Q. 純利益が3兆円超えのソフトバンクグループは本当に絶好調なのか?

ヒント:S&P500と投資パフォーマンスを比較すると実情が見えてきます。

*S&P500は、スタンダード&プアーズ社が選出した米国の代表的な500社のインデックス。組入れ銘柄が多いので個別の銘柄の株価変動を受けにくく分散効果が高いのが特徴。

今回の記事では、日本企業で過去最高の3兆円を超える当期利益を記録したソフトバンクグループの2021年3月期第3四半期累計(2020年4月‐12月)の決算を見ていきたいと思います。

携帯会社のソフトバンク株式会社の決算ではなく、その親会社であるソフトバンクグループの決算を取り上げているので、携帯電話業界の話ではなく、投資会社についての決算の考察となります。

ソフトバンクグループ株式会社 2021年3月期 第3四半期 決算説明会 プレゼンテーション資料 (2021年2月8日)

2021年3月期 第3四半期決算 投資家向け説明会(2021年2月10日)

決算資料に大きな変化が....

https://group.softbank/system/files/pdf/ir/presentations/2020/earnings-presentation_q3fy2020_01_ja.pdf
https://group.softbank/system/files/pdf/ir/presentations/2020/earnings-presentation_q3fy2020_01_ja.pdf

ソフトバンクグループの決算説明会は、決算発表の直後に孫社長がプレゼンテーターとしてオンライン配信される説明会と、投資家向けにCFOや財務担当執行役員がスピーカーとなって経理・財務的な詳細を説明する説明会の2つが開催されます。いずれもソフトバンクグループのIRサイトで動画がアーカイブされていますので、ご興味のある方はご覧ください。

さて、決算説明会資料を読んだことがある方なら、このスライドから始まる資料は珍しいとピンとくる方も多いと思います。ソフトバンクグループの決算説明会資料は、第1四半期までは通常の損益計算書から始まる資料でしたが、第2四半期から売上も営業利益のスライドもなく、いきなり純利益を明示するスライドになっています。

特に今回は「純利益3兆円超え」という強いインパクトがありましたので、日経新聞には以下のタイトルが踊りました。

ソフトバンクG4~12月、純利益最高の3兆円 株高寄与(日経新聞 2021年2月8日)

しかし、投資会社としてのソフトバンクグループを「純利益」で見るのは、本当に正しいのでしょうか?

補足: 機関投資家向けの決算資料

https://group.softbank/system/files/pdf/ir/presentations/2020/investor-presentation_q3fy2020_01_ja.pdf
https://group.softbank/system/files/pdf/ir/presentations/2020/investor-presentation_q3fy2020_01_ja.pdf

機関投資家向けの決算説明会資料には、このように売上が記載されていますが、孫社長が登壇した説明会では一切売上のスライドが無かったことが印象的です。

ソフトバンクグループの2020年4月-12月の累計売上は、4兆1,380億円で前年同期比(YoY)+6.1%、当期純利益は3兆552億円でYoY+541%でした。

https://group.softbank/system/files/pdf/ir/presentations/2020/investor-presentation_q3fy2020_01_ja.pdf
https://group.softbank/system/files/pdf/ir/presentations/2020/investor-presentation_q3fy2020_01_ja.pdf

持株会社であるソフトバンクグループの決算には、子会社のソフトバンク株式会社(ヤフー含む)や、NVIDIAへの売却を発表しているarmの事業会社としてのビジネスと、自社で運営するSVFの投資事業が混在しています。

「純利益3兆円」が出る仕組み

さて、一体どんな仕組みで、日本史上最高の3兆円を超える純利益が出たのでしょうか?

https://group.softbank/system/files/pdf/ir/presentations/2020/investor-presentation_q3fy2020_01_ja.pdf
https://group.softbank/system/files/pdf/ir/presentations/2020/investor-presentation_q3fy2020_01_ja.pdf

このスライドは事業別の損益を示しています。薄い水色の部分が事業会社で、濃い青の部分が投資事業です。前年同期には事業会社が利益を出しており、投資会社の利益はマイナスでしたが、今期は、投資事業のソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)の投資損益が大きく貢献していることがわかります。

https://group.softbank/system/files/pdf/ir/presentations/2020/investor-presentation_q3fy2020_01_ja.pdf
https://group.softbank/system/files/pdf/ir/presentations/2020/investor-presentation_q3fy2020_01_ja.pdf

株式市場が好調だったことに加えて、SVFが保有するアメリカのフードデリバリーサービス「DoorDash」は上場時に想定の約2倍の7兆円を超える時価総額を記録したことや、不動産テック企業の「Opendoor」の大型上場もあり、保有株式の価値が増大していることで、投資損益が大幅に増加しています。

投資会社の決算では、保有している株式を売却したかどうかに関わらず、「現在の時価 - 取得価格(あるいは前回の時価)」が投資損益として計上されるという決算のルールあります。このルールが今回のソフトバンクグループの投資益を増加させている要因です。

記事の後半では、キャッシュフローやソフトバンクグループの決算を読む際に一番大事なKPIを確認することで、「ソフトバンクグループは本当に好調なのか?」を読み解いていきたいと思います。

この記事は、ソフトバンクグループに興味ある方、投資会社の決算の読み方を勉強したい方に最適な内容となっています。

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・Q. 純利益が3兆円超えのソフトバンクグループは本当に絶好調なのか?の答え

・キャッシュフローの実態は?

・ソフトバンクグループの決算で一番大事なKPIとは?

・ソフトバンクグループは本当に好調なのか?

・まとめ

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