立澤孝菜(イオン)が初優勝!~第14回全日本ユースチャンピオンシップに見る日本のユース層の充実

ボール、クラブ、リボンで1位。個人総合60.900で優勝した立澤孝菜(イオン)

6月10~12日に東京体育館で行われた「第14回全日本新体操ユースチャンピオンシップで立澤孝菜(イオン)が初優勝した。また、上位選手達のハイレベルな演技からは、日本のユース層の充実ぶりが感じられた。

立澤孝菜が所属するイオンは、リオ五輪個人代表選手・皆川夏穂をはじめ、皆川と最後まで代表の座を争った早川さくら、現全日本チャンピオンの河崎羽珠愛と、日本のトップ選手を数多く擁するクラブだ。

早川が大学2年生、皆川、河崎は大学1年生で、ユース層ではなくなったが、立澤は高校3年生。「イオンにはまだ立澤がいた!」と思い知らせることになった今回のユース初優勝だった。

今大会、フープで大きなミスが出て、13.300という立澤としては低い得点からのスタートとなったが、その後はしっかりと立て直し、ノーミス演技となったリボン、ボールでは16.150、16.450という高得点をあげた。

立澤孝菜
立澤孝菜

立澤の強みは、非常に美しいラインと圧倒的な可動域の大きさ。

新体操ではたいていの難度には相当な柔軟性が必要とされるが、立澤の難度の形の無理のなさ、美しさには圧倒的なものがある。

また、膝が入り、甲高なその脚のラインは日本人離れしていて、美しさに隙がない。

以前は、ややひ弱さを感じさせることもあり、ミスが続いてしまうこともあったが、高校生になったころから強さを増してきた。

昨年は春先に骨折があり、苦しいシーズンとなったが、それも乗り越えての嬉しいユース初優勝となった。

皆川、早川、河崎に続く選手として、いや、いつかは超える選手になることも期待したい逸材だ。

五十嵐遥菜
五十嵐遥菜

今大会では、優勝した立澤が4種目合計60点超えだが、2位の五十嵐遥菜(NOVA新体操クラブ/常磐大高校)が、58.750とやや差が開いてしまった。が、非常にアグレッシブな演技構成の五十嵐には、今大会ではややミスが多く、本来の出来ではなかったことを思えば、得点ほどの差があるようには感じられなかった。

立澤が「静」のイメージで、観客が息をのむような美しい演技を見せる一方で、

五十嵐や、3位の石井陽向(安達新体操クラブ)の演技には、曲に入り込み、自らの世界観を表現する力があり、観客を巻き込むようなエネルギーをもっている。

石井陽向
石井陽向

息つく間もない動き、そして、手具操作。スピード感と攻めの姿勢、さらに表現したいという思いが、ががんがん伝わってくる演技を見せる選手が2位、3位に続いた。

4位の堂園明香里(安達新体操クラブ)は、非常に実施力の高い選手で、決して無難な演技ではないのだが、ほとんどミスをしない。その分、自身の演技をやり切り、見せきる力があり、着実に評価を上げてきた。

堂園明香里
堂園明香里

5位の福田希美(アリシエ兵庫)も、巧みで独創的な手具操作をこともなげに、正確にやってのける選手。隅々までコントロールされたその演技は見ていて爽快感がある。やや表現の面で「薄い」感もあったが、ここ1年でかなりその部分にも進化が見えてきた。

福田希美
福田希美

6位の柴山瑠莉子(イオン)は、今年、高校生になったばかり。ジュニア時代はジュニアチャンピオンの喜田純鈴(エンジェルRGカガワ日中)とともに国際試合も経験。喜田にも劣らない評価を得てきた日本期待の選手だ。シニアに上がる今年、4種目一気に作品を変え、3月の代表決定戦、今回のユースもミスで自滅しているが、それだけ難しい内容の演技に挑戦しているのは誰の目にも明らかだ。このチャレンジを乗り越えたときには、破格の得点も期待できる。

演技の完成度が上がり、安定感が増せば、柴山本来の持ち味である、曲によくのった表現力豊かな演技が見られるだろう。今大会での結果には悔しい思いをしているだろうが、決して自信喪失することなく、高みを目指してほしい選手だ。

柴山瑠莉子
柴山瑠莉子

7位の亀井理恵子(世田谷ジュニア新体操クラブ)も、このところ試合でミスが出てしまうことが多かった。今大会もリボンで13.000の24位と沈んでしまい、この種目が足を引っ張ってしまったが、初日のリボンでのミスで予選11位通過となってしまった亀井が「起死回生」を懸けた決勝でのボールは、よどみなく隙のない圧巻の演技だった。結果、ボールは2位。ミスなく4種目まとめられればより上にいけるポテンシャルを証明してみせた。

亀井理恵子
亀井理恵子

8位の田口美加(エンジェルRGカガワ日中丸亀)も、ジュニア時代からテクニカルな選手として目を引いていた。今もその良さは変わらず、とくにクラブ、フープなどは独創的でエキサイティングな操作をふんだんに織り込んだ演技を見せてくれる。喜田純鈴を擁するエンジェルRGは柔軟性に富んだ選手が多く、以前は、手具操作はやや後回しな印象のクラブだったが、現在は、身体能力の高さと器用性の両方をもった選手(喜田を代表として)が増えてきた。器用性の面では、田口の存在がクラブ内でよい規範になっていたのではないかと想像できる。

田口美加
田口美加

日本のユース選手たちは着実にレベルアップしていること。

それも、かなり個性豊かで、いろいろなタイプの選手が育ち、また評価もされるようになってきていることを頼もしく、嬉しく感じられる大会となった。

<写真提供:末松正義/清水綾子>