【イベント書き起こし】決算からビジネスモデルを読み解く思考法 #20代マーケピザ(第2回)

この記事は、企業の成長支援のアドバイザーMoonshotの菅原さんが主催するイベント【 #20代マーケピザ 】決算からビジネスモデルを読み解く思考法~稼げるマーケターを目指す、あなたへ~の書き起こし記事です。「#20代マーケピザ」に関心がある方は、Twitterのハッシュタグ「#20代マーケピザ」をご覧ください。

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【イベント書き起こし】決算からビジネスモデルを読み解く思考法~稼げるマーケターを目指す、あなたへ~ #20代マーケピザ(第1回)

1. 決算書が読めることのメリット

2. 投資家は何を見るか?成長率とSABCランク

3. 決算を読む際のキーワードは「ユニットエコノミクスまで因数分解」

4.因数分解で読み解くビジネスの型

1: ECビジネス

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シバタ:アマゾンが80円でペットボトルを仕入れて、100円で売ると20円の粗利益ですが、これは、取扱高が100円、テイクレートが20%、そして、ネット売上が20円ということです。実際に入ってくるお金は、ネット売上なんですね。

例)アマゾン 

ネット売上20円=取扱高100円- 仕入れ80円

テイクレート20%

メルカリのアメリカの事業のようにまだ立ち上がっていないところは、キャンペーンとして手数料を無料にして、テイクレートが低く設定しています。日本も最初は手数料を下げていました。いずれ立ち上がれば、グローバルの平均の10%に近づけてくる。これがECのビジネスモデルです。

ちなみに、アリババはとても低くて4%です。13億人いますから、取扱高が大きいので、さらに、テイクレートをこれから上げてくると思います。テイクレートを10%にすると、売上が2.5倍になるということですね。

ECビジネスは、購買頻度が重要です。

アマゾンのプライムメンバーや楽天の会員ステータスによって差はありますが、誤解を恐れずに大雑把に言うと、平均購買数は、年12回で、1回1万円。つまり、年間12万円が平均の消費額だと思います。

▼GMV (Gross Merchandise Value):取扱高(総流通総額)

▼テイクレート:粗利益 ÷ 取扱高

2: 広告ビジネス

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シバタ: 広告は、見る立場が2つあります。

ユーザー(C)側から見た場合

公式:売上=アクティブユーザー数 x ARPU(1ユーザーあたりの売上)

広告主(B)側から見た場合

公式:売上=広告主数 x 1社あたりの売上

スマートニュースのようなプロダクトに力を入れている広告会社は、アクティブユーザーを増やし、ARPU(1ユーザーあたりの売上)をあげるには、1ユーザーあたりのセッション数、ページビューを増やす必要があります。

B側は、売主数を増やし、一社あたりの売上を増やすことが大事ですね。

自分の会社がARPUをあげるのが上手なビジネスをやっているなら、ARPUが伸びていない会社、落ちている会社を探して営業するという方法もありますね。

例えば、Gunosyの売上が伸びているからすごいではなく、伸びているのはARPUじゃなくてユーザー数が伸びていると分析し、その会社や取引先に、「この会社のARPU伸びているんですけど、なんでですか?」って聞きます。もちろん中の情報は全部教えてくれるわけではないですが、それっぽいことを教えてくれる可能性があります。「実はあの会社、こういうキャンペーンをやっていて」となると、この提案そのまま使えますよね。 

▼ARPU(Average Revenue Per User):1ユーザーあたりの売上

3: 個人課金ビジネス

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シバタ: 個人課金とは、食べログやクックパッドの個人課金や、イーマガジンです。個人課金の公式は広告に似ています。

公式:売上=課金ユーザー数 x ARPU(1ユーザーあたりの売上)

ユーザー数の増減は、新規と解約の数に影響を受けます。

公式:課金ユーザー数=訪問者 x CVR

例えば私のnoteの場合、週に1本ずつ無料と有料のnoteを書いています。全部有料noteにすれば良さそうなものですが、有料noteと同じ数だけ無料noteを出し続けている理由は、訪問者数を増やしたいからです。全部有料にすると、「また有料か」と言って見にこなくなりますが、半分無料にすると、訪問者数が毎回増えていきます。逆に、訪問者数が増えているがゆえに、有料版も半分無料にしているのでCVRが高くありません。

僕のnoteはうまく行っている方で、その要因を因数分解すると、まず、単価(月額)は決まっているので、その他の要因を見ると、解約率がとても低いからということがわかります。全く解約されなので、増えた分だけ売上が積み上がっていきます。

▼CVR(Conversion Rate):webのアクセスから購入にいたった割合 

4: Fintechビジネス

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シバタ: 大雑把に言うと、Fintechはビジネスモデルが2種類あります。

1つ目は、決済手数料、PayPay、ペイパル、決済系、トランザクション系。

公式1:売上収益(売上)=取扱高 x 決済の手数料%

2つ目は、金利型、リボ払いのようにお金を貸すビジネスモデルでかなり儲かります。

公式2:売上収益=貸付残高 x 金利

クレジットカードのビジネスモデルは、2種類でクレジット決済時の決済手数料と、リボ払いの金利収益です。

例えば、菅原さんがリボ払いでカード会社から300万円借りると、年の金利は15%なら、一年間で利子を45万円払います。

一方、決済手数料ビジネスは、300万円決済しても、せいぜい3~9万円の手数料しか発生しません。

グレーゾーン金利の問題があり、基本金利は15%より上げることはできません。規制があり、ある一定の数字を超えると闇金になります。

LINE、PayPay、メルカリ、メルペイも決済時の手数料を取りたいのではなくて、本音ではお金を貸して、金利を取って儲けたいのです。

菅原: 光本さんがやっているCASHというサービスは、どうやってお金を貸すかを考えています。貸しちゃえば、金利をとれますからね。そのサービスが成立するのは、多少踏み倒されてもその分まで回収できて、儲かるからなんですね。

ここで参加者から質問があるみたいです。

参加者:ユニットエコノミクスまで因数分解することの重要性がわかりましたが、それらをどう使うのでしょうか?また、使い方はどうやって思いつくのでしょうか?要素がわかっていても、どれを数値を使って、どのように提案まで落とし込むというアイディアがわかりません。

菅原: それはとてもいい質問ですね。だからこそ、決算を読んで、他の会社が何をやって成功したか競合分析しないといけないですね。

シバタ: 変えられる数字に着目することです。例えば、Fintechのクレジットカード決済の手数料や、ECのテイクレート、金利を変えることはなかなかできません。では、変えられる数字に着目すると、取扱高か、貸付残高ですよね。まずここで、どの数値にフォーカスするかが判断できます。

決済手数料のビジネスで、取扱高を上げたい場合は、決済回数x決済単価に分解し、決済回数をさらに分解し、それぞれのKPIに対して分解します。

どの数字をどのように上げるのかをみんな必死に考えています。10年前に成功した方法は今は使えず日々変わっています。そこまで因数分解して見えていると、同業他社や、自分の上司にピンポイントで「この数字それとも、こっちの数字、どっちをあげるんですか」と質問できます。

菅原: Gumi創業者の国光さんがVRに注力していたときに、シリコンバレーで海外のトレンドの早い人たちに同じ質問を全員にしました。どうやったら儲かるのかを自分なりに因数分解してみて、数字をどうやって上げるのかを探していました。誰もやらないことを自分からすると、ちょっとおかしく見えるかもしれませんが、実はとても有効だと思います。 

5: SaaSビジネス

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公式:売上=顧客数 x MRR

SanSanという名刺管理の上場した会社は、Churn Rateが月次で1%きっています。月次で1~2%切るのはかなりすごいですよ。月次で2%超えていたら、BtoB の場合はやや危険信号です。

もう一つ大事な指標がNet Dollar Retention (NDR)と呼ばれる指標です。

例えば、SlackのNDRが年次で140%くらいです。これは、今年の売上が100万円とすると、同じ顧客群からの来年の今日140万円になっているということです。解約したり、プランをアップグレード・、ダウングレードするところもあります。同じお客さんや、それ以外にも新規からどんどんとっていますよね。新規のお客さんを無視して、今この瞬間、今月有料プランで使っている人からの売上100とすると、一年後、同じお客さんからの売上が140になっています。NDRが100超えているのが重要です。

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シバタ: グラフで見ると、NDRがプラスのサービスはミルフィーユ状に上に積み重なっていきます。横が時間軸(t)縦が売上(Yen)とします

右肩上がりで大きくなっていく、NDR > 100%の場合です。

一番下のレイヤーが2016年に獲得したお客さん、真ん中が2017年のお客さんです。ミルフィーユの層が時間軸にそって増えていきます。

一方、NDR<100%の場合です。ソーシャルゲームの会社によくあるグラフです。時間が経って、どんどん減ってあるときに0になります。2017年に新規顧客があり、売上があるんですが、また、だんだん減っていきます。

菅原: NDR<100%の場合は、広告費をブーストしてなんとか維持させてる場合がありますね。

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SaaSは顧客を獲得するために、赤字を作りますが、そもそも赤字は、無限に作ってはいけません。営業とマーケティングの効率性を表す、Sales Efficiencyという指標があります。

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例えば、今四半期に営業マーケティング費に1000万円投下します。この1000万円を使ったことで、何社か有料顧客を取れます。その有料顧客からのその後12ヶ月間の売上がいくらになるか、を測定します。1000万円を投下して獲得した顧客からの、その後12ヶ月間の売上が1000万円であれば、Sales Efficiencyは1です。かりに1500万円の売上があがるのであれば、Sales Efficiencyは1.5になります。

逆の見方をすると、営業・マーケティングへ投下した1000万円回収するのに、何ヶ月かかりますかというものです。6ヶ月で、1000万円が回収できたら効率性は200%になるので最高ですが、倍の24ヶ月かかると、0.5になります。

公式:

今四半期に獲得した顧客からの12ヶ月の売上高

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今四半期のSales & Marketing 費用

菅原: 効率が悪いとさっきのグラフの下、NDR <100% みたいになっているんですか。

シバタ: 必ずしもそうでもないのですが、回収に時間がかかるので バーンレートがあがります。赤字の割に、売上がおいつかない状況のことです。

シバタ: VCが、Saasが好きな理由は、数字だけを見ていればいいので、おバカなふりをしていても投資ができます。もう一つは、Saasは、赤字をものすごく作らないといけないので、VCから調達せざるを得ず、VCのオーナーシップが大きくなるので、VCの人が好きなんですね。

▼MRR(Monthly Recurring Revenue):毎月の継続課金の売上

一時的な初期費用や導入コンサル費用サポートは除き、純粋な継続課金の月次

▼ARR(Annual Recurring Revenue):経常利益、継続的な売上

▼ACV(Annual Contract Value):1顧客あたりの売上

▼Churn Rate:解約率

▼NDR(Net Dollar Retention):売上継続率。今月獲得した売上が来年の今頃にはどの位になるのかを示す指標

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次回は、会場からのリクエストにお応えして、ライブで決算を読んでみます。

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企業や社会の次の動きはすべて「数字」が物語っている――。アメリカ・日本のネット企業(上場企業)を中心に、企業の決算情報から「次の一手」を読み解くコラム。経営者だけでなく、決算を基礎から学びたいビジネスパーソンや学生にも役立つ情報を届けます。

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