日本勢、昇り調子! リボンで好演技連発!~第34回世界新体操選手権3日目

リボンで17.533という高得点をたたきだした皆川夏穂

こんな日が来るとは!

9月9日、新体操世界選手権3日目は、日本の新体操界が嬉しい驚きに包まれた。

3日目、リボンで登場する日本選手たちの先陣をきったのは河崎羽珠愛(イオン/植草学園高校)だ。

世界選手権初出場で素晴らしい演技を見せた河崎羽珠愛
世界選手権初出場で素晴らしい演技を見せた河崎羽珠愛

特別強化選手としてロシアに派遣されている早川、皆川とは違って、河崎は日本で所属クラブのイオンで練習を積んでいる。

しかし、4月に行われた代表決定競技会では、ミスのあった皆川を上回る得点をあげ、2位で世界選手権代表に選出された。代表決定後は、いくつかの国際試合に派遣され海外での経験を積んでいたが、世界選手権は初出場。それも、後半2種目だけの出場ということで、大会3日目にして初演技となり、相当な緊張感があったと思われる。

ところが、この河崎が素晴らしいパフォーマンスを見せる。

代表決定戦後の会見では、「リボンはあまり好きな種目ではない。」と言いながらも、「でも、苦手をなくすために(代表決定戦に向けては)とても練習した」とつけ加えた。あれから、5か月弱、さらにどれほど練習を積んだのだろう、と思わせるだけの演技を、世界選手権の大舞台でやってのけた。

山崎浩子強化本部長は、河崎のよさを「ヨーロッパ人にはない個性が出せる。人とは違うものを見せることができる」と言っていたが、この日のリボンの演技はまさにそうだった。早川、皆川はクラッシック曲がよく似合う、優雅なタイプの選手だが、河崎は違う。どこかミステリアスなアジアンビューティー、という雰囲気をもっている。その個性を引き出す選曲、振付で海外の審判や観客にもおおいにアピールしたのではないだろうか。さらに、河崎の強みである十分な開脚度をともなった高いジャンプもしっかりと見せることができ、リボンの操作は、5か月前に「好きな種目ではない」と言っていたとはとうてい思えないほどだった。

いかんせん、知名度では早川、皆川には劣るうえ、新体操的には強国とは言えない日本の3番手の選手だ。果たして評価してもらえるかどうか、と案じたが、16.783というデビュー演技としてはこの上ない高い評価を得た。

リボンでの種目別決勝の可能性も残す皆川夏穂
リボンでの種目別決勝の可能性も残す皆川夏穂

この河崎の大健闘に引っ張られるかのように、皆川夏穂(イオン/大原学園高校)も、ほぼパーフェクトといえる演技を披露。1日目のボールのときは、緊張からか手具のキャッチなどが不正確になっていたのがウソのように、リボンというミスの出やすい種目にもまったく躊躇なく、エネルギーに満ち溢れた演技を見せた。山崎強化本部長が常に「世界でもトップレベル」と評していた皆川のダイナミックなジャンプも力強く、さらに思いのままに描いているように見えるリボンの軌跡は、見事に曲を表現していた。難度もじつに正確に行われていたが、それがごく自然にできているように見えるほどに、このリボンの演技ははまっていた。この大一番でこの演技ができたことは、皆川にとっても彼女を支えてきた多くの人にとっても幸福なことだったに違いない。得点は、17.533。4日目にあと半分の選手がリボンの演技を残してはいるが、3日目を終えた時点ではリボン単独では7位と、まだ種目別決勝進出の可能性も残すほどの会心の演技だった。

粘り強く、冷静に演技をまとめ3つ目の17点台を獲得した早川さくら
粘り強く、冷静に演技をまとめ3つ目の17点台を獲得した早川さくら

河崎、皆川と素晴らしい演技が続いたあとに登場した早川さくら(イオン/日本女子体育大学)は、ステップでややリボンが体にからみそうになったり、ラストでも投げのコントロールにやや乱れが出たりもしたが、すべて冷静に処理し大きなミスを防ぐ「粘りの演技」を見せた。

会心の演技、とは言えない出来だったかもしれないが、それでも17.200と3日目終了時点では、リボン12位にあたる高得点をマーク。早川は、ボール、フープ、リボンともに少しずつ危ない場面はありながらも、大きなミスはなく演技をまとめ、すでに17点台を3つ揃えている。現時点での暫定順位は15位だが、4日目のクラブ次第ではもう少し上の順位での予選通過(上位24名/1国2名まで)の可能性も出てきている。

大会5日目に行われる個人総合決勝(1日で4種目が行われる)で、15位以内に入ることがリオ五輪の切符獲得の条件である以上、よりよい順位で予選通過し、精神的優位をもって決勝に臨みたいところだ。

暫定順位は、早川15位、皆川17位。おまけに河崎の活躍もあり、国別対抗でも5位につけるという、日本にとっては願ってもない展開になってきた世界新体操選手権。この勢いのまま大会4日目の予選を乗り切り、早川、皆川そろって決勝進出を決めてほしいものだ。

そして、9月11日に行われる個人総合決勝が、リオ五輪に向けての正念場となるが、「自分の演技をやりきること」ができれば、夢はつかめるところまできていることを、この3日間で彼女たちは実感できているはずだ。

最後の瞬間まで気をぬかず、しかし、堂々と自信をもって、フロアに立ってほしい。

<写真提供:末永裕樹/清水綾子※壮行会のもの>