Q. 新型ウイルス対策で活躍中のオンライン診療、日本で普及するための3つの壁とは?

A. 日本でオンライン診療サービスが普及するには、以下3つの課題をクリアする必要があります。

1) オンライン診療に対する保険適用の範囲拡大

2) 医療プロセス全体のデジタル化

3) 通信環境の整備

この記事はKimmyさんとの共同制作です。Kimmyさんは中国語に堪能なので、中国語で書かれた記事やリサーチデータから、まだあまり日本で知られていないワクワクするビジネスや中国で話題のテーマをご紹介くださいます。

今回取り上げる「オンライン診療」は、スマートフォンを利用して、病院の予約・問診・診察・処方・決済までをネット上で行う診察サービスを指します。日本では、「CLINICS」「curon」「ポケットドクター」等のサービスが該当します。

中国の武漢を中心として新型ウイルスの感染が爆発的に広がっている中、オンライン診療がまさに今の医療現場を支えている中国の事例を紹介しつつ、日本でサービスを普及させていくための課題を説明していきます。

新型ウイルス対策で一躍注目を浴びた中国のオンライン診療

中国では医療のデジタル化が進んでおり、オンライン診療サービスが多く立ち上がっていました。今回、中国のオンライン診療アプリはいち早く新型ウイルス対策に対応し、アプリを通した感染防止指導や、24時間体制でのオンライン無料相談などを市民に提供しています。

ちなみに、以下の画像は10のオンライン診療サービスにおけるアプリ画面です。正しい感染防止方法の解説や、感染状況の情報をリアルタイムで提供しており、市民の混乱や不安を軽減しています。今回のような緊急時における対応のスピード感は、さすがとしか言いようがありません。

http://www.woshipm.com/evaluating/3357179.html.png
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*中国オンライン診療サービスの画像出典(中国語)

武漢のケースを見ると、オンライン診療アプリは2つの観点で中国の医療現場に大きく貢献しています。

1つ目が、「院内感染のリスクの低減」です。あらかじめオンライン診療アプリを通じて、病院に行くべき人と行かなくても良い人を選別することで、新たに新型ウイルスに感染する人を出来るだけ抑えることが出来ます。

ちなみに、ウイルス流行の中心地である武漢の大学病院の医師によると、オンラインの問診サービスを受けた人のうち、60~70%は不安と緊張によるもので、未感染であり、30%程度が感染の疑いがあるとされ、肺のCT検査が必要だと診断された人はごくわずかだったそうです。

画像

2つ目が、「現場の医療従事者の負担軽減」です。オンライン診療アプリは、全国の医師と提携してサービスを提供しているため、地理的・空間的な障害が無く、医療現場の負担を抑えることが出来ます。

Alibabaグループ傘下のオンライン診療企業「AliHealth」が、1/24より提供している無料のオンライン相談の例を挙げると、1/26時点の地域別アクセスにおいて、累計40万ユーザーのうち97%が湖北省、そのうち64%が武漢に集中していました。ただでさえ混乱に陥っている医療現場にこの人数が駆け込んでしまった場合、想像するのも恐ろしい事態になっていたでしょう。

*AliHealth オンライン診療ユーザーの地域別アクセス(1/28、中国語)

*武漢大学人民医院 インタビュー(2/6、中国語)

「2040年問題」と日本の医療現場

新型ウイルス流行のような緊急事態でなくとも、日本には「2040年問題」という喫緊の課題が存在します。2040年頃に日本の高齢者人口(65歳以上)がピークになると推定されており、2017年には1人の高齢者を2.1人の現役世代で支えていたのが、2040年には1.5人で支える見込みとなっています。

*経済産業省「2050年までの経済社会の構造変化と政策課題について」(2018年9月)

これから日本が直面するのは、1) 高齢化による医療費の高騰、2)医療従事者の人手不足という深刻な課題であり、医療現場の生産性向上がとりわけ重要になってきます。具体的に見ていきましょう。

厚生労働省の試算によると、日本の医療費は高齢化を背景に、2018年の39.2兆円(GDP比 7.0%)が、2040年には 68.3~70.1兆円(GDP比 8.6~8.9%)と約1.7~1.8倍増加する見込みです。

 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000207398.pdf.png
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一方、医療分野における就業者数は、2018年の309万人から2040年の328~334万人まで、約1.06~1.08倍までしか増加しないと試算されています。今後日本の就業者数全体の減少によって、あらゆる産業で労働力の制約がますます強くなってきますが、特に医療現場ではその傾向が顕著になってきます。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000207399.pdf.png
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*厚生労働省 「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」(2018年5月)

しかしながら、現状においても医療現場は圧迫されており、1週間の労働時間が60時間を超える医師の割合は41.8%と、全職種で最も高い割合となっています。今後少ないリソースでより効率的に診療をしていくためには、現在の医療プロセスを見直すことが必要不可欠であり、その1つの解決策としてオンライン医療の普及が挙げられます。

*厚生労働省「医師の勤務実態等について」(2017年8月)

日本ではまだオンライン診療に対して馴染みがないため、まず中国におけるオンライン診療ビジネスのあり方を紹介し、今の日本がオンライン診療を行うにあたってどのような課題を抱えているかを説明していきます。

この記事は、医療系ビジネスに興味のある方、オンライン診療サービスに興味のある方に最適な内容になっています。

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・最大の収益源はオンライン診療ではなく「●●」

・PAGDのようなサービスを実現するための3つの課題

・まとめ

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