リオ五輪に挑む!~体操女子代表選手決定! その得点力を試算する~

キャプテンを務める寺本(中央)、初出場の宮川(左)、内山(右)

3つの代表選考試合を経て、7人の候補選手に絞られていた体操女子のリオ代表選手が、25日の試技会の結果、5人に決定した。

メンバーは、寺本明日香、村上茉愛、杉原愛子、宮川紗江、内山由綺の5人。

キャプテンの寺本以外は10代、そして初出場という若いチームとなった。

代表選考試合2つ目のNHK杯で3位以内に入り、代表候補入りを決めた寺本明日香(中京大学/レジックスポーツ)、村上茉愛(日本体育大学)、杉原愛子(梅花高校/朝日生命)のTOP3が、安定感で抜けている。6月25日に行われた代表選手決定のための試技会においても、村上が4種目合計57.300で1位、2位に杉原、3位に寺本という結果だった。

抜けているだけでなく、この3人の中での順位の入れ替わりも激しく、今シーズンに入ってからは全日本選手権は村上、寺本、杉原、NHK杯は寺本、杉原、村上となっている。リオ五輪での個人総合に出場できるのは1か国2名まで。となると、この3人の中での上位2人しか個人総合に進めないことになり、仲間でありながらライバルという願ってもない関係でリオまで競って成長していけそうだ。

また、リオ五輪の予選は「5-4-3制」で行われ、決勝は「5-3-3制」となるため、上位3人が安定していることにより、得意種目では高い得点力を誇るものの、やや安定感に欠ける内山由綺(スマイル体操クラブ)、宮川紗江(セインツ体操クラブ)には極力、得意種目に専念させることもできるだろう。跳馬とゆかが宮川、段違い平行棒と平均台は内山のよいスコアで考えれば「日本4番目の選手」はかなり強いことになる。

今シーズンの選考試合での各選手がマークしている最高得点をもとに、リオ五輪をシミュレーションしてみよう。

宮川紗江
宮川紗江

予選では、日本は跳馬スタートの正ローテーションとなる。跳馬は、かつては日本が苦手としていた種目だが、今回は強そうだ。

宮川が15,550、寺本が15.300、村上が15.100と3人までは15点台を並べられる可能性が高い。4番手の杉原も14.450と決して低くない。跳馬で穴をつくらずにすめば、良いスタートが切れそうだ。

内山由綺
内山由綺

2種目目の段違い平行棒は、落下など大きなミスの出やすい種目だが、日本としては跳馬で勢いにのって、気分よくこの種目を迎えたいところだ。

内山は、選考試合での最高スコアは14,350。以下、寺本が14.200、杉原14.150、村上14.050。跳馬に比べるとやや得点力は低くなってしまうが、内山はより高い得点を出せる潜在能力はある。リオまでに確実性を高め、本番で最高のパフォーマンスができれば日本の段違い平行棒の得点源になりそうだ。また、寺本、杉原は段違い平行棒で大きく崩れることがめったにない。その安定感が日本にとってはありがたい。

杉原愛子
杉原愛子
寺本明日香
寺本明日香

3種目目の平均台も、落下が起きやすく、今回のメンバーだとこの種目で堪えきれるかが予選突破、そして上位進出の鍵となる。

平均台の最高スコアは寺本の14.350だが、なんと14点台をマークしているのはこの寺本だけ。続いて杉原の13.750、内山・村上の13.500とやや低めの得点にとどまっている。かつては日本の得意種目だった平均台だが、今回はここが鬼門となりそうだ。

とくに緊張度の高い試合での平均台は、落下、ふらつきが多くなり、なかなか得点が伸びない。リオ五輪という大舞台で、初出場の選手たちがどこまで平均台で力を出せるか、で日本の順位は大きく変動しそうだ。

村上茉愛
村上茉愛

最終種目のゆかは、かつては日本がなかなか得点を伸ばせなかった種目だが、今回は違う。村上の15.100、宮川14.750、杉原の14.300、寺本の14.050とかなり得点力が上がってきている。さらに、宮川は今シーズン脚の故障で昨シーズンのような演技をやり切れないままでのこの得点なので、リオまでに完全復調すれば、より高い得点も望めるだろう。また、現時点ではゆかの最高スコアは13.700にとどまっている内山も、より高得点を出せる力はもっている。今回のチームは、予選のローテーションなら最終種目で追い上げ可能なメンバーだ。仮に段違い平行棒、平均台などでミスが出てしまったとしても最後まであきらめず、自分たちの演技をやり切ることができれば、結果はきっとついてくる。

杉原愛子
杉原愛子

昨年のアジア体操選手権、世界選手権とも、日本女子は若さとチームワークの良さが感じられるいい試合を見せていた。

(※参考記事アジア体操選手権<前>/アジア体操選手権<後>/世界選手権予選

誰かにミスが出ても、チーム全体が沈むことなく、悪い空気を払おうという気概があった。

リオ五輪メンバーは、その昨年の戦いを知っているメンバーになった。寺本以外は五輪は初出場となるが、「世界」は経験している。

五輪という舞台に舞い上がってしまうのではなく、そこで自分がどうありたいかをイメージして練習を積んでこれているメンバーだ。

昨年の「世界選手権団体5位」を、どうすれば上回ることができるのか。

それは本人たちがいちばんよくわかっているだろう。

彼女たちならきっとやってくれる。そう信じたい。

※リオ五輪体操競技女子は、8月7日:団体予選、8月9日:団体決勝、8月11日:個人総合決勝、8月14~15日:種目別決勝が行われる。

<写真提供:末永裕樹/松田 優>