男子新体操&チアダンス~表現スポーツの新しい可能性

国士舘大学男子新体操部+Team JCDAのコラボ演技

2015年11月28~29日、日本チアダンス協会(JCDA)主催の「第15回全日本チアダンス選手権大会・第13回全日本学生チアダンス選手権大会」が東京体育館にて開催された。

チアダンスは、日本での歴史はまだ浅いが、驚異的なスピードで普及が進み、現在はジュニアから中高校生、大学生、シニアと幅広い層に競技人口を増やし、競技力も向上を続けている表現スポーツだ。国際大会への出場も盛んに行われており、今回の大会も上位チームは、アメリカでの大会出場の推薦が受けられるようになっていた。

チアダンスは、チアリーディングの中のダンス部分を独立させた競技で、組み体操のようなアクロバティックなものは含まれない。「チア」というとイメージされがちな、人の上に人が乗ってポーズをとったり、上に乗った人を投げたりする「チアリーディング」とはかなり様子が違い、どちらかというとダンスコンクールのような趣きだ。

今回は、そのチアダンスの決戦大会のエキシビションに国士舘大学男子新体操部が登場すると聞いて、取材に行ってみた。

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男子新体操は近年、競技会以外のさまざまな場面に活躍の場を広げている。とにかく競技人口を増やすことが急務となっている男子新体操にとって、より多くの人に存在を知ってもらい、「男子新体操」というスポーツの魅力を伝える必要があり、そういった可能性のある場を求めて、男子新体操関係者が活動してきた賜物だろう。

シルク・ドゥ・ソレイユをはじめ、浜崎あゆみ、EXILE、遊助、DRUM TAOなどのライブのダンサー、ディズニーリゾートなどテーマパークのダンサー、さらにはミュージカル、舞台など。男子新体操で鍛えたアクロバットを見られる場は着実に増えてきている。

そんな中、国士舘大学は、かねてよりオーケストラとのコラボ、チアダンスとのコラボなどにも果敢に挑戦し、男子新体操のPRに努めてきていた。とくに今回のチアダンスとのコラボは、「表現スポーツ」という同じ土俵での融合ということで、注目されていたのだ。

この日、国士舘大学のコラボ演技は、競技がひととおり終了し、表彰式も終えてから、表彰後に行われる入賞チームの演技披露までの時間に行われた。

Team JCDAという実力とキャリアを兼ね備えた女性チームと国士舘大学とのコラボ演技は、前半と後半でまったく毛色の違うものだった。

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前半は美しい曲調にのせたしっとりとしたJAZZ系の演技で、国士舘大学は、主に団体の選手たちが登場。その美しさでは定評のある「国士舘の男子新体操」らしい動きで、女性たちにもひけをとらない美しさを見せつけた。その一方で、チアダンスでは禁止されているアクロバットもふんだんに取り入れ、男子新体操ならではの迫力もあり、演技フロアを取り囲むようにして見ていた大会出場選手たちからも歓声があがっていた。

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後半は、一転してノリのいいエネルギッシュな曲で、選手たちも新体操の競技中には見られない満面の笑みで登場。後半は個人競技の選手たちによる大縄や手具を使った演技となっていた。

男子新体操選手による大縄の演技は、いわゆるダブルダッチ的なものから、アクロバットとの組み合わせで多種多様な跳び方を見せるエンターテイメント性の高いものとなっているため、この会場でも大ウケ。さらに、クラブやスティック、リングなど男子新体操独自の手具をジャグリングのように扱ったり、タンブリング中に投げ受けを行ったりするテクニカルで表現力豊かな演技は、盛大な拍手を浴びていた。

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いかんせん、合同練習の機会が少なかったのだろうが、女性チームとの絡みは控えめで、せっかくの「男女混合」を生かし切れなかった感はあったが、それでも、男子がいれば女子の華麗さが際立ち、女子がいるからこそ、男子のダイナミックさが引き立つという相乗効果は十分に感じられた。

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国士舘大学の演技のあとに行われた入賞チームの演技披露では、現在の日本のトップレベルだけのことはある素晴らしい演技の連続で、エキシビションを終えて観客に回っていた国士舘大学の選手たちも見入っていた。

チアダンスは男子新体操よりも、日本での歴史はずっと短いが、短期間でこれだけの大会を行い、国際大会にも派遣できるだけの競技力をつけてきた。

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まだ国際化することができず、将来を模索している最中の男子新体操にとっては、こういったチアダンスという世界との交流によって学ぶことも多いのではないか。

また、チアダンスの選手たちにとっても、男子新体操の特徴である同調性や美しい動きなど、おおいに刺激になった面もあるだろう。

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同じ「表現スポーツ」を志すもの同士のこういった交流は、双方のスポーツの発展に必ずつながっていくに違いない。

<写真提供:末松正義>