大阪セブン 店の「日曜定休」通告は「やりすぎ」だ

(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

大阪時短店オーナーが本部に「日曜定休」を通告

 8月22日付47NEWS(共同通信)は〈自主的に24時間営業を短縮したセブン-イレブン東大阪南上小阪店(大阪府東大阪市)のオーナー、松本実敏さん(57)が9月から日曜日を定休日にするとセブン-イレブン・ジャパン本部に通告したことが22日、分かった〉と報じ、衝撃が走った。

 これはさすがに「やりすぎ」だろう。これまで同オーナーに対しては同情的な見方が圧倒的に多かったように思う。しかし、これに対しては批判的な声が多く上がり、同情的な声はそれほど多くはなかったように見受けられる。Yahoo!ニュースでも報じられたが、「好き勝手に定休日をつくりたいのならフランチャイズに加盟するべきではない」といった批判的なコメントが多数投稿された。こうしたことから、「日曜定休」通告はレッドライン(越えてはならない一線)を越えてしまった感が漂う。

 翌23日に事態は進展した。同日付47NEWSは〈セブン-イレブン・ジャパンは23日、9月から日曜日を定休日にすると通告してきた大阪府の加盟店オーナーに対し、日曜に休業した時点で契約を解除すると書面で回答した。一方で休業しないよう協議を続ける構え。オーナーは協議の進展によっては定休日導入を見送る意向を示した〉と報じている。

 これもYahoo!ニュースで報じられ、同オーナーに対して批判的なコメントが多数投稿された。もっとも同情的な投稿もあり、賛否は分かれている。ただ、批判的な意見の方に勢いがあり、世論の風向きが変わりつつあるように見受けられる。

 セブン-イレブン・ジャパンでは年中無休がフランチャイズ(FC)契約の前提となっており、定休日を導入すれば異例となる。

 同オーナーは2月、人手不足を理由に自主的に時短営業に踏み切り、コンビニエンスストアの運営をめぐる様々な問題が取りざたされるきっかけとなった。7月に本部が24時間営業をしない契約への変更を打診。オーナーは同社の永松文彦社長との面会を求め、直接の説明を条件に契約を新たに結ぶ意向だったが、本部側が面会を拒否している。

(参考記事:セブン-イレブン社長、面会拒否 時短オーナー、対立続く

 24時間営業をしない契約を結ぶのに社長による直接の説明を条件とするというのは理解しがたいものがある。説明が社長でなければならない合理的な理由を見出すことは困難ではないか。このことに対して疑問を持った人は少なくないだろう。とはいえ、この時は同情的な意見が大勢を占めていたので、それを背景に本部に対して強気に攻めた方がいいという意見も少なからずあっただろう。そのため、これはレッドラインを越えた行為とまではいえない。

「時短営業」はレッドライン内、「日曜定休」はレッドライン外?!

 時短営業に関しては、深夜帯の人員確保が困難な状況になっているため、深夜帯は営業しない店舗があってもいいのではないかという考え方には一定程度の理解が示されている。こうして現在は時短営業の是非を論じる段階となっている。セブンやファミリーマート、ローソンは時短実験を実施しており、店舗収益への影響や店舗作業の負担などを検証している。そして、同オーナーに対しては特例というかたちで時短営業の契約への変更を打診するに至った。このように現在は「時短営業」に沿って議論が進められており、それを世論が認めて見守っている状況だ。

 そうしたなか、「日曜定休」を通告する事態が起きてしまった。時短営業で話が進んでいるなか、それは容認できないと考える人が続出した。時短営業と定休日の設定はどちらも人手不足で店が回らない現状を解決するための手段となるが、採用する場合、どこで線を引くかが問題となる。人手不足を理由とするならば極論として「月曜以外すべて休みにして月曜は時短営業」という理屈も成り立つ。時短営業までOKなのか、日曜定休もOKなのか、土日定休もOKなのか、どこまでが大丈夫なのかが問題となるが、世論の様子を見る限り、時短営業だけならばというのが大勢のようだ。「日曜定休」通告はレッドラインを越えたといえるだろう。

 そもそも人手不足で店が回らないというのは社会情勢の問題でもあるが、店舗運営の手腕の問題でもある。日頃から従業員満足度を高めて離職を防ぐといった努力をしていればある程度は回避できることだ。さらに、人手不足の問題に対しては各社が対策を講じている。そうしたこともあり、日曜定休は本部も大方の世論も認めがたいものがあるだろう。

大手3社の対策

 大手各社は時短実験以外でも対策を講じている。セブンは7月26日、省人化の実験店舗を東京都町田市にオープンした。セルフレジを導入したほか、レジカウンター内側の収納性を高めるなどして従業員の作業量削減を目指す。

 ローソンは8月23日、深夜の売り場に店員を配置しない実験を始めた。横浜市の1店舗で午前0~5時の深夜帯は売り場を無人にする実験を約半年間行う。人手不足の深刻化で深夜帯の人員確保が難しくなるなか、実験結果を検証し、課題解決につなげたい考えだ。

 ファミマは8月23日、FC加盟店700店を対象にした時短営業の実験を10月から始めるほか、深夜に店舗売り場を無人化する実証実験を検討すると発表したという。時短営業と売り場の無人化を人手不足対策の両輪と位置付ける考えだ。

(参考記事:10月から大規模時短実験=全国700店で実施へ-ファミマ

(参考記事:ファミマも深夜の無人売り場検討 時短営業実験で説明会

 こうした対策を各社が実行していることもあり、人手不足の問題はある程度は解消するだろう。こうしたことを考慮すれば、日曜日を定休日にする必然性は低いと言わざるをえないのではないか。

 もちろん、こうした施策だけでは問題解決に至らない可能性もある。定休日の導入を完全に否定するわけではないし、ロイヤルティー(経営指導料)の減額など加盟店と本部の利益配分を見直すことが求められる場面が出てくる可能性も否定するものではない。あらゆることを検討すべきだ。

 とはいえ、それは、まずは時短営業の実験が終わってからが妥当ではないか。現在時短営業の是非の議論が進んでいる中で定休日などの議論を加えてしまっては収拾がつかなくなってしまう。これで混乱が起きてしまえば、他の多くのオーナーにも悪影響が及ぶだろう。そもそも、「日曜定休」通告で世論からの同情が薄まり、それにより多くのオーナーに吹いていた追い風が弱まった感さえある。誤った判断だったのではないか。

 セブン本部は日曜に休業した時点で契約を解除するという。そのため「日曜定休」通告はやりすぎた行為だったと認め、早急に撤回した方がいいだろう。