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「非武装地帯を国際平和地帯に」…文大統領が国連演説で提案、「隣国は同伴者」とも(演説全文訳含む)

徐台教ソウル在住ジャーナリスト。『コリア・フォーカス』編集長
9月24日(現地時間)国連総会で演説する文在寅大統領。写真は国連テレビより。

米国を訪れている韓国の文在寅大統領が国連総会で演説し、朝鮮半島と東アジアに平和を定着させるための方案を明かした。膠着状態を打破する「秘策」となるか。演説の注目すべき点を整理した。

●演説の本丸は「朝鮮半島の未来」

文大統領の国連総会での演説は、大統領に就任した2017年と2018年に続き3年連続。今回の国連総会には本来、李洛淵(イ・ナギョン)総理が出席すると見られていたが、9月上旬に北朝鮮が米国との実務協議に臨むことを明かしたことから、予定を変えての出席となった。

9月24日午後(日本時間25日午前)に行われた演説は大きく、「国連への貢献」と「朝鮮半島情勢を含む東アジアのビジョン」という二つに分けられた。

前者については国連の「持続可能発展目標(SDGs)」と「パリ協定」を挙げ、多者協力を通じ成し遂げるべき代表的な課題とした。

また、韓国がこれまで「国連の平和維持活動に1万7千人の将兵を派遣した」とする一方、「グテーレス国連事務総長が主導した『平和維持構想(Action for Peacekeeping)』と『共有された責務に対する宣言(Declaration of Shared Commitments on UN Peacekeeping Operations)』を支持し、ODA(政府開発援助)の規模をより増やし、平和と開発の好循環を支援してきた」と自賛した。

さらに、来年韓国が「グリーン成長とグローバル目標2030のためのパートナーシップ(P4G)サミット」を主催することを明かし、関心を呼びかけた。

だが、こうした言及はいずれも形式的なもので具体的なプランや目標が語られた訳ではない。演説の本丸はあくまで、文大統領が国連総会に参加した理由、すなわち朝鮮半島の今後についてだった。

国連総会に先立つ23日(現地時間)、通算9度目となる米韓首脳会談が行われた。写真は青瓦台提供。
国連総会に先立つ23日(現地時間)、通算9度目となる米韓首脳会談が行われた。写真は青瓦台提供。

●昨年1年の「成果」を報告

その前にまず、文大統領による過去の国連演説を振り返ってみる。

2017年9月の演説は、北朝鮮による相次ぐ中長距離ミサイル発射実験と直近の核実験、さらには首脳同士の「挑発」により軍事的衝突も噂されるほど高まっていた米朝間の緊張の最中に行われた。

同年8月15日の「光復節」演説で「政府はすべてを賭けて戦争だけは防ぐ」と強い発言を行っていた文大統領は、この時も「すべての努力は戦争を防ぎ、平和を維持するためのもの」と語った。さらに安保理理事国をはじめ世界の指導者に対し「多者主義の対話」を通じた平和の実現を訴えた。

また、北朝鮮に対しては「崩壊を望まず、いかなる形の吸収統一や人為的な統一も追求しない」とし、「正しい選択をすれば支援する」と呼びかけた。この呼びかけのおかげかどうかは分からないが、北朝鮮は11月29日のミサイル発射実験以降、対話に舵を切る。

続く2018年9月の演説は、文大統領が直前まで首脳会談のため平壌を訪れていたこともあり、前年とはガラリと雰囲気が異なる明るいものとなった。

2月の平昌五輪に北朝鮮が参加したことを皮切りに、北朝鮮は米韓に急接近。4月に板門店で11年ぶりの南北首脳会談が開かれ、6月の史上初となるシンガポール米朝首脳会談で米朝は、「新しい米朝関係」と「朝鮮半島における持続的で安定した平和体制」の構築に合意した。

これを受けた文大統領の演説は金正恩委員長とトランプ大統領を最大限に持ち上げつつ、朝鮮戦争の「終戦宣言」という戦争の終息を訴えるものだった。また「金委員長の非核化の決断が正しい判断だったことを確認させるべき」と、国連の役割を強調した。

そして今年の演説では、こうした「平和基調」の一年がもたらした成果が主に語られた。

文大統領は昨年9月の『9.19南北軍事合意書』に基づく板門店の非武装化に加え、非武装地帯(DMZ)での緊張緩和を例に挙げた。また、朝鮮戦争当時の激戦地「ファサルモリ高地」から、米・中・仏・英連邦兵士の遺骸が発掘されたと報告した。

さらに6月30日にトランプ大統領が板門店で金委員長の手を取って北朝鮮の地を踏んだ出来事を「朝鮮半島と東北アジア平和の歴史に永く残る偉大な足跡」と持ち上げ、「(米朝)二人の首脳がそこからもう一歩先に大きな歩みを進めてくれることを望む」と願いを語った。

今年6月30日、板門店でミニ首脳会談を行ったトランプ大統領と金正恩委員長。二人が立っているのは北朝鮮側だ。写真は朝鮮中央通信。
今年6月30日、板門店でミニ首脳会談を行ったトランプ大統領と金正恩委員長。二人が立っているのは北朝鮮側だ。写真は朝鮮中央通信。

●「非武装地帯を国際平和地帯に」

文大統領は続けて、朝鮮問題の問題を解く三つの原則を明かした。▲戦争を認めない、▲南北相互の安全保障、▲南北の共同繁栄がそれであるが、これは就任後から一貫したもので、目新しいものではない。

演説のメインはこれらを踏まえ、東西250キロ、軍事境界線を挟んで南北それぞれ2キロ計4キロにまたがる「『非武装地帯』を『国際平和地帯』へと作り上げる」というものだった。

その具体的な内容は2つあった。

まずは板門店から北朝鮮の開城(ケソン)までを平和協力地区に指定し、「南北と国際社会が共に朝鮮半島の繁栄を設計するための空間」にするというものだ。これは、04年に操業を開始した開城工業団地のかねてからのプランであった「国際化」を念頭においたもので、米朝非核化交渉がまとまる際に、開城工団の再開と拡張を見越したものと位置づけられる。

次は「非武装地帯内に国連機構や平和、生態、文化と関連する機構などが居を構える」というものだ。これにより「非武装地帯を平和研究、平和維持(PKO)、軍備統制、信頼構築などの活動の中心地」とすると同時に、「名実ともに国際的な平和地帯」へと変えるというものだ。南北分断の象徴性や「生態系の宝庫」など実質的な環境がこれを支える。

「国際平和地帯」というその名の通り、キーワードは「国際化」だ。これは南北だけを朝鮮半島の平和の享受者とするのではなく、その恩恵を一気に国際社会に広げることで、結果的に朝鮮半島の平和を共有し強化するプランと考えてよい。

文大統領はそのビジョンについて、「朝鮮半島の腰に当たる非武装地帯が平和地帯に変わるならば、朝鮮半島は大陸と海洋を合わせ平和と繁栄を先導する橋梁国家として発展する」と言及し、その手始めとして「約38万発」とされる地雷除去への協力を国際社会に呼びかけた。非武装地帯は世界最大の地雷原とされる。

非武装地帯(DMZ)の分布。長さは東西約255キロに及ぶ。筆者作成。
非武装地帯(DMZ)の分布。長さは東西約255キロに及ぶ。筆者作成。

●日本については婉曲な表現に終始

一方、文大統領は今年7月の「輸出管理」措置以降、葛藤が深まる日本についても間接的に言及した。日本への言及は17年、18年にはなかったものだ。以下に引用する。

東アジアは第二次世界大戦が終わった後、

侵略と植民支配の痛みを乗り越え

相互が緊密に交流し、経済的な分業と協業を通じ

世界史に類を見ない発展を成し遂げてきました。

自由貿易の公正な経済秩序がその基盤になりました。

過去に対する真摯な省察の上に

自由で公正な貿易の価値を固く守り協力する時

私達はより発展していけるでしょう。

一読して分かるように、昨今の日韓の状況がよく当てはまる文章だ。

だが、次の段落で「韓国は隣の国々を同伴者と考え共に協力し、朝鮮半島と東アジア、さらにアジア全体へと『人間中心、相生繁栄の共同体』を拡張していく」とした。これはあくまで、日本を「同伴者」であると明確に位置づけるものだ。批判よりも未来志向のメッセージと読み取るべきだろう。

なお「3.1独立運動」にも言及しているが、これは日本に向けたものではない。100年経った今、韓国の成長をアピールするものと読める。

板門店では『南北軍事合意書』を受け、兵士が非武装化された。今年5月筆者撮影。
板門店では『南北軍事合意書』を受け、兵士が非武装化された。今年5月筆者撮影。

●表れた「秘策」

青瓦台関係者は文大統領の訪米に先立つ22日、今回の「国際平和地帯」案について、国際社会が北朝鮮の安全保障を担う方法の一つと位置づけた。これは軍事合意書による南北の安全保障、米朝交渉の進展による米国による安全保障に次ぐ「保険」の意味合いを持つ。

また、この関係者は今回の提案は18年4月の南北『板門店宣言』における第二項、すなわち「南と北は朝鮮半島で尖鋭な軍事的な緊張状態を緩和し、戦争の危険を実質的に解消するために共同で努力していく」という部分に対応するものとし、長い間あたためてきたアイディアであることを強調した。

それではこの「国際平和地帯」はいつ、どうやって実現されるのか。

これについて、やはり前出の関係者はあくまで主体は「国連」と線を引き、制裁と一線を画すという理解を示した。その一方で地雷除去などの行動はすぐに実現に移せるものであると匂わせた。開城を巻き込んだ平和協力地区よりも、非武装地帯が中心となるという見方ができる。

今回の提案はつまり、米朝関係の停滞に引きずられる形で南北関係において手詰まりとなっていた韓国政府が、米朝関係を迂回したまま進められると同時に、米朝交渉を後押しできる「秘策」を持ち出した形だ。

今後、いかに国際社会の理解を得ながら実行に移せるか。なんとしても朝鮮半島平和プロセスを前に進めたい、韓国政府の外交力が試されることになるだろう。

ただ、惜しむらくは演説の最終部分で「平和、人権、持続可能開発という国連の目標に責任を果たすこと」に言及しながらも、北朝鮮の人権問題に触れなかった点だ。韓国政府に遠大なプランがあるのか、単なる忌避なのかは分からない。

●文在寅大統領 第74次 国連総会演説

国連と会員国の献身で

世界の多くの問題が解決され、

平和のための努力が実を結んでいます。

深い尊敬と感謝の挨拶を捧げます。

ティジャニ・ムハンマド=バンデ国連総会議長の就任をお祝いし、

議長の卓越した指導力で

多者協力が拡散する総会になることを期待します。

「持続的な平和(sustaining peace)」という国連の目標は

朝鮮半島の目標と同じです。

平和と開発の好循環を通じ平和を持続させようという

アントニオ・グテーレス事務総長の努力に敬意を表します。

議長、事務総長、各国の代表の皆さん、

人類の平和と「持続可能発展目標(SDGs)」に向けた

国連の努力は必ず達成されるでしょう。

世界は災難と緊急救護活動を共にし、

平和を維持するための行動に参加し、

互いに助け合っています。

国連はこれからも国際社会の協力の中心にならなければいけません。

韓国は国連の恩恵を多く受けた国です。

国連が成立した年に植民地支配から解放され

国連と国際社会の支援により戦争の惨禍を克服することができました。

今や韓国は発展しただけの責任意識を持ち

東アジアと国際社会の平和と繁栄のために協力しています。

2017年11月、国連が採択した「五輪休戦決議」は

韓国にもう一度大きな助けになりました。

その決議に従い、

2018年春に予定されていた米韓連合訓練が猶予され、

北朝鮮選手団が平昌に来られる環境が造成されました。

安全が憂慮された平昌冬季五輪は平和五輪へと転換され、

南北間が対話を再開する貴重な契機になりました。

南北間の対話は米国と北朝鮮の間の対話へと繋がりました。

トランプ大統領と金正恩委員長の決断が

朝鮮半島の状況を劇的に変化させる動力となりました。

今、朝鮮半島は数発の銃声で情勢が揺れ動いた過去と

明らかに変わりました。

朝鮮半島の平和のための対話の場は依然として健在で

南と北朝鮮、米国は非核化と平和だけでなく

その後の経済協力まで見通しています。

韓国は平和が経済協力へとつながり

経済協力がふたたび平和を堅固にする、

「平和経済」の好循環構造を作ろうとしています。

「欧州石炭鉄鋼共同体」と「欧州安保協力機構」が

欧州の平和と繁栄に互いに肯定的な影響を及ぼした事例が

よい見本です。

朝鮮半島の平和は依然として続く課題であり

世界平和と朝鮮半島の平和は不可分の関係です。

韓国は北朝鮮と対話を続けながら

国連会員国の協力の中で

完全な非核化と恒久的な平和のための

「道を探し出し作っていく」でしょう。

議長、事務総長、各国代表の皆さん。

平和は対話を通じてのみ作れます。

合意と法により支えられる平和が真の平和であり、

信頼に基づき成し遂げられた平和でこそ恒久的であり得ます。

去る1年半の間、対話と交渉により朝鮮半島は

意味のある成果を見せてくれました。

分断の象徴であった板門店は

拳銃一丁すらない非武装区域となり。

南北は共に非武装地帯内の哨所を撤去し

対決の象徴・非武装地帯を実質的な平和地帯へと作り上げています。

絶え間ない停戦協定違反が南北間の軍事的緊張を高め

時には戦争の脅威を高潮させましたが

昨年の『9.19軍事合意』以降には

ただ一件の違反行為も発生しませんでした。

特別にお知らせしたいことは

朝鮮戦争当時、南と北朝鮮・国連軍と中国軍の最大の激戦地であった

「ファサルモリ高地」で

これまで合わせて177体の遺骸を発掘したことです。

韓国軍の遺骸はもちろん、米軍と中国軍、

フランス軍と英連邦軍と推定される遺骸まで発掘されました。

身元を確認できた韓国軍の遺骸3体は

66年ぶりに家族の懐に抱かれました。

平和のための努力がもたらした、誇らしい出来事という他にありません。

トランプ大統領が、現職の米国大統領として

軍事境界線を越えてはじめて北朝鮮の地に足を踏み入れることができたのも

こうした努力の結果でした。

軍事的な緊張緩和と南北米首脳間の堅い信頼が

板門店での電撃的な三者会談を成し遂げました。

金正恩委員長の手をつなぎ軍事境界線を越えた

トランプ大統領の行動は、それ自体をもって

新たな平和時代の本格的な幕開けを宣言しました。

朝鮮半島と東北アジア平和の歴史に永く残る偉大な足跡でした。

私は二人の首脳がそこからもう一歩先に

大きな歩みを進めてくれることを望みます。

朝鮮半島の問題を解くための私の原則は変わりありません。

その原則はまず、戦争不容(受け入れない意)の原則です。

韓国は戦争が終わっていない停戦状態です。

朝鮮半島で二度と戦争の悲劇があってはなりません。

このために私達は人類の歴史上もっとも長い停戦を終わらせ

完全な終戦を成し遂げなければなりません。

次に、相互間の安全保障の原則です。

韓国は北朝鮮の安全を保障します。

北朝鮮も韓国の安全を保障することを望みます。

互いの安全が保障される時、朝鮮半島非核化と平和態勢を

早く構築することができます。

少なくとも対話を進める間は、すべての敵対行為を中断しなければなりません。

国際社会も朝鮮半島の安保という憂慮を解消するため

共に努力してくれることを望みます。

三つ目に、共同繁栄の原則です。

平和はただ、紛争がないことではありません。

互いに包容性を強め依存度を高め

共同繁栄のために協力する事が真の平和です。

南北が共にする平和経済は朝鮮半島の平和を強固にし、

東アジアと世界経済の発展に貢献するでしょう。

私は今日、国連の価値と全的に符合する

この三つの原則を基に、

国連とすべての会員国に対し

朝鮮半島の腰を横切る非武装地帯を

国際平和地帯へと作り上げることを提案したく思います。

朝鮮半島の非武装地帯は

東西に250キロメートル、南北には4キロメートルの

巨大な緑色地帯です。

70年の軍事的対決が生んだ悲劇的な空間ですが

逆説的にその間

人間の足跡が及ばない自然の生態系の宝庫へと変貌し、

JSA(共同警備区域)、GP(兵士詰所)、鉄条網など

分断の悲劇と平和の念願が共に込められている

象徴的な歴史空間になりました。

非武装地帯は世界がその価値を共有するべき

人類の共同遺産です。

私は南北間の平和が構築される場合、

北朝鮮と共同でユネスコ世界遺産への登載を進めるでしょう。

板門店と開城(ケソン)を結ぶ地域を平和協力地区に指定し

南と北朝鮮、国際社会が共に

朝鮮半島の繁栄を設計することができる空間へと変え、

非武装地帯内に南北に駐在中の国連機構と

平和、生態、文化と関連する機構などが居を構え

平和研究、平和維持(PKO)、軍備統制、信頼構築などの活動の中心地となるならば

名実ともに国際的な平和地帯となることができるでしょう。

非武装地帯には約38万発の対人地雷が埋設されていますが、

韓国軍が単独で除去する場合には15年かかると予想されます。

「国連地雷行動組織」などの国際社会との協力は

地雷除去の透明性と安定性を保障するだけでなく

非武装地帯を一息に国際的な協力地帯に作り上げることでしょう。

北朝鮮が真正性をもって非核化を実践していくのならば

国際社会もこれに相応する姿を見せなければなりません。

国際平和地帯の構築は

北朝鮮の安全を制度的で現実的に保障することでしょう。

同時に韓国も恒久的な平和を得るでしょう。

金正恩委員長と私は

非武装地帯の平和的利用について合意し、

途切れた鉄道と道路の連結作業に着手し

北朝鮮の鉄道の現況を実査し、

鉄道・道路の連結と現代化の着工式も開催しました。

この全てが朝鮮半島の平和の基盤を整え

東北アジアの平和と安定に寄与する過程です。

朝鮮半島の腰に当たる非武装地帯が平和地帯に変わるならば、

朝鮮半島は大陸と海洋を合わせ

平和と繁栄を先導する橋梁国家として発展するでしょう。

東北アジア6か国と米国が共にする「東アジア鉄道共同体」のビジョンも

現実になるでしょう。

議長、事務総長、各国代表団の皆さん、

東アジアは第二次世界大戦が終わった後、

侵略と植民支配の痛みを乗り越え

相互が緊密に交流し、経済的な分業と協業を通じ

世界史に類を見ない発展を成し遂げてきました。

自由貿易の公正な経済秩序がその基盤になりました。

過去に対する真摯な省察の上に

自由で公正な貿易の価値を固く守り協力する時

私達はより発展していけるでしょう。

韓国は隣の国々を同伴者と考え共に協力し、

朝鮮半島と東アジア、さらにアジア全体へと

「人間中心、相生繁栄の共同体」を拡張していきます。

来る11月に韓国の釜山で開かれる

「韓−ASEAN特別首脳会議」と「韓−メコン首脳会議」が

その礎を築くきっかけとなるでしょう。

国連の「持続可能発展目標」と「パリ気候変化協約」は

私達が多者協力を通じ成し遂げるべき代表的な課題です。

韓国は「韓国型持続可能発展目標(K−SDGs)」を樹立し

国際社会に約束した

持続可能発展目標の履行に多くの努力を傾けています。

「持続可能発展法」、「低炭素緑色成長基本法」、

「国際開発協力基本法」のような関連法を制定し

「持続可能発展委員会」を置き制度的に履行しています。

これまで韓国は国連の平和維持活動に

1万7千人の将兵を派遣し、

疾病と自然災害で苦しむ世界の人々と共にしてきました。

韓国はグテーレス事務総長が主導した

「平和維持構想」と「共有された責務に対する宣言」を支持し、

ODAの規模をより増やし

平和と開発の好循環を支援してきました。

特に来年20周年を迎える国連安保理「女性・平和・安保」決議と

2017年バンクーバーで合意した「Elsie イニシアティブ」に

積極的に参加し、2021年の次期「平和維持長官会議」を韓国で開催します。

韓国は来年、「グリーン成長とグローバル目標2030のためのパートナーシップ(P4G)」の

「第2次P4Gサミット」を主催します。

パリ協定と持続可能発展目標の履行のために

国際社会の結束を強める契機となるでしょう。

政府、国際機構、企業と市民社会の多くの関係者たちが

関心を持って参加してくれることを望みます。

今年は韓国にとってとても特別な年です。

100年前、韓国の国民たちは

日本の植民支配に抗い「3.1独立運動」を起こし、

大韓民国臨時政府を樹立しました。

100年が経った今

韓国は人類愛に基づいた平等と平和共存のために

競うように努力しています。

これからも韓国は国際社会と連帯しながら

平和、人権、持続可能開発という国連の目標を実現することに

責任と役割を果たし、

国連の究極の理想である「国際平和と安全保障」が

朝鮮半島で具現されるよう共に努力します。

国際社会の支持と協力で

「剣が鋤に変わる」奇跡が

朝鮮半島で起こることを期待します。

ありがとうございます。

ソウル在住ジャーナリスト。『コリア・フォーカス』編集長

群馬県生まれの在日コリアン3世。1999年からソウルに住み人権NGO代表や日本メディアの記者として朝鮮半島問題に関わる。2015年韓国に「永住帰国」すると同時に独立。16年10月から半年以上「ろうそくデモ」と朴槿恵大統領弾劾に伴う大統領選挙を密着取材。17年5月に韓国政治、南北関係など朝鮮半島情勢を扱う『コリアン・ポリティクス』を創刊。20年2月に朝鮮半島と日本の社会問題を解決するメディア『ニュースタンス』への転換を経て、23年9月から再び朝鮮半島情勢に焦点を当てる『コリア・フォーカス』にリニューアル。ソウル外国人特派員協会(SFCC)正会員。22年「第7回鶴峰賞言論部門優秀賞」受賞。

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