかし、高校総体の花形である「団体競技」には、出場できなかった。

競技人口の少ない男子新体操では、6人の団体メンバーをそろえることができなかったのだ。

臼井優華が、高校3年だったとき、当時、済美高校に在籍していたOKB(当時のクラブ名はNPOぎふ新体操クラブ)の選手たち4名(臼井・五十川・持舘・山本)の4人で団体を組み、東海大会に出場。男子新体操では、メンバー1名不足につき、1.50減点されるため、はじめから3.00減点というビハインドを背負いながら、東海大会を突破して高校総体に出場するという可能性に賭けた挑戦だった。

しかし、いくら個人のトップ選手が4人そろっていたとはいえ、3点減点は大きい。

島田工業高校(静岡県)、阿比久高校(愛知県)の壁を破ることはできず、団体での高校総体出場は夢で終わった。

OKB体操クラブ
OKB体操クラブ

あれから4年がたち、ついに、OKBの選手が6人、済美高校にそろった。

それが、今回は「OKB体操クラブ」というクラブ名で出場していたメンバーたちだ。

ジュニア時代から個人、団体とも全日本レベルの選手たちがぞろりとそろい、タンブリング力は全国でも屈指の同チームが、ついに「済美高校」として、高校総体の舞台に立つ。

それは、彼らにとっても、指導者にとっても、先輩たちにとっても夢が実現する瞬間だろう。

そして、彼らの夢は「出場」だけではない。おそらく本気で「優勝」を狙ってくる。

おそらく日本で一番早くから男子新体操のジュニア指導に真摯に取り組み、結果も出してきたOKB体操クラブの信念が、高校総体という場で大きな花を咲かせるところを、ぜひ見てみたいと思う人は少なくないはずだ。

それは、ひいては、男子新体操の普及につながる出来事になるはすだから。

男子新体操は、この10年で大きく変わった。

なんと言っても大きいのはジュニア選手の増加、ジュニア指導の進化だ。

その流れを引っ張ってきたのは、まぎれもなくOKB体操クラブだった。

ジュニアから育てた選手が、高校生でも大学生でも活躍する。

そして、いずれは社会人選手としても競技を続け、「男子新体操」という競技を発展させ、維持・拡大していく。

OKBは、頑固なまでにそれを志してきたクラブであり、そこで指導を受けてきた選手たちが、やっと高校総体という舞台に立つことは、全国にすでに多く生まれている、またはこれから生まれようとしているジュニアクラブの希望となるだろう。

宮城県名取高校
宮城県名取高校

すでに、この流れは、全国のあちこちで顕著になってきている。

今大会で3位となった宮城県名取高校も、主力選手は地元のジュニアクラブ「キューブ新体操」育ち。数年前まで高校総体出場を逃すこともあった名取高校だが、ここ4年は連続出場。全国でも上位を狙える存在になってきている。

武豊高校
武豊高校

武豊高校(愛知県)も、ジュニアの強豪校・半田市立半田中学や半田スポーツクラブで育ったジュニア達の受け皿となり、一気に愛知県のトップ校になった。武豊高校として高校総体に出るようになってまだ数年だが、すでに全国でも入賞常連校だ。

この地殻変動の激しい男子新体操界に、今年さらなる激震が走ろうとしている。

国士舘高校(東京都)が、メンバーが5人しかいないにもかかわらず、関東大会で2位となり、高校総体の出場権を獲得したのだ。

国士舘高校
国士舘高校

2010年に発足した国士舘ジュニア育ちの選手が3人になり、高校から新体操を始めた選手たちも順調に成長してきた今の国士舘団体は、2014年の高校総体に開催地枠で出場したときよりもかなりレベルを上げてきている。

5人編成では、上位進出はかなり厳しいと言わざるを得ないが、「国士舘ここにあり!」と示すことのできる演技は見せてくれるに違いない。

青森山田をはじめとて、かねてよりの強豪校ももちろん強い。

とくに神埼清明高校(佐賀県)は、神埼ジュニアで小学校のころから鍛えられた選手たちが、ついに高校生になり、チーム力を大幅にアップしている。

古豪、新興入り乱れ、しのぎを削り、意地がぶつかりあう今年の高校総体・団体団体競技は例年以上に熱い戦いになりそうだ。

高校総体団体競技は、8月11日(木・祝)に松江市総合体育館で行われる。ぜひ注目してほしい。

<写真提供:清水綾子>