ヒント: 特徴その1は売上成長率。YoY+●●%以上かつ、QoQが+●●%以上が目安です。

この記事はゲストライターとの共同制作です。

1年前に書いた業績が好調なアメリカSaaS上場企業の分析記事が大変好評でした。今回の記事では、アメリカSaaS企業をPSR(売上対比時価総額)というマルチプル指標を切り口に見ていきます。

Q. 2020年Q1のアメリカSaaS上場企業の上位10%の成績とは?

PSRの計算式は以下の通りで、売上に対する時価総額の比率を表しています。

PSR(Price Sales Ratio) = 時価総額 ÷ 売上高

アメリカのSaaS企業はPSRが全体的に高く、30倍(時価総額30:売上1)を超える企業も多くあります。そして、売上成長率が高い企業ほどPSRが高くなるというのは、聞いたことがある人も多いかもしれません。

https://twitter.com/umekida/status/1399934341895966721
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個人投資家であり、スタートアップに関するメディアや資金調達データベース、IPO分析の月刊マガジンを手がける梅木雄平さんのTwitterに非常に参考になる投稿があったので、ご紹介します。

上図のように、アメリカのSaaS企業の売上成長率YoY(前年同期比)が高い順に並べてみると、PSRは売上成長率にある程度比例している傾向が見てとれます。

https://twitter.com/umekida/status/1400007967651491841
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更に売上のQoQ(前四半期比)とPSRを並べて見てみると、QoQでの成長率とPSRの相関性の方がYoYよりも高く、より短期間に大きく成長する企業に対して、市場の期待が高まりやすくなると考えられます。

今回は、特にPSRが大きい以下の3社に注目し、共通するSaaSビジネスの4つの特徴を整理していきます。

企業名    YoY  QoQ  PSR

Snowflake  +75% +20.2% 69倍

Zscaler    +54% +14.4% 39倍

CrowdStrike +51% +12.4% 38倍

※数字は、2021/6/1時点

まずは、3社の事業内容と決算の概要を整理していきます。

Snowflake Q1 FY22 Earnings Presentation(2021/5/26)

https://s26.q4cdn.com/463892824/files/doc_financials/2022/q1/Q1-FY22-Snowflake-Investor-Presentation_vFINAL.pdf
https://s26.q4cdn.com/463892824/files/doc_financials/2022/q1/Q1-FY22-Snowflake-Investor-Presentation_vFINAL.pdf

まず、Snowflakeの事業内容と決算を見ていきます。

Snowflakeはクラウドで利用できるSQLベースのフルマネージドDWH(データウェアハウス)です。Snowflakeを企業が導入することで、データの他者への共有や他製品との連携、データのメンテナンスや移行などを容易に行うことができ、データ管理業務を安全かつ大幅に効率化させることができます。

https://ir.crowdstrike.com/static-files/547e5c92-3594-4eef-9dfc-9eca37b635f4
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Snowflakeの業績を見てみると、2022年Q1(2021年2月−4月)の売上は$229M(約229億円)、YoY+110%と、YoYで売上が2倍以上に伸びており、QoQでも+21%と急成長しています。

Zscaler Investor Overview(2021/5/25)

https://ir.zscaler.com/static-files/9ced1dd4-29b7-4892-80e1-bcb2fe0169da
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次に、Zscaler(ゼットスケーラー)を見ていきます。

Zscalerはクラウド上で利用できるセキュリティソリューションで、複数のデバイスのマルウェア対策を統一管理できます。マルウェアとは、コンピュータウィルスやスパイウェアなど、ユーザーのデバイスに悪影響を与えるプログラムやソフトウェアの総称です。Zscalerはクラウドサービスであるため、コロナ禍でも、安全にリモートアクセス環境が整備できるということで、導入する企業が増加していると考えられます。

https://ir.zscaler.com/static-files/9ced1dd4-29b7-4892-80e1-bcb2fe0169da
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Zscalerの売上を見ると、2021年Q3(2021年2月-4月)の売上が$176M(約176億円)、YoY+59%、QoQ+12%となっており、YoY売上成長率の推移を見ても、コロナ禍でより成長を加速させていることがわかります。

CrowdStrike Investor Presentation(2021/6/3)

https://ir.crowdstrike.com/static-files/547e5c92-3594-4eef-9dfc-9eca37b635f4
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次に、CrowdStrikeを見てましょう。

CrowdStrikeは、クラウドベースのエンドポイント保護プラットフォームです。エンドポイントというのは、簡単にいうとPCやスマホなどのデバイスのことです。DELLの調査レポートによると、2018年にはサイバー攻撃のうち従来型のソフトウェアをインストールさせるマルウェア型は61%に減少し、インストールしなくても侵入する非マルウェア型攻撃が39%に増加しています。

CrowdStrikeのAI、インテリジェンス、専門知識を活用したソリューションは単にマルウェアを特定するだけでなく、サイバー攻撃を仕掛けてくる敵を特定するという、新しい対策アプローチをするのが強みです。

https://ir.crowdstrike.com/static-files/547e5c92-3594-4eef-9dfc-9eca37b635f4
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CrowdStrikeの業績を見てみると、2021年Q4(2021年2月−4月)のARR(年間経常収益)は$1,050M(約1,050億円)で、YoY+75%、QoQ+16%と大きく成長しています。

ここまで、アメリカSaaS企業の中でも、PSRが30倍超えの高い水準にある3社(Snowflake、Zscaler、CrowdStrike)の事業内容と売上などの成長率を確認してきました。記事の後半では、3社に共通する4つの特徴を解説していきます。

この記事は、SaaS企業に携わっている方や興味がある方、高成長企業に共通する特徴について知りたい方に最適な内容になっています。

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・Q.米国SaaSでPSRが30倍を超える企業の特徴とは?の答え=特徴 1

・高PSR企業3社(Snowflake、Zscaler、CrowdStrike)に共通する特徴 2

・高PSR企業3社(Snowflake、Zscaler、CrowdStrike)に共通する特徴 3

・高PSR企業3社(Snowflake、Zscaler、CrowdStrike)に共通する特徴 4

・高PSR企業3社(Snowflake、Zscaler、CrowdStrike)に共通する特徴 5

・まとめ