Q. オンライン証券アプリ・中国版Robinhoodと呼ばれるFutuのビジネスモデルは?

A. 主要なビジネスモデルは、A) 株式の売買手数料とB) 信用取引などの貸付金利手数料です。

・1ユーザー(残高有)あたりの取引額が四半期あたり●●万円

・1ユーザー(残高有)あたりの1日の取引回数が●●回

と非常にアクティブなユーザーが多いのが特徴です。

今回は、「中国版Robinhood」とも呼ばれ注目を集める「Futu」について、決算資料を元に読み解いていきたいと思います。

「Robinhoodは聞いたことがあるけれど、Futuは初めて聞いた」という方も多いかもしれません。

ただ、Futuは直近の決算において、売上がYoY+272%とまさに破竹の勢いで成長しており、そのビジネスモデルやマーケット選定には多くの学びが詰まっています。

後半では、ユニットエコノミクスで、Futuのユーザー動向や収益モデルについて分析しています。特にFinTechビジネスに関わっている方にとっては、多くのインサイトが得られる内容になっていると思いますので、ご期待ください。

それでは、早速Futuのサービス概要から見ていきましょう。

中国版Robinhoodと呼ばれるFutuとは?

https://www.futunn.com/download/landing
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まず、Futuについて簡単に解説していきましょう。

正式な会社名は「Futu Holdings」、通称「Futu」と呼ばれています。同社では、「Futubull」というスマホで簡単に株式売買ができるアプリを提供しています。

基本的な特徴としては、手数料が激安な点が挙げられます。また、その他にも、上図にあるように各企業の決算情報を閲覧できたり、コミュニティ機能があったりと、「株式投資のプラットフォーム的な役割」を担っています。

近年、アメリカでは、Robinhoodなどのスマホアプリで株式投資をする人たちを「ロビンフッド族」と呼んでいますが、彼らの勢いは急速に増しており、機関投資家をも凌ぐ勢力になりつつあります。

参考:ロビンフッド族なるアメリカの若手投資家が、株価急騰の一大勢力になっている?

特に、Squareが提供するCASHアプリでは、コロナ対策の給付金の受け取りと、株式や仮想通貨の購入が同じアプリから行うことができるため、このトレンドを大きく加速させているとも言われています。

このようなアメリカの流れと同じように、中国でも個人投資家による投資熱は加速しており、その一翼を担っているのが「Futu」であるわけです。

Futuの売上・営業利益

次に、Futuの業績について見てみましょう。

https://ir.futuholdings.com/static-files/f4e232c7-d68f-4a42-84ab-3fbf60079505
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上記の表では、香港ドルとUSドルのそれぞれで記載されていますが、普段から慣れている方も多いUSドルを使っていきます。

売上、売上総利益、営業利益を抜き出すと、次のようになります。

▼四半期あたり業績(2020年7月〜9月)

・売上:$122.1M(約122.1億円)、 YoY +272%

・売上総利益 $98.6M(約98.6億円)、 YoY +314%

・営業利益 $56.1M(56.1億円)、YoY+1,461%

売上総利益率が80.1%、営業利益率が45.9%と非常に高い利益率となっているのが特徴的です。

また、売上・利益共に凄まじいスピードで成長していることが分かります。

アメリカの証券市場のトレンド

アメリカの証券市場のトレンドを見ると、Futuが急成長している背景が見えてきます。

下図は、米国のオンライン証券における取引額の推移を示しています。

https://ir.futuholdings.com/node/6361/html#toc
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2012年から2018年にかけて、取引額は$5.5T(約550兆円)から$11.6T(約1,160兆円)まで伸びており、CAGR(年間平均成長率)は13.4%にも及びます。

今後も、やや鈍化するももの右肩上がりの成長を続け、2023年には $14.9T(約1,490兆円)になると推定されています。

online retail trading accounts for 64.2% of online securities trading volumes in the United States. Total online retail trading represents 20.8% of total securities trading volume. The market opportunity in retail brokerage is therefore significant;

こちらの記述によると、オンラインでの取引における個人投資家による取引金額の割合が全体の64.2%を占め、オンライン取引は全体の取引ボリュームの20.8%を占めているようです。

つまり、米国全体の証券取引において、個人投資家によるオンライン取引の占める割合は13.6%(20.8% * 64.2%で算出)ということが分かります。機関投資家にとっても、決して無視のできないほどの大きな割合になってきています。

さらに、下図は、米国のオンライン証券取引に参加している「中国在住の個人投資家」の数の推移を示しています。

https://ir.futuholdings.com/node/6361/html#toc
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先程と同じように、2012年から2018年にかけて、米国オンライン証券取引に参加する中国在住の個人投資家の数は、914万人から1,645万人に成長しており、CAGRは10.3%となっています。

また、今後についてもCAGR5.3%で継続的に成長すると予測されています。

このように、米国の証券取引市場は、オンライン取引の割合が加速する中で特に個人投資家の存在感が高まっている状況にあり、さらに中国在住の投資家のアメリカ市場への投資が加速している、という状況が掴めるかと思います。

中国在住投資家の海外(中国外)投資のトレンド

中国在住投資家の海外(中国外)の投資全体に関するデータも公開されているので、見てみましょう。

下図は、中国在住投資家による海外投資の運用可能資産額の推移を示しています。

https://ir.futuholdings.com/node/6361/html#toc
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中国在住投資家の運用可能資産は、2012年の$11T(約1,100兆円)から2018年の$24.5T(約2,450兆円)までCAGR14.3%で成長しています。

その中で、海外資産へのアセット分散のニーズにより、海外アセットの運用可能資産は、2012年の$0.2T(約20兆円)から2018年の$1.4T(約140兆円)に成長し、CAGRは38.3%にも達しています。

https://ir.futuholdings.com/node/6361/html#toc
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投資家数ベースで見ても大きく成長しており、2023年には6,603万人に達すると予測されています。

https://ir.futuholdings.com/node/6361/html#toc
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こちらの図は、左の円がグローバルのオンライン証券市場、右の円が中国の海外資産運用市場、濃い色の重なり部分が「中国在住の投資家のグローバル証券取引」を表しています。

この重なり部分が、まさにFutuのターゲットです。2018年段階で$451B(約45.1兆円)となっています。

前述したように、グローバルのオンライン証券市場自体も伸びてきていますし、中国在住投資家の海外への投資も伸びてきています。Futuはこのような伸び盛りの市場に勝機を見出し、勝負しているというわけです。

Futuの驚異的な売上成長は、市場の成長に後押しされていると言えるでしょう。

残高あり口座数はYoY+136%、急成長を遂げるFutu

では、Futuの急成長を示す各種数字についても見ていきましょう。

https://ir.futuholdings.com/node/6361/html#toc
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まず、Futuは、香港証券取引所ですでに第4位の規模の証券会社になっています。

2018年末時点のデータでは、560万ユーザーが利用し、50.2万人が証券口座を開設、そのうち13.3万人が証券口座に残高を保有していました。

こちらに関して、最新の2020年9月末時点のデータを見ると、1,040万ユーザーが利用(YoY +52.2%)、117万人が証券口座を開設(YoY +79.7%)、41.8万人が証券口座に残高を保有(YoY +136.5%)と急速に成長していることが分かります。

ここまでは、Futuの事業内容、業績、Futuが勝機を見出したマーケット、急成長を示す指標について解説してきました。

記事の後半では、Futuがどのように売上を生み出しているのか見ていきましょう。

この記事は、FinTechビジネスに関心がある方、トランザクション系・ローン系のFintechビジネスに関心がある方に最適な内容になっています。

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・Futuの2つのビジネスモデル

・スマホ特化型オンライン証券アプリの主要KPI

・まとめ

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