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エンディングがすごい!懐かしのファミコンソフト7選 工夫を凝らした演出に感服

鴫原盛之ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表
「悪魔城伝説」のゲーム画面(※筆者撮影。以下同)

1983~1994年にかけて1000タイトル以上が発売され、今なお根強いファンが数多く存在するファミリーコンピュータ用ゲームソフト。「スーパーマリオブラザーズ」や「ドラゴンクエスト」シリーズをはじめ、歴史に残る数々の名作が誕生し、多くのプレイヤーに喜びと感動を与えた功績は計り知れないものがある。

とりわけ、プレイヤーを感動させる演出と言えば、やはり全ステージをクリア、あるいはいわゆる「ラスボス」に勝つと見られるエンディングのシーンになるだろう。いったいどうすればクリアできるのか、何度も何度も試行錯誤を繰り返し、エンディングに到達したときの達成感は格別だ。

実は、一部のファミコン用ソフトは現在でも移植版が安価で販売、またはダウンロード版が配信されており、手軽に遊ぶことができる。ならば、この機会に遊ばない手はないというものだろう。

以下、僭越ながら筆者の独断と偏見で選んだ、現在でもNintendo Switch Onlineなどで遊べるタイトルのなかから、ぜひエンディングを見てほしい作品を7本紹介する。

現行機種とは比較にならないほどハード、ソフト両面の性能が低かった時代にあって、当時のゲーム開発者たちがいかにしてプレイヤーを喜ばせようかと、さまざまな工夫を凝らした演出の数々を、ぜひ楽しんでいただきたい。

1:ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島(前後編)(任天堂/1987年)

「前編」「後編」の2本立てで発売された、日本の昔話をモチーフにしたアドベンチャーゲーム。物語がクライマックスに近付くにつれて、主人公の男の子(どんべ)と女の子(ひかり)がたくましく成長し、彼らが背負った数奇な運命を経て、後編をクリアすると見られるエンディングは実に感動的だ。

本作はコマンド入力方式なので、アクションゲームが苦手な人でも気軽に遊べる。メッセージは漢字を一切使わず、ひらがなだけで表示されるので、親子で遊びたいときにも打ってつけの一本だ。エンディングの場面に限らず、和風テイストのサウンドがとにかく素晴らしいのも、筆者がイチ押しする大きな理由である。

「新・鬼ヶ島 前編」より
「新・鬼ヶ島 前編」より

2:ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣(任天堂/1990年)

現在でもシリーズ作品が出続けている、有名シミュレーションRPGの第1弾。エンディング到達までにはかなりの時間と労力を要するが、その分すべての章をクリアしたときの達成感がすこぶる高い。

本作のエンディングは、各キャラの後日談が次々と流れ、まるでおとぎ話の絵本を読んでいるかのような清々しさが味わえるのが大きな魅力だ。それぞれのキャラに対する愛着と相まって、さらなる感動を生み出すことだろう。

3:忍者龍剣伝(テクモ/1988年)

主人公の忍者リュウ・ハヤブサを操り、敵と戦うアクションゲーム。

本作は、各ステージ間とエンディングに「シネマDISP.」と名付けられた、まるでアクション映画を見ているかのようなアニメーションと、場を盛り上げる迫力のBGMが流れる演出がとにかく素晴らしい。ファミコンブーム期を知らない、若い世代には陳腐な絵に見えるかもしれないが、当時としては非常に美しかった演出をぜひ見ていただきたい。

ただし、難易度はかなり高め。どうしても最終面までたどり着けない場合は、Nintendo Switch Onlineに加入すると遊べる、いきなりラスボスの邪鬼王戦から始まる「クライマックスバージョン」を利用するといい。

「忍者龍剣伝」より(※写真はNintendo Switch版)
「忍者龍剣伝」より(※写真はNintendo Switch版)

4:悪魔城伝説(コナミ/1989年)

ヴァンパイアハンターである主人公のラルフを操作して、ムチなどの武器を駆使して敵を倒していくアクションゲーム。

本作のエンディングは、途中で出会う3人のパートナーのうち、誰を仲間にしてラスボスを倒したのか(または、単独で戦い抜くのか)で演出が変わる、当時としては珍しいマルチエンディング方式を導入し、何度も繰り返し遊べるのもおすすめした理由のひとつだ。

エンディングの場面だけでなく、各ステージのホラー映画をほうふつとさせる美しいビジュアルと、名曲ぞろいのBGMも秀逸だ。

5:飛龍の拳 奥義の書(日本GAME/1987年)

次々と出現する敵を倒しつつゴール地点を目指す道中編と、1対1で戦う異種格闘技大会の試合編(※初回は練習ステージにあたる少林寺編となる)との2パートを交互にプレイするアクションゲーム。

本作では、「ラスボスを倒して遂にエンディング到達」と思いきや、実は2周目(または裏モード)が用意されているという、当時のファミコン用ソフトで一種のトレンドとなっていた演出を体験できる。1周目も2周目も、エンディング画面自体は極めてシンプルながら、敵の格闘家たちに奪われた奥義の書を取り戻した末に、真のラスボスを倒したときの達成感はひとしおだ。

アクションゲームが苦手な人にはハードルがやや高いかもしれないが、昨今の対戦格闘ゲームを楽しめるだけの腕の持ち主であれば、本作を何の問題もなく楽しめることだろう。

「飛龍の拳」の試合編より
「飛龍の拳」の試合編より

6:ソロモンの鍵(テクモ/1986年)

ブロックを出現させたり消滅させたりする「換石(かんせき)の術」を使う、魔法使いダーナが主人公。「換石の術」で攻略ルートを作り出したり、迫り来る敵キャラをかわして、鍵を取って扉を開き中に入るとステージクリアとなるアクションパズルゲームだ。

全48面(※隠しステージをのぞく)をクリアすると見られるエンディングは、プレイヤーの成績に応じて演出が変化するマルチエンディング方式。エンディングは全部で6種類あり、アニメーションやメッセージがそれぞれ微妙に異なる点に注目していただきたい。

また、ゲームオーバー時にプレイヤーの実力を評価する「GDV」と呼ばれる偏差値が表示される、珍しいアイデアが導入されているのも見どころだ。難易度は高いが、チャレンジする価値は大いにある逸品である。

7:「ドラゴンスピリット」(ナムコ/1989年)

ドラゴンに変身した主人公レイスを操り、敵を倒していく縦スクロールシューティングゲームで、1987年に発売されたアーケード版をアレンジ移植した作品。

エンディングの内容はアーケード版とはかなり異なるので、アーケード版をご存じの方は、その違いを比較しつつ楽しむことができる。さらに、エンディングの最中にセレクトボタンを連打すると、救出した双子の妹イリスのスカートがめくれ、レイスがニヤニヤしながらよだれを垂らす姿が見られる裏技も用意されている。

実は当時のファミコンソフトには、本作のようなお色気ネタの裏技を仕込んだタイトルがいくつも登場していた。そんな往時の裏技が楽しめる一例として、本作を「お笑い枠」としてピックアップした次第である。見事、エンディングへ到達した際にはぜひお試しを。

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】

ライター/日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表

1993年に「月刊ゲーメスト」の攻略ライターとしてデビュー。その後、ゲームセンター店長やメーカー営業などの職を経て、2004年からゲームメディアを中心に活動するフリーライターとなり、文化庁のメディア芸術連携促進事業 連携共同事業などにも参加し、ゲーム産業史のオーラル・ヒストリーの収集・記録も手掛ける。主な著書は「ファミダス ファミコン裏技編」「ゲーム職人第1集」(共にマイクロマガジン社)、「ナムコはいかにして世界を変えたのか──ゲーム音楽の誕生」(Pヴァイン)、共著では「デジタルゲームの教科書」(SBクリエイティブ)「ビジネスを変える『ゲームニクス』」(日経BP)などがある。

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