Q. WeWorkのシェアオフィスは利益が出るビジネスなのか?

Q. WeWorkのシェアオフィスは利益が出るビジネスなのか?

A. 米大手シェアオフィスのRegus(IWG)は約15%程度の利益が出ています。

ついに上場が発表されたWeWorkについて2回目の記事を書いてみたいと思います。前回の記事をご覧になりたい方は、こちらをご覧ください。

Q. WeWorkの赤字が巨大なのは何故か?

The We Company FORM S-1 REGISTRATION STATEMENT(2019/8/14)

前回の記事のおさらいになりますが、WeWorkの2019年1月~6月の半年の売上は$1.5B(約1,500億円)、営業赤字はマイナス$1.4B(▲約1,400億円)と売上とほぼ同規模の営業赤字を計上しています。果たしてWeWorkのビジネスモデルは、本当に利益が出るモデルなのか?ということを検討していきたいと思います。

WeWorkは本当にお得なのか?

初めに利用者側のベネフィットを見てみます。

https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1533523/000119312519220499/d781982ds1.htm
https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1533523/000119312519220499/d781982ds1.htm

こちらにあるとおり、自社でオフィスを構える場合と比較すると、シェアオフィスを利用することで従業員1人あたりのコストが57~66%と大幅に削減できることがわかります。

内装工事などをする場合、従業員1人あたり平均21,000ドル(約210万円)以上がかかる計算になります。内装工事をしなかったとしても従業員1人につき、オフィス家賃とそれ以外のオフィス設備を全部加味すると、年間約17,000ドル(約170万円)のコストがかかります。

WeWorkに置き換えることで50%以上のコスト削減になり、従業員1人あたり年間7,300ドル(約73万円)で済むというのがここで提示されているモデルです。

WeWorkの投資・回収モデル

WeWorkの投資回収モデルを見ていきましょう。

https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1533523/000119312519220499/d781982ds1.htm
https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1533523/000119312519220499/d781982ds1.htm

WeWorkの不動産開拓はこの図にあるように、FIND(物件探し)、SIGN(契約)、BUILD(内装構築)、FILL(入居者集め)、RUN(運営)という5つのフェーズに分かれています。

 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1533523/000119312519220499/d781982ds1.htm
https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1533523/000119312519220499/d781982ds1.htm

不動産を契約してから実際にオフィスをオープンするまでの間は、売上が立たず、家賃や工事費用がかかるので赤字がかさみます。オフィスをオープンしてから6ヶ月後を目処に単月黒字になり始め、24ヶ月ぐらいで長期の投資コストを回収できるというモデルになっています。

シェアオフィスビジネスは利益が出るビジネスなのか?

シェアオフィスビジネスは利益が出るビジネスなのか?ということを、類似会社との比較を通じて、もう少し詳しく見ていきたいと思います。

初めにここでベンチマークする会社を紹介しておきましょう。アメリカで最も有名なシェアオフィスの一つの「IWG」(グループ本社はスイス)という会社が提供する「Regus」(リージャス)と呼ばれるサービスです。

簡単にWeWorkとRegusの比較を行なっておきます。

How WeWork is trying to justify its tech company valuationAug (Vox 2019/8/14)

https://www.vox.com/recode/2019/8/14/20804029/wework-ipo-tech-company-valuation
https://www.vox.com/recode/2019/8/14/20804029/wework-ipo-tech-company-valuation

オフィスの専有面積(Global square footage)とワークステーションの数はほぼ同規模になっていますが、売上規模はRegusが$3.4B(約3,400億円)、WeWorkが$1.8B(約1,800億円)とRegusが約2倍の規模になっています。

Regusを運営するIWGという会社は、2018年の売上が$3.4B(約3,400億円)、営業利益が$0.5B(約500億円)で、約15%の利益が出ています。

一方で、IWGのバリュエーション(時価総額)は$3.7B(約3,700億円)しかないのに対して、売上が約半分で大赤字のWeWorkは今回$47B(約4,7兆円)のバリュエーションでIPOをしようとしています。

 https://www.vox.com/recode/2019/8/14/20804029/wework-ipo-tech-company-valuation
https://www.vox.com/recode/2019/8/14/20804029/wework-ipo-tech-company-valuation

こちらのグラフで見ると、いかにWeWorkのバリュエーションマルチプル(時価総額の売上や利益に対する倍率)がIWPに対して大きいかということがご理解いただけるかと思います。

米有名シェアオフィスRegus(IWG)との比較

ユニットエコノミクスに分解してみます。

         WeWork IWG

======================

面積(sqft)     45m 50m

Workstation数    604k 547k

年間売上      $1.8B $3.4B

席あたり面積(sqft) 74.5 91.4

席あたり年間売上  $2,980 $6,216

面積あたり年売上  $40  $68

面積あたり年粗利益 -$61  $10

ここから以下の二点が読み取れるのではないでしょうか。

・WeWorkはIWGよりも、1席あたりの面積が18.5%少ない

・WeWorkはIWGよりも、面積あたりの売上が41.2%少ない

ただしWeWorkは成長率が非常に高いため、一年間の売上で見ると年初と年末で大きな違いがあり、必ずしも正確な分析ではないことをご理解いただければと思います。

またWeWorkは最近オープンしたオフィスも非常に多いため、そういったロケーションに関しては必ずしもワークステーションが全て埋まっているとは限りません。

いずれにしても、これだけを見ると本当にマージンがしっかり出るのか分からないWeWorkですが、以下ではもう少し掘り下げてグロスマージンが出るのかどうかをしっかり見ていきたいと思います。

この記事は、不動産ビジネスに関心がある方、ユーザーとしてシェアオフィスを検討している方、設備投資が必要なビジネスをしている方、シェアリングエコノミーに関心がある方に最適な内容になっています。

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