ヒント:サービスの業績が長く、売上や利益の数値面だけでなく、サービスとして事業モデルが安定している

先日、データ分析プラットフォームのクラウドサービスを提供するプラスアルファ・コンサルティング(以下、プラスアルファ)が、2021年6月30日に、東証マザーズに上場することが承認されました。

公募分を含む総株数は約4,000万株で、想定発行価格から算出したプラスアルファの時価総額は約800億円です。

目論見書で確認できる過去5期は増収増益を続けており、2016年9月期から2020年9月期の年平均成長率(CAGR)は28.3%と、高い成長率を誇っています。また、2020年9月期の営業利益率は30%を超えており、マザーズの成長企業ではかなりの高収益体質であることが特徴です。

高成長を続けながら、この営業利益率の高さを誇る要因は、一体どのようなものなのでしょうか。

記事の前半では、プラスアルファの事業概要や業績を整理し、競合他社と業績比較を行うことで特徴を整理していき、後半では、高い営業利益率の理由について、ビジネスモデルやKPI等から考察していきます。

プラスアルファが提供するサービス

有価証券届出書

新規上場申請のための有価証券報告書

2021年9月期の業績予想について

株式会社プラスアルファ・コンサルティング新株式発行並びに株式売出届出目論見書

https://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/connect/ipo/202105272101.pdf
https://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/connect/ipo/202105272101.pdf

プラスアルファは2006年に創業され、2021年9月期現在で第15期を迎える企業です。事業展開を一言で表現すると、「テキストマイニング技術を軸に、ビッグデータを可視化する各種プラットフォームの運営」であり、主に3つのSaaS型サービスを提供しています。

テキストマイニングとは、SNSや口コミ、アンケート回答など自由な形式で記述された文章を単語や文節に分割して、その出現頻度や相関関係、いつ発言されたものなのかといったことを分析し、有益な情報を探し出す技術です。

1つ目のサービスは、SNS型テキストマイニングツール「見える化エンジン」で、アンケートやアクセスログ等の顧客の声や情報を分析し、顧客のニーズや不満を可視化するプラットフォームです。主にtoC企業のコンタクトセンターやマーケティング部門で導入されています。

2つ目は、CRMツールの「カスタマーリングス」で、EC事業者や小売業などを中心に導入されており、顧客情報や購買履歴をもとに、マーケティングの業務効率化を支援するプラットフォームです。

3つ目は、人事情報管理ツール「タレントパレット」です。これは、社員のスキル、適性、評価等の人事情報を集約し、分析・可視化することで最適な配置や離職防止、採用効率化を支援するプラットフォームです。

この他にも、導入企業に対して各サービスを活用するためのコンサルティングサービスや、FAQやアンケートに特化したサービスも提供しています。

タレントパレット事業とは?

https://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/connect/ipo/202105272101.pdf
https://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/connect/ipo/202105272101.pdf

タレントパレットは、前述したように社員のスキル、適性、人事評価等を可視化するプラットフォームサービスで、都内のタクシー広告などでご存知の方もいるでしょう。

テレワークが普及したことで、従来と比較して社員のマネジメントに課題を抱える企業が少なくありません。そこで、タレントパレットのようなタレントマネジメントシステムを導入し、人事情報の可視化に努める企業が増えています。

タレントパレットの特徴は、人事情報の管理だけでなく、人事情報を活用した人材の最適配置や離職防止、採用効率化など、マーケティング思考を取り入れたデータに基づく科学的人事をサポートしている点です。

プラスアルファはタレントパレットを始め、すべてのサービスに自社開発の自然言語処理エンジンを組み込んでいます。既存のサービスに進化と改良を重ねて、解析精度やスピードを向上させることで、差別化に成功しています。

プラスアルファの財務情報

次に、プラスアルファの各年度における売上と経常利益を見ていきます。2020年9月期の売上は47.3億円、経常利益は14.5億円で、コロナ禍にもかかわらず過去5年間で順調に増加しています。

更に注目は、それぞれの成長率です。各年度の売上と経常利益の成長率は以下の通りで、2018年9月期から成長が加速していることが分かります。

○通期売上の成長率の推移

2017年9月期:YoY+20.6%

2018年9月期:YoY+20.6%

2019年9月期:YoY+35.8%

2020年9月期:YoY+37.4%

○通期経常利益の成長率の推移

2017年9月期:YoY+26.6%

2018年9月期:YoY+26.5%

2019年9月期:YoY+36.4%

2020年9月期:YoY+45.1%

続いて、サービス別の売上及び営業利益を見ていきます。2019年9月期から2020年9月期にかけて、全サービスで売上及び営業利益は増加傾向であることが分かります。

プラスアルファの、この成長背景には「継続的な新規事業への投資」があります。2008年5月に見える化エンジン、2011年7月にカスタマーリングス、2016年9月にタレントパレットと、数年間隔で新しいサービスの提供を開始しており、それぞれの事業が着実に売上と利益を拡大させてきました。

特に、5年前に提供開始したタレントパレットの売上が、2020年9月期でYoY+144.5%、営業利益がYoY+1421.6%と、圧倒的に成長したことで、全体の業績成長を牽引しています。

競合他社との業績比較

続いて、プラスアルファ単体の数字だけではなくと、HR領域でSaaSビジネスを展開するカオナビ、チームスピリット、Wantedlyの業績とを比較することでして、プラスアルファの特徴を整理していきましょう。

カオナビ 2021年3月期 決算説明資料(2021年5月13日)

チームスピリット 2021年8月期第2四半期 決算説明資料(2021年4月9日)

ウォンテッドリー 2021年8月期第2四半期 決算説明資料(2021年4月14日)

上図は、2021年1-3月の売上と売上成長率をまとめた表です。これを見ると、カオナビやチームスピリットも着実に成長を遂げていますが、売上および売上成長率において、プラスアルファが圧倒的に高いことが分かります。

次に2021年1-3月の営業利益と営業利益率を比較してみると、営業利益は5.22億円で、営業利益率は36.2%と、売上や売上成長率に引き続き、競合他社よりも圧倒的に高いことが分かります。

ここまでの高い営業利益率の要因は、深堀してみる価値がありそうです。

https://www.jpx.co.jp/listing/stocks/new/nlsgeu000005kkrc-att/06PlusAlphaConsulting-1s.pdf
https://www.jpx.co.jp/listing/stocks/new/nlsgeu000005kkrc-att/06PlusAlphaConsulting-1s.pdf

○2020年10月〜2021年3月までのセグメント別営業利益率

見える化エンジン  61.7%

カスタマーリングス 28.7%

タレントパレット  50.5%

上図は2021年9月期2Qの実績(累計)ですが、各サービスとも営業利益率が極めて高い、高収益のサービスであることが分かります。

以上では、プラスアルファの事業概要や業績を整理して競合他社との比較を行い、高い成長率を維持しながら、競合他社と比較して営業利益率が圧倒的に高いことが分かりました。

記事の後半では、タイトルにもある「プラスアルファの営業利益率の高さの理由」について、ビジネスモデルやKPI等から考察していきます。

この記事は、HR領域に従事している方はもちろん、利益率を高める戦略について関心がある方にもおすすめとなっています。

----------------------------

ここから先は、有料コンテンツになります。月額1000円の定期購読をご購入ください。定期購読では1ヶ月あたり4本程度の有料記事が追加される予定です。

定期購読は初月無料です。購読開始した月以降の有料記事が読めるため、月末に購読開始しても不利にはなりません。

有料版をご購入いただくと、以下のコンテンツをご覧いただけます。

・Q. 新規上場プラスアルファ・コンサルティング、営業利益率が30%超で他HR系SaaSを凌駕しているのはナゼ?の答え

・プラスアルファの営業利益率が高い理由(1)

・プラスアルファの営業利益率が高い理由(2)

・プラスアルファの営業利益率が高い理由(3)

・おまけ:HR領域のSaaSとのKPI比較

・まとめ