【イベント書き起こし】決算からビジネスモデルを読み解く思考法 #20代マーケピザ(第3回・最終回)

この記事は、企業の成長支援のアドバイザーMoonshotの菅原さんが主催するイベント【 #20代マーケピザ 】決算からビジネスモデルを読み解く思考法~稼げるマーケターを目指す、あなたへ~の書き起こし記事です。「#20代マーケピザ」に関心がある方は、Twitterのハッシュタグ「#20代マーケピザ」をご覧ください。

第1回・第2回をご覧になってない方はこちらからご覧いただけます。

【イベント書き起こし】決算からビジネスモデルを読み解く思考法~稼げるマーケターを目指す、あなたへ~ #20代マーケピザ(第1回)

1. 決算書が読めることのメリット

2. 投資家は何を見るか?成長率とSABCランク

3. 決算を読む際のキーワードは「ユニットエコノミクスまで因数分解」

【イベント書き起こし】決算からビジネスモデルを読み解く思考法~稼げるマーケターを目指す、あなたへ~ #20代マーケピザ(第2回)

4. 因数分解で読み解くビジネスの型

5. 決算読み解きライブ生実況

シバタ: 以下では、会場の皆さんのリクエストをお受けして、私にこの場で生で決算を読んでほしい会社を言っていただいて、菅原さんにPCで操作していただきながら、1ページずつライブで読んでみたいと思います。

菅原さん、PC操作をお願いしてしまって恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

菅原: がんばります!

画像

ブレインパッド 2019年6月期決算

画像

シバタ: ブレインパッドの決算です。現金がいくらあるかを見ています。借り入れしている場合もありますが、ここは、借り入れはないですね。

例えば、現金が8億円で、毎年8億円赤字を出すとキャッシュがゼロになり、一年後に倒産します。これは、相当やばいってことですね。

黒字の会社で現金も8億円以上あり、少なくても倒産の心配をする必要はないと言えるでしょう。

次は、ストック売上とフロー売上の内訳です。ここで読み取れるのは、ポジティブとネガティブの両面がありますね。ストック売上は増えていますが、%は減っています。中期にフロー型売上伸長に推進転換したとって書いてありますが、これは言い訳にも見えます。売上全体が伸びてるのは素晴らしいですが、ストック売上の割合%が右肩あがりになっていてほしいですね。

菅原: 前提として、売上の中には、フロー型とストック型があり、ストック型はどんどん積み上がっていたほうがいいよねっていうことですね。

画像

シバタ: 間違いなくそうです。急になくなる売上よりも、継続課金やSaaSみたいなものは将来が予測しやすいですし、経営が安定しますよね。

画像

シバタ: 次にアナリティクス事業を見てみましょう。

顧客数推移です。2014年6月の4Qは53社で、2019年6月3Qは55社の顧客数ですね。ほとんど顧客数は変わらないのに売上が増えているのは、案件の大型化、長期化が進んでいると書いていますね。

シバタ: 営業担当なら、一社あたりの売上がなぜ上がっているのかを分析して、顧客数を増やすことを提案します。この決算から、顧客数増えたら売上が上がるということがわかりますね。

ニュース・プレスリリースのページもあります。この施策によって、売上が伸びているということが書かれています。

このような施策は、自分に関係ないものは読み飛ばしていいですが、参考にできるもや、この施策で数値が上がっているのかなという因果関係を頭の中で紐付けながら読みます。

画像

シバタ: 続いて、ソリューション事業のページです。売上が30%上がっているのに、利益は64%上がっています。適正な利益水準は20~25%とありますが、つまり、これ以上はあがらないので期待しないでね、ということですね。

画像

シバタ: こちらは顧客数が増えています。顧客数が増えていますが、フローに対してストックが伸びていません。ストックもっと伸びるといいですね。

菅原: ソフトウェアライセンス事業。導入してしまえば、一定の利益率が確保できるモデルですね。

シバタ: ソフトウェアライセンス事業では、新しいマーケティングオートメーションのBI、AIの新製品が出ていますね。僕がこういうのが気になるのがあれば、実際にウェブに行って、プロダクトを使ってみたり、ランディングページがいけているかなとチェックします。

画像

あまり伸びていないマーケティングプラットフォーム事業は、成長率が他の事業に比べて穏やかで、利益率下がっています。顧客数は増えていて、単価が落ちており、単価が低いものを売って、手間がかかったわりに売上が伸びなかったようですね。

これだけだと、すごく落ちているわけではないので、赤信号ではないが、次の四半期の決算は注意してみたほうがいいとみます。

DMP(Data Management Platform, 日々蓄積されるビッグデータや自社サイトのログデータなどを一元管理、分析し、最終的に広告配信などのアクションプランの最適化を実現するためのプラットフォーム)は割と競争が厳しいので、プロダクトやサービスに競争優位性があるのかを自分の目で確認しにいきますね。

菅原: 競争が激化した結果、さっきの数字が出た可能性があります。そもそもいくところまでいってしまったため、差別化が無理というのもありますよね。

シバタ: どんどんサービスを出している会社ですごいですね。似たようなソリューションはたくさんあり、他と差別化できないなら淘汰され、利益率は落ちていきます。

画像

シバタ: 次は、中期計画ですね。私はあまり将来の計画の話は信用しません。

画像

シバタ: 次のミッションですね。経営者の考え方やどこで稼ごうとしているかわかりますね。

画像

シバタ: 会社の経営者が株主に対して、方針を説明しているのが決算です。例えば、この会社が皆さんのクライアントだったとして、何かを提案に行く際に、このページと全然関係ないこと提案すれば「そうじゃないです」となりますね。そう言う意味では、決算はちゃんと見ておいたほうがいいですよね。御社の決算資料でこういうことを言っていたと思うんですけどと、提案すると「こいつちゃんと読んでる!」ってわかってくれてる、信頼感が生まれますよね。

画像

シバタ: 今は、今期の売上が56億で2023年に115億になり、年成長率が19%。若干ストレッチかと思いますが、現実的に見ていると思います。

毎年20%成長すると、従業員数は4年後に2倍になるということですね。

菅原: もし、CAGRが50%になっているなら、どの会社もできないことが、なんでできると思ってるんだってなりますね。

シバタ: 今、100%で成長している会社が、今後数年間のCAGR50%を目指すと書くのははいいと思いますが、今、20%で成長している会社がCAGR50%は無理ですよね。基本的に売上が大きくなると、成長は鈍化しますからね。

▼CAGR(compound average growth rate)  年平均成長率

クックパッド 2019年12月第2Q決算説明資料

画像

シバタ: クックパッドの決算の将来に入る前に、「決算短信」と「決算説明会資料」のどちらを読むべきですか、という質問を受けますが、初心者であれば「決算説明会資料」を読むべきです。

決算短信は、わざとわかりにくく書いていると思うほど読むのが大変です。ひたすら数字と文章の羅列で、東証のフォーマットという意味では意味があるのですが、我々のような会計・決算の専門家でない人は、説明会資料のスライドを読んだほうがわかりやすいです。

画像

シバタ: まずは、決算ハイライト。売上が減り、成長率がCクラスになってます。営業利益が前年比ですが、そろそろ赤字になる。

悪口言いたくないのですが、売上の数字が悪いと決算で書かれている数字のフォント小さくなりますね。売上は若干減少でして、営業利益は1/3になっています。これが一時的なのか、経常的に落ち続けるのかを考えならが読みます。

画像

シバタ: 動きが早い業界なので累計ではなく、3ヶ月単位で書いてほしいですね。3Qの累計で見ると、どこが悪いかわからなくなるりますし、何か隠してるのかと思ってしまいます。

画像

シバタ: 四半期決算推移を見ましょう。

売上と利益が下がり、利益率が下がっています。成長率はCクラスです。

どこで売上が減っているかを確認しましょう。クックパッドは広告と課金事業があります。課金売上は微増、広告売上は大きく落ちています。広告売上が減っている分を課金売上でカバーできていないようです。

四半期売上の広告売上緑色の話がいっさい出てこないのですが、過去の決算見ると、創業者の佐野さんが体制を変えた後に、広告事業は減らしていくという話をしているので、過去の話を知っている人は、今の経営陣は緑のところが0に近づいていってもいいと思っているということです。

一方で、緑の広告売上を0に近づける代わりに会員売上オレンジを増やしたいけど、増えていません。株主からすると広告を減らすなら、会員売上を増やせと思いますよね。国内は課金がきついと思うので、海外のレシピ数があるのはわかりましたが、ユーザー数につながっていない上にビジネスにもつながっていません。

画像

シバタ: コストは16%増加し、人件費が増えていますね。

画像

シバタ: 2Qまでの累計を見ると、営業活動で1.2億円稼ぎ、1.4億円投資、財務で2.2億円減っています。トータルで見るとキャッシュフローはマイナス。一年前は、利益が出ていたので、財務活動で投資を行っても、キャシュフローはプラスでした。

画像

シバタ: サービスの利用状況です。ここから因数分解モードです。ユーザー数が減っているので、ユーザー課金額は当然減りますよね。

ちなみに、僕なら下の表を見て、スマホのブラウザが増えているけど、PCが減るのは、使われなくなっているのでしょうがない。クックパッドがダメだから減っているのではなくて、PC使っている人が減っているからと見ます。

画像

シバタ: 続いて、海外です。海外も伸びていません。ロシア語圏が足されて増えているように見えますが、どこも伸びていないです。

画像

シバタ: レシピ数は増えていますね。もしかすると、海外はレシピ数が増えて、そのあとユーザーが増えてくる可能性もあります。もうちょっと様子見る必要ありますが、今のところはまだ判断が難しい状況ですね。

菅原: レシピ数が増えているという数字ですが、一方で国内の状況を察するにレシピが増えてもユーザーが増えないとも読めてしまいますね。だから、国内の数値は海外のページで載せない方がいいですね。

シバタ: プレミアム会員は増えている。1%成長です。

広告の話はないので、新規事業に期待してくださいってことですね。買い物事業、動画事業、スマートキッチンは楽しみですね。

ちなみに、僕のnoteは基本的に悪口は書きませんので、クックパッドの今回の決算のようなケースは、noteに書かないことにしています。「ここが良かったので、みなさん真似してくださいね」と書ける会社だけ書くことにしています。

このように決算生実況では、どの数字に着目して、因果関係を見つけていくかを僕と同じ目線で見てもらいました。株主と同様に、成長率に注目して、成長や鈍化の原因を因数分解してみてください。ユニットエコノミクスまで分解できると、次に、横展開で比較が可能になります。KPIによってソリューションを変えながら、根拠ある提案をすることができますよ。

企業や社会の次の動きはすべて「数字」が物語っている――。アメリカ・日本のネット企業(上場企業)を中心に、企業の決算情報から「次の一手」を読み解くコラム。経営者だけでなく、決算を基礎から学びたいビジネスパーソンや学生にも役立つ情報を届けます。

有料ニュースの定期購読

決算が読めるようになるマガジンサンプル記事
月額1,018円(初月無料)
月4回程度
アメリカ・日本のネット企業(上場企業)を中心に、決算情報から読みとれることを書きます。経営者の方はもちろん、出世したいサラリーマンの方、就職活動・転職活動中の方にも役立つ内容です。

Facebookコメント

表示

※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対してヤフー株式会社は一切の責任を負いません。

ニュースのその先に ドキュメンタリーで知る世界へ