団体も五輪枠獲得! 種目別銅メダルも! ~第34回世界新体操選手権

五輪出場枠と種目別銅メダルを獲得したフェアリージャパンPOLA

皆川夏穂(イオン/大原学園高校)の五輪個人枠獲得の興奮も冷めやらぬ9月12日、世界選手権では団体総合の競技が行われ、日本からはフェアリージャパンPOLAが出場した。

3大会ぶりの枠獲得に必死だった個人競技と違って、日本の団体はすでに北京、ロンドンと2大会連続で五輪出場を果たしており、さらには今シーズンは、ワールド杯でもメダルを獲得したこともある。今回の世界選手権で8位までに入れば文句なしに五輪枠獲得となるが、それはそれほど難しいことではないだろう、と思われた。

しかし、新体操の団体競技は、見たことのある人ならわかるだろうが、いくら練習を重ねてもわずかなミスでずるずると崩れていってしまう怖さがある。

団体総合は、2グループに分けて行われ、日本は後半グループに入っていたが、前半に登場した強豪国・ロシア、ベラルーシなどもまさかのミスを連発。日本にとっては、五輪枠を競うライバルとなるイスラエル、中国などもミスが出た。「五輪の懸る試合」ゆえの緊張感からか、どのチームも力が発揮しきれない中、スペインだけが2種目ともノーミスで、前半終了時の順位は、ロシア、スペイン、イスラエル、ベラルーシとなった。従来の大会成績だと、日本もスペイン、イスラエルあたりとは互角の勝負をしており、十分に期待できる展開ではあるが、本来なら日本よりははるか上のはずだったベラルーシがすでに4位に沈んでいることを思えば、日本がそうならないという保証もない。

ビートルズメドレーでのりよく踊りきるフープ&クラブの演技
ビートルズメドレーでのりよく踊りきるフープ&クラブの演技

後半グループでは、イタリア、ブルガリアなどの強豪と、日本、さらに日本のライバルであるフランス、アゼルバイジャン、ウズベキスタン、フランス、ウクライナなどがひしめき合っている。

そんな中で、1種目目をうまくまとめたのが、ブルガリア、イタリア、そして日本だった。日本はビートルズメドレーにのせたフープ&クラブからのスタートだったが、落下などの大きなミスもなく、明るく覇気のある演技を見せて、17.316をマークした。1種目目ブルガリアはリボンで17.783、イタリアはフープ&クラブで17.716と高得点を出しているが、日本は後半グループの中では3番手につけた。

2種目目、ブルガリアはフープ&クラブでも素晴らしい演技を見せ、17.800。合計得点を35.583とし、前半グループのロシアとスペインの間に飛び込んできた。

続く日本のリボン。普通にやれれば大丈夫なはず、だが、リボンは大きなミス、挽回不能のミスが起きやすい種目だ。

日本が2004年のアテネ五輪の団体出場権を逃した2003年の世界選手権では、このリボン団体で大きなミスが出た。演技途中で結び目ができ、それをほどくことができないまま演技を続けてしまったのだった。

そんな過去を、今の選手たちは知っているかもわからないが、その記憶がある人たちは、この大事な場面での「リボン」という種目にいささかの不安を抱いたのではないかと思う。

ラストの4本投げが大きな見せ場になっているリボンの演技
ラストの4本投げが大きな見せ場になっているリボンの演技

しかし、それは杞憂に終わった。今のフェアリージャパンPOLAは、2003年の暗い記憶を払しょくするはつらつとした演技を見せた。わずかに移動などはあったが、それも大きく演技を乱すようなものではなかった。見せ場であるラストの4本投げも、やや寄りすぎながらもきっちりと決め、演技終盤を盛り上げた。得点は、17.366。この時点で、スペインについで4位につけた。

最後に演技を行ったイタリアのリボンは、落下などややミスの目立つ実施で、17.066に終わったが、フープ&クラブの貯金がきいて日本を抜き4位に入り、日本は団体総合5位となった。この時点で、五輪枠獲得という使命は果たしたが、全体的にミスの多い大会だったため、終わってみれば、日本の総合得点34.682は、3位のスペインと0.218という僅差だった。

ほんのあと少し、何が違っていれば「世界選手権でのメダル」も夢ではなかったのだ。

そう思えば悔しいような、そこまできたことが嬉しいような、そんな団体総合の結果だったように思う。

6位・イスラエル、7位・ベラルーシ、8位・中国までが五輪出場を確定したが、これらのチームも今大会はミスが出てこの位置になっている。リオ五輪に向けてはさらに精度を高めてくるだろうことを思えば、今回同様の5位やさらにメダル獲得となると、まだまだ道は険しいと言わざるを得ないが、強豪国でさえミスを犯す緊張感のある試合で、2種目ノーミスでやりきれたことが今回の結果につながった。

技術的な面だけでなく、おそらく気持ちが強くなったのだと思う。

現在はフェアリージャパンPOLAの団体メンバーも増え、今回の世界選手権に派遣されたメンバーも直前で入れ替えがされていた。自分の出番があるかどうかもわからない中で、希望を失わず、あきらめず努力する。めぐってきたチャンスをしっかりつかむ。フェアリージャパンPOLAの中でもそういった競争が以前よりも激しくなっているのだろう。

必死にくらいつき勝ち取ったチャンスで、自分の力を発揮する。日本のフェアリーたちは、美しく、可憐なだけでなくそんな強さも身につけてきたのだ。

そして、その強さは、種目別決勝で爆発する。

日本は2種目とも決勝に進出したが、1種目目のリボンでは、日本より先に演技を行ったチームがことごとくミスを犯す。それでも、ロシアはさすがに17.850はキープするも、他のチームは、16点から17点になんとかのせる、といった具合で、7番目に登場した日本がミスなく演技できれば、メダル獲得の可能性もあり、という展開になった。

選手たちがその状況を知っていたかどうかはわからないが、知っていたとしてもそれが悪いほうに働くことはなかったようだ。前日同様、少々予定とおりにいかない部分があっても冷静に対処し、大きなミスは回避。ラストの4本投げは前日以上に精度よく決め、大喝采を浴びた。17.366で、この時点で2位となり、メダル獲得を決めた。

最終演技者のイタリアはさすがにミスのないよい実施で、17.900を出し、日本のメダルの色は銅となったが、じつに世界選手権でのメダル獲得は40年ぶりという快挙だった。

フープ&クラブでは、ミスの多かった今大会の憂さを晴らすようなノーミス演技を強豪国が見せ、ロシア、イタリアが18点台、ベラルーシ、ブルガリアが17点後半と力を見せつけた。日本もノーミス演技で対抗し、17.500という今シーズン最高得点でよい締めくくりとなったが、上位4国には届かず5位となった。

終わってみれば、悲願だった「団体、個人そろっての五輪出場」を決め、団体は、予選決勝の4演技で一度も落下なしで、種目別ではメダル獲得と、日本にとってはこのうえない実り多き大会となった。

来年に迫ったリオ五輪に向けて、さらには来年の4月に行われる五輪テストイベントに向けて、この世界選手権で得た自信は大きい。

とくに団体は、以前は絵空事のようだった「五輪でのメダル獲得」が、やっと現実的な目標と言える段階にきたような手ごたえは感じられた大会ではなかったか。

五輪の中でも華やかさではトップクラスのシンクロナイズドスイミングと新体操。

2015年は、この2競技がそろって復活ののろしをあげた。

リオ五輪に向けて、関係者だけでなく世間一般からも、より注目してもらえればと思う。

<写真提供:清水綾子※壮行会のもの>