Q. ABEMAが黒字化するための道筋はどんなものがあり得る?

A. メディア事業の黒字化には、月13億円の営業利益改善が必要。

例えば、以下のようなパターンで黒字化できます。

・広告収入 +5億円

・課金収入 +5億円

・周辺ビジネス収入 +3億円

今日の記事では、サイバーエージェントの2020年4月から6月期の決算を取り上げたいと思います。

中でも、ABEMAを含むメディア事業が黒字になるために、どのような道筋があり得るのかというのを、具体的な数字を交えて考察していきたいと思います。

※ 2020年4月にテレビ&ビデオエンターテインメントサービスをAbemaTVからABEMAに変更。

株式会社サイバーエージェント 2020年9月期 第3四半期決算説明会資料

https://pdf.cyberagent.co.jp/C4751/bnNt/V5nc/NAW7.pdf
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決算の概要ですが、売上が前年同期ほぼフラットの1,129億円となっています。営業利益はYoY△12.3%で、83億円という結果でした。

サイバーエージェントのセグメントのうち、広告代理店事業とメディア事業というビジネスは、二つとも広告に依存する部分が大きいわけですが、コロナウィルスの影響を大きく受けやすい昨今の状況にも関わらず、全体で売上がほぼフラットになっているというのは相当凄いと言えるのではないでしょうか。

広告事業が凄すぎる...

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事業の詳細を見る前に、広告事業の方を少しだけ見ておくと、前年同期比でほぼフラットの643億円という売上が計上されています。

https://pdf.cyberagent.co.jp/C4751/bnNt/V5nc/NAW7.pdf
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営業利益はYoY△6%減の、47.4億円となっています。

繰り返しますが、広告はコロナウイルスで最も影響を受けやすい産業の一つです。

広告ビジネスがこれだけダメージを受けていないというのは、本当に凄いことだと思います。もし可能であれば、どのようにしてこのように売上を維持したのかを教えて欲しいくらいです。

ABEMAWAUは絶好調

https://pdf.cyberagent.co.jp/C4751/bnNt/V5nc/NAW7.pdf
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続いてABEMAのWAUを見てみると、自粛期間中に巣ごもり消費が起こった好調を維持して、自粛解除後もユーザー数が落ちていない、という記載がされています。

ダウンロードするだけではなく、ユーザー数もまだまだ伸びる傾向にあるというのは、とても大きなプラス要因ではないでしょうか。

以下では、ABEMAを含むメディア事業の売上営業利益の中からABEMA分の売上を推測し、現在のメディア事業の赤字をゼロにするにはどのような方策が考えられるのかというのを、具体的な数字を交えて見ていきたいと思います。

メディアの売上・営業利益

https://pdf.cyberagent.co.jp/C4751/bnNt/V5nc/NAW7.pdf
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こちらの左側のグラフが、メディア事業全体の売上を表しています。今回の四半期はYoY+19.2%の約33億円となっています。

このうちABEMAの売上がどの程度かというのも、簡単に推測したいと思います。

2016年度の一番山が低かった時はおそらくAbema の売上がほぼなかったタイミングだと思いますので、単純に54億円と今回の133億円の差分をとって約80億円分がABEMAの売上だとして話を進めたいと思います。

四半期当たり80億円ですので、月間27億円程度という計算になります。

右側は営業損益になります。四半期あたり40億円の赤字が出ているので、月間13億円程度の赤字が出ています。

逆の言い方をすれば、ABEMAからの売上が13億円増えてコストが大きく増えなければ、メディア事業はブレイクイーブンになります。

赤字13億円/月を黒転するには?

https://pdf.cyberagent.co.jp/C4751/bnNt/V5nc/NAW7.pdf
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月13億円の赤字を補填する方法ですが、ABEMAの売上の増やし方のイメージは、このスライドにある通り、広告→課金→周辺ビジネスという順番で売上が上がってはずだという説明がされています。

2020年時点においては、この図によれば広告収入が最も多いはずですので、この状況を踏まえて、いかに13億円分の売上を追加するかという方法を考えてみたいと思います。

その1: Abemaプレミアムの有料会員数を増やす

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現在の課金収入は、以下のように計算できます。

 960円 × 約70万人 = 約7億円

今後の増え方を計算してみると、このようになります。

+10万人 => +1億円/月

+50万人 => +5億円/月

+100万人 => +10億円/月

年末までに+27万人とあるので、1年以内に+50万人は行くのではないでしょうか。

その2: 広告収入を増やす

次に、広告収入を増やすということから考えてみたいと思います。

月27億円の売上うち、課金収入が7億円なので、広告で月間20億円程度の売上があることになります。

他社の傾向も見ると、コロナで広告単価が約30%減っているはずなので、コロナが終わると(20億円の)30%増えて、+6億円/月。

コロナウイルスが収まっても、今のWAUのペースを維持して広告単価を30%増やす(元に戻す)ことができれば、広告ビジネスだけで+6億円/月が可能になります。

その3: 関連ビジネスからの収入を増やす

関連ビジネスからの収入も、今よりは今後期待できるようになると思います。

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一つ目は、ライブ放送関連のビジネスです。こちらは、映像そのものを販売することもできると思いますし、それと連動して物販に繋げることもできると思います。

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次に可能性があるのは、ここにあるような、競輪といった明確な課金ポイントがあるサービスです。

仮にこれらの関連ビジネスで、月間2億円程度の売上が作れるとしましょう。

まとめ

まとめるとこのようになります。

課金収入

 有料会員数 +50万人 => +5億円/月

広告収入

 広告単価 +30% => +6億円/月

関連ビジネス収入

 +2億円/月

非常に荒っぽい計算ではありますが、このように組み上げていくと、月13億円分の売上は、現実的に十分立ちそうな気がしてきましたね。今後も ABEMAのビジネスを追いかけていきたいと思います。

企業や社会の次の動きはすべて「数字」が物語っている――。アメリカ・日本のネット企業(上場企業)を中心に、企業の決算情報から「次の一手」を読み解くコラム。経営者だけでなく、決算を基礎から学びたいビジネスパーソンや学生にも役立つ情報を届けます。

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