猪又涼子(日本女子体育大学)、ソフィアカップで国際大会デビュー!

先日行われた東日本インカレでも優勝した猪又涼子(日本女子体育大学1年)

2016年5月24~29日、ブルガリアのソフィアで新体操ワールド杯ブルガリア大会が開催される。

27~29日に行われるワールド杯に先だって、24~25日には国際トーナメント(ソフィアカップ)が行われるが、この大会に日本から猪又涼子(日本女子体育大学)が出場することになった。

ワールド杯ブルガリア大会には、当初、団体競技にフェアリージャパンPOLA、個人競技にリオ五輪代表候補の皆川夏穂(イオン)、早川さくら(イオン)の出場が予定されていたが、フェアリージャパンPOLAがコンディション調整のため欠場となった。

そのことと関連があるのかどうかはわからないが、猪又選手の派遣は突然発表になり、急きょ決まった出場という可能性もある。

いずれにしても、猪又涼子にとっては、「JAPAN」を背負って出場する初の国際試合となる。

フロア全体を隅まで使いエネルギッシュな演技を見せる猪又選手
フロア全体を隅まで使いエネルギッシュな演技を見せる猪又選手

昨年は高校選抜、ユースチャンピオンシップ、高校総体と個人3冠を達成。

11月の全日本選手権でも個人総合3位と、日本のトップ選手と呼ぶにふさわしい実績を残してきた猪又選手の国際デビューは、じつに喜ばしいことだ。

「日本代表」を決める試合に出場するようになって以来、猪又選手はことあるごとに「世界を目指す」と口にしてきたが、それはあくまでも「夢」のようなものではないかと感じずにはいられない状況が、日本の新体操界では続いていた。

リオ五輪でのメダル獲得もされているフェアリージャパンPOLAは、選抜の際に体型もかなり考慮される。体重は努力である程度コントロールは可能だが、身長ばかりはどうにもならない。しかし、フェアリージャパンの従来の基準だと、160センチ以下でははじめから問題外、が現状だった。

個人競技でリオ五輪の代表候補になっている皆川、早川もスーパーモデル並みのスタイルの持ち主。海外でも見劣りしないスケール感のある容姿だ。そういう選手たちしか、世界の舞台にあがることはできない。多くの新体操関係者、選手たちがそう思い込んでいた時代が長く続いてきた。

2000年のシドニー五輪を最後に、世界では低迷を続けてきた日本の新体操は、「スタイル」によるビハインドをまずなくすところから強化してきた。見映えも採点に影響する新体操では、いくら技術が高くても、ミスが少なくても、「美しくない」の一言で得点が伸びない、ということもあり得る。小柄で、海外に行けば「小学生か?」と言われることも多かった日本の選手たちが、海外で戦い、勝ち抜いていくにはまず国際規格の容姿が必要だったのだ。

その判断は概ね間違っていなかった。

だからこそ、リオ五輪での団体、個人同時出場を成し遂げることができたし、フェアリージャパンPOLAはメダル獲得の可能性も見えてきたと言われている。

観客まで笑顔にするパワーをもった猪又選手の演技
観客まで笑顔にするパワーをもった猪又選手の演技

しかし、その一方で、身長の低い選手たちには、なかなか国際舞台のチャンスが回ってこなくなった。

ジュニアの間はまだしもチャンスがあるが、シニアになってしまうとまずチャンスがない。

猪又選手は、ジュニア時代から有望な選手ではあったが、トップに登りつめるまでの安定感がなかったため、ジュニアでは国際試合の経験がない。高校生になってからめきめきと力をつけ、「日本代表決定戦」にも2年連続で駒を進めたが、強化選手たちの高い壁の前になかなか「世界への扉」は開けなかった。

もう少し背が高ければ…

本人も周囲もそう思ったことはあるだろう。

ここ数年は、「世界を目指す」と口にはしているが、どこかで「無理じゃないか」と感じていたのではないかとも思う。

それでも。

もしかしたら、周りから「なに言ってるの?」と思われたとしても、彼女は「世界を目指す」と言い続けてきた。

そして、その夢はついにかなったのだ。

猪又涼子が踏み出すこの一歩は、日本の新体操界に風穴を開けるかもしれない。

彼女だけではなく、この先に続く多くの選手たちの中から、たとえ小さくても世界で認められる選手が出てくるかもしない。

結果いかんではなく、まず、その舞台に猪又涼子が立つということ。

そのことに大きな意味がある。

ソフィアカップは、日本時間の24日19時30分競技開始となる。

<写真提供:清水綾子/末永裕樹>