ドトール、2年連続“客数減” 客離れ深刻化

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ドトールにいったい何が起きているのか

 ドトールコーヒーショップの客離れが深刻だ。2019年2月期の既存店客数は前期比2.1%減だった。18年2月期が0.5%減、17年2月期が0.3%増だったため、以前と比べて客足が大きく鈍っていることがわかる。特に17年夏から客離れが顕著だ。17年8月から19年3月までの20カ月間では、18年10月を除いた19の月で前年割れとなっている。このように、ドトールでは深刻な客離れが起きている。

 ドトールを傘下に収めるドトール・日レスホールディングス(HD)の業績も冴えない。4月12日に発表した19年2月期の連結決算は、売上高が前期比1.5%減の1292億円だった。18年2月期までは8年連続で増収を達成していたが、一転して減収となった。本業のもうけを示す営業利益は1.9%減の101億円。最終的なもうけを示す純利益は11.4%減の59億円だった。

 同社はドトールを主力とする「ドトールコーヒーグループ」と、喫茶店「星乃珈琲店」やパスタ専門店「洋麺屋五右衛門」などの「日本レストランシステムグループ」の2つで主に構成されているが、後者の売上高は5.1%増の466億円(グループ連結消去前)と好調だった一方、前者のドトールコーヒーグループは4.7%減の784億円(同)と不振だった。客離れが起きているドトールが足を引っ張った形だ。

 ドトール・日レスHDはドトールの19年2月期の客足が伸び悩んだ理由として「豪雨や地震、台風など天候の影響を大きく受けた」ことを挙げている。確かに天候の影響は大きかっただろうが、それだけではないだろう。近年、カフェ業界を取り巻く環境は大きく変わっている。そういった中でドトールが競争力を発揮できなくなっており、それにより客離れが起きているのではないか。

 ドトールの1号店が誕生したのは1980年。安いコーヒーを手軽に飲めることが男性会社員を中心に受け、人気を集めるようになった。積極的に出店を進め、04年には国内1000店舗を達成。業界を早くから引っ張ってきたパイオニアだが、近年は店舗数は伸び悩んでいる。00年代中ごろから現在まで1100店台で概ね横ばいで推移している状況だ。ドトールは成熟期に入っているといえるが、競合は店舗数を伸ばしており、今後が懸念される。

スタバなどの競合が台頭し競争が激化

 代わりに店舗数を大きく伸ばしているのがスターバックスコーヒーだ。18年末の国内店舗数は1415店で、ドトールなど並み居る競合を抑えて業界1位に君臨している。スタバの日本1号店が誕生したのは96年。ドトール誕生の16年後となる。おしゃれな雰囲気が若者を中心に受け、人気を博すようになった。店舗数は一気に増えていき、13年に国内1000店舗を達成。その後も増え続け、現在も増加基調は続いている。勢いでもドトールを上回っているといえるだろう。

 勢いがあるのはスターバックスだけではない。コメダ珈琲店(国内800店超)やタリーズコーヒー(国内700店超)も店舗数を増やしている。業界での競争は激しさを増しており、ドトールはこれら競合に押されている。ただ、スタバやコメダ、タリーズはドトールと比べて価格が高く、客層はやや異なる。そのため、全面戦争に突入しているとまでは言えない。ある程度、すみ分けはできているといえるだろう。

 客層が大きく被るのがカフェ・ベローチェだ。全国に200店弱を展開し、ドトールと同様に低価格を武器としている。例えば「ブレンドコーヒー(M)」は200円で業界最低水準だ。ドトールの「ブレンドコーヒー(S)」(220円)よりも安い。このように両者とも低価格を武器にしており、低価格のコーヒーを求める層を奪い合っている。また、両者とも大半の店舗で喫煙ができるため、喫煙客も奪い合っている。

 客層が大きく被っている両者だが、顧客満足度においてドトールがベローチェに負けたことが印象的だ。日本生産性本部・サービス産業生産性協議会の「日本版顧客満足度指数(JCSI)」(2018年度第1回調査)で、ベローチェがカフェ部門の「顧客満足」で首位となったのだが、前年度まで3年連続で1位だったドトールは2位に転落してしまったのだ。ドトールの衰えを象徴しているように思える。

 業界内で競争が激化しているが、ドトールの競争相手は同業だけではない。コンビニエンスストアが大きな脅威となっている。セブン-イレブン・ジャパンなどコンビニ各社は店頭でいれるコーヒーを強化している。その結果、おいしさが向上し競争力が高まっている。価格も100円台からと手頃で、低価格を武器とするドトールと大きく競合するといえる。さらに、コンビニ各社はイートインコーナーを備えた店舗を増やしており、コンビニのカフェ化が急速に進んでいる。手軽に利用できるという点でもドトールと共通しており、両者の競合度は高いといえるだろう。

 ドトールはカフェチェーンやコンビニとの競争激化で苦戦を強いられている。そして、店舗数は横ばいが続き成長が見られない。また、今後の先行きも懸念される。特に問題となりそうなのが喫煙者の減少だ。ドトールは大半の店舗で喫煙ができることが売りとなっており、それが集客に大きく貢献している。しかし、喫煙者の減少で今後は喫煙者の集客が難しくなる可能性がある。もっとも、近年は禁煙化に動く飲食店が増えており、ドトールが喫煙者の受け皿になることで客数が増える可能性もある。ただ、大きな流れで見れば、喫煙者の減少は客数減の大きな要因になるだろう。こうしたことから、ドトールの今後は厳しいものがあると考えられる。

星乃珈琲店が復活の鍵?!

 ドトール・日レスHDは成長を図るために、ドトール以外の業態を伸ばしていくことが重要となるだろう。そうしたなか、成長著しいのが星乃珈琲店だ。19年2月末時点の店舗数は233店で1年前から23店も増えている。19年2月期の直営店売上高は前期比9.4%増の158億円と大きく伸びている。先述した日本レストランシステムグループの売上高が大きく伸びたのは星乃珈琲店の貢献が大きかった。星乃珈琲店は店舗によってはブレンドコーヒーを600円以上で提供するなど価格はやや高めだが、消費者のコーヒーに対する高級志向が強まっており、今後の成長も大いに期待できるだろう。

 高級喫茶店市場にはスタバも近年力を入れている。バリスタが1杯ずつコーヒーを提供する「リザーブバー」の出店を進めている。19年2月には焙煎設備併設の高級店「リザーブロースタリー」を東京・中目黒にオープンし話題を集めた。

 このように高級喫茶店に注目が集まっているが、ドトール・日レスHDとしても星乃珈琲店を中心に高級喫茶店市場を開拓し、再浮上を図りたいところだ。もちろん、だからといってドトールをないがしろにしていいわけはなく、ドトールのテコ入れも不可欠だ。メニューの強化や店舗改装などに投資し、顧客のつなぎとめを図るべきだろう。いずれにせよ、減収決算となった同社は正念場にあるといえそうだ。

[お詫びと訂正]ドトールの店舗数について、〈喫茶店業界で1000店の大台に乗せたのはドトールが初となる。〉との表記は不適当と判断し、削除しました。お詫びして訂正します。