日本最強の敵。ギネス記録を4つ持つポーランド代表主将のレヴァンドフスキとは

今回のW杯欧州予選でも、歴代新記録となる16ゴールを記録したレヴァンドフスキ(写真:ロイター/アフロ)

来たる2018年6月28日、日本代表がW杯で対戦するポーランド代表の、エースストライカーでありキャプテンでもあるロベルト・レヴァンドフスキ。もちろんポーランド代表はレヴァンドフスキだけのチームではなく、随所に能力の高い選手たちがいるが、ほぼ間違いなく今大会ポーランド代表の最重要人物となるであろうレヴァンドフスキは、一体どのような選手なのか。

プロとしてのキャリアのスタートはポーランド3部リーグのクラブ

ワルシャワで生まれたレヴァンドフスキがプロサッカー選手としてのキャリアをスタートしたのは、山口県下松市の人口とほぼ同じくらいの人口約5万5千人(当時)の街、プルシュクフをホームタウンとする当時ポーランド3部リーグに所属していたズニチュ・プルシュクフというクラブである。

2006-2007シーズン、プロ1年目のレヴァンドフスキはポーランド3部リーグで15ゴールを挙げ、クラブの2部昇格に貢献すると、さらに翌シーズンは2部リーグで21ゴールを挙げ、1部リーグの強豪レフ・ポズナンへと移籍を果たす。

レフ・ポズナンでの1年目で14ゴールを記録すると、2年目には18ゴールを挙げ、クラブのリーグ優勝に貢献するとともに、自身もポーランド1部リーグの得点王を獲得した。

翌シーズンはブンデスリーガ(ドイツ1部リーグ)のボルシア・ドルトムントへ移籍し、ここでもゴールを量産する。

ドルトムントに在籍した4年間の公式戦で103ゴール。2012-2013シーズンのUEFAチャンピオンズリーグでは、13試合に出場し10ゴールを挙げ、クラブの準優勝に大きく貢献した。中でも準決勝でレアル・マドリード(スペイン)相手に1人で4ゴールを挙げて4-1でレアル・マドリードを撃破した試合は記憶に新しく、世界を震撼させた。

2014-2015シーズンから所属しているバイエルン(ドイツ1部リーグ)でも今日までの3年半で、公式戦126ゴールを挙げており、ドルトムント時代の4年間をすでに上回るゴール数を記録している。

驚異的なゴール数

ここ数年のレヴァンドフスキのゴール数は驚異的である。

2015ー2016年シーズン、ブンデスリーガ(ドイツ1部リーグ)では32試合に出場30ゴールを記録し、2位のオバメヤン(ドルトムント)に5ゴール差をつけてリーグ得点王を受賞。UEFAチャンピオンズリーグでも12試合に出場して9ゴール、ドイツ杯では6試合3ゴール、2015年のポーランド代表の試合では、7試合に出場し11ゴールを挙げた、2015-2016シーズンの所属クラブでのゴール数と2015年のポーランド代表でのゴール数を合計すると、57試合に出場して53ゴールを記録している。

これを2015年にバロンドール(欧州最優秀選手賞。2015年はFIFA最優秀選手賞)を受賞したリオネル・メッシ(FCバルセロナ)と、2016年に同賞を受賞したクリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリード)の両者と比較してみると、2015-2016シーズン、メッシは、リーグ戦33試合出場26ゴール、カップ戦(国王杯)5試合出場5ゴール、UEFAチャンピオンズリーグ7試合出場6ゴール、代表8試合出場4ゴール。ロナウドは、リーグ戦36試合出場35ゴール、カップ戦(国王杯)は0試合0ゴール、UEFAチャンピオンズリーグは12試合出場16ゴール、代表5試合3ゴール。

合計すると、上記レヴァンドフスキの57試合出場53ゴールに対して、メッシは53試合出場41ゴール、ロナウドは53試合に出場して54ゴールである。

さらに、2016-2017シーズンも同様に比較すると、レヴァンドフスキ53試合出場46ゴール、メッシ61試合出場61ゴール、ロナウド57試合出場51ゴールとなり、直近2シーズンを合計すると、レヴァンドフスキ110試合出場99ゴール、メッシ114試合出場102ゴール、ロナウド110試合出場105ゴール、と、バロンドールを受賞した2選手と遜色ない。

さらに今シーズン(2017-2018シーズン。代表は2017年をカウント)の今日までに至っては、レヴァンドフスキ31試合出場29ゴール、メッシ31試合出場23ゴール、ロナウド30試合出場25ゴール、と、レヴァンドフスキがもっともゴールを挙げている。

数字の上ではバロンドールに選ばれていてもおかしくない。

1試合で4つのギネス記録に認定

2015年9月22日、ヴォルフスブルク相手に前半0-1とリードされていたバイエルンは、後半開始から、怪我のため先発を外れていたポーランド人ストライカーを投入。そのポーランド人ストライカーは、投入からわずか6分後にゴールを決め、同点に追いつくと、そのゴールからわずか4分間で3ゴールを記録し、さらに9分間で5ゴールを決めるという前人未到の記録を打ち立て、リードされていたバイエルンは瞬く間に4点のリードを奪うこととなった。

レヴァンドフスキはこの試合で、ブンデスリーガでの最速ハットトリック(3ゴール)、最速4ゴール、最速5ゴール、途中出場選手での1試合最多ゴール、という4つのギネス記録に同時に認定された。

また、EURO2016予選では10試合13ゴールと同予選の歴代最多ゴール記録に並ぶと、今回の2018年ロシアW杯欧州予選でも16ゴールを挙げ、クリスティアーノ・ロナウドの15ゴールを上回り、1大会における同予選最多ゴール記録を樹立し、直近3年間の間に実に6つの記録を打ち立て、5つもの記録を塗り替えている。

チームを選ばない得点能力

現在世界最高のストライカーとの呼び声も高いポーランド人ストライカーは、これまでのプロ生活11年半の間に、4つのクラブ、4つのリーグ、さらに、代表チーム、UEFAチャンピオンズリーグなどでも多くのゴールを挙げてきている。

リーグ戦でゴール数が一桁だったことは、ドルトムントでの途中出場が多かった1年目の2010-2011シーズン(8ゴール)の1シーズンのみである。

これほどまでにリーグやチームを問わずに、かつプロデビューから常時ゴールを量産している選手は他に見当たらない。

メッシやロナウドですらプロデビューから常時ゴールを量産していたとは言い難い。

デビューからの最初の4シーズンで3選手を比較すると、リーグ戦において、メッシは71試合出場31ゴール。クリスティアーノ・ロナウドは120試合出場21ゴール。それに対してレヴァンドフスキは117試合出場68ゴールである。

リーグやチームの違いがあるため、一様に比べることはできないが、レヴァンドフスキはプロとしてのキャリアを歩み始めた1年目から、リーグやチームが変わっても毎年ゴールを取り続けている。

シュート精度やゴール前での判断力など、レヴァンドフスキがこれほどまでにゴールを決められる要因はいくつもあるが、それらを端的に表現するなら「決定力」という言葉に尽きる。ペナルティエリア内で巧妙な動きで相手DFのマークを外し、ゴール前でいとも簡単にクロスに合わせる。相手DFの背後にスペースがあると見るやスペースへ走り、ボールを引き出し、そのままゴールを決める。ゴールへのシュートコースが開いてると見るやミドルシュートを決める。様々な要素で高いスキルを持ち、チャンスを確実に決める「決定力」は圧巻である。

これまで日本代表で幾度となく課題に挙げられてきた「決定力不足」は、レヴァンドフスキがいるチームには当てはまらない。

リーグやチームを選ばずにゴールを取り続けている世界最高レベルのストライカーは、近年目覚ましい進化を重ね、自身初のW杯の舞台へポーランド代表のキャプテンとして、国の威信もかけて挑んでくる。

4つのギネス世界記録を持つ男が、今年のロシアW杯で新たなギネス記録を樹立する可能性も決して低くない。