ダイソーがド派手な“ピンク”推し セリアとの「女性客獲得戦争」が最終局面に

刷新前のロゴの看板(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

ダイソーがロゴを刷新

 100円ショップのダイソーを運営する業界最大手の大創産業は3月5日、企業のロゴを刷新すると発表した。これまでは店舗ごとにロゴを変えてきたが、共通したロゴを使用することで統一感を出し、店舗の認知度を高めたい考え。

 ロゴのデザインは、社名の英語表記「DAISO」の「A」を「∧」の形のような記号に変えた。「D∧ISO」のようなデザインとなる。大創産業によると、「人々の生活をアップデートしていく」「人々の生活をより豊かにしていく」という強い決意と熱意を表現しているという。ホームページは新しいロゴを使用したものにリニューアルした。新しいロゴを使った国内の第1号店は4月12日に開業する梅田オーパ店(大阪市)の予定。

大創産業のニュースリリースに掲載の新ロゴを筆者撮影
大創産業のニュースリリースに掲載の新ロゴを筆者撮影
新ロゴを採用したダイソーのホームページを筆者撮影
新ロゴを採用したダイソーのホームページを筆者撮影

 新しいロゴは色が特徴的だ。何色と呼べばいいのか筆者にはわからない。マゼンタ、フクシャ、フクシャレッドのような色となるのだが、本稿では「ビビッドピンク」とさせていただきたい。

 とにかく、このビビッドピンクの色が印象的だ。目にはつきやすいだろう。ただ、筆者は最初「これはないな」と思った。目がチカチカするし、弱々しい印象を受けたためだ。企業のイメージを象徴する色のことを「コーポレートカラー」と言うが、コーポレートカラーにビビッドピンクを採用する企業は珍しく、そのため差別化にはなるが、色からくる弱々しさを補えるほどの効果があるかというと疑問に思わざるを得なかった。

 しかし、よくよく考えてみると、ビビッドピンクにしたのは正解だろう。差別化になるほか、一般的にピンクを好むとされる女性に刺さるためだ。男性である筆者はこの視点が欠けていた。

 ダイソーなど100円ショップのメインターゲットは女性だ。業界3位のキャンドゥの城戸一弥社長は雑誌『販売革新 2018年8月号』(商業界)のインタビューで「客層は女性が8割」と述べている。他の大手も女性客の割合は8割程度だろう。こうしたことから、わずか2割程度にしかならない男性に焦点を当てるよりも、8割に上る女性に焦点を当てた方が得策であることは明らかで、女性に刺さる色をコーポレートカラーにするのは当然といえる。

 大創産業は女性客の獲得に力を入れている。同社によると、女性客を特に意識して商品開発を行うようになったのは2011年からだという。12年からは女性客を意識した外装・内装の店舗の新規出店と既存店の改装を本格的に始めている。ピンクや赤、花柄、ドット柄を積極的に使うなど女性受けする商品・店舗の開発を行ってきたのだ。

 同社は16年に、プリントシール機大手、フリューの「ガールズトレンド研究所」と組み、若い女性が好むデザインの商品の開発も行っている。17年には主婦向けの雑貨ブランド「アリュール」の本格展開を始めた。18年には若い女性向けのファッションイベント「関西コレクション」とコラボした化粧品や雑貨を発売している。

セリアは驚異的な利益率を誇る

 女性客の取り込みで早くから成功したのが、業界2位のセリアだ。同社は04年に業界に先駆けてPOS(販売時点情報管理)システム、06年にはPOSデータを基にした発注の支援システムを導入し、詳細な販売データの収集を可能にした。これにより女性客が好む品ぞろえを実現している。07年11月には、明るい照明で照らされた売り場におしゃれな雑貨を並べる「カラー・ザ・デイズ」と呼ばれるコンセプトの第1号店をオープンし、女性客の取り込みを図った。以降、同コンセプトを採用した店舗の新規出店を進めたほか、既存店への移植も進めてきた。

 こうしてセリアは「おしゃれな100円ショップ」との名声を獲得することに成功した。これにより、おしゃれなアパレルショップが軒を並べる商業施設からも声がかかるようになり、出店が加速した。08年3月末時点の店舗数は891店だったが、18年3月末には1506店にまで増えている。10年で1.7倍にもなった。

 売上高も右肩上がりで伸びていった。かつてはキャンドゥの後塵を拝していたが、09年3月期に683億円となり、632億円(18年11月期)だったキャンドゥを抜き去っている。キャンドゥは長らく600億円台で推移し伸び悩んでいるが、セリアは大きく伸びており、14年3月期に1000億円を超え、18年3月期は1591億円にまで高まっている。一方、キャンドゥは18年11月期において707億円でしかない。両社の差は歴然としている。

 セリアは売上高の増加とともに利益率も高まっていった。売上高でキャンドゥを抜き去った09年3月期の売上高営業利益率はわずか2.3%に過ぎなかったが、その後徐々に高まっていき、18年3月期は10.4%にもなっている。これは、日用品小売企業の中では圧倒的な高さを誇る。キャンドゥの18年11月期の2.6%と比べてもその高さのほどがわかるだろう。ダイソーは非上場企業のため不明だが、セリアの方が上という見方がもっぱらだ。

 セリアの利益率がこれほど高まったのは、積極的な出店により規模を拡大してきたことが大きい。100円ショップは規模が命だ。大量仕入れとすることで仕入れ価格を通常より安くしてもらえるため、本来であれば100円では十分な利益が出ないようなものでも十分な利益が出るようになる。こうした原理が働くため、積極的な出店を進めてきたセリアは利益率を高めることができた。積極的な出店ができた背景には、女性客の取り込みに成功したことがある。それにより商業施設からの引き合いが増えたことは既に述べた通りだ。

 キャンドゥも近年、デザイン性の高いおしゃれな商品を増やして女性客の取り込みを急いでいる。15年7月に女性に人気のSNS「インスタグラム」の公式アカウントの運用を開始した。積極的に運用した結果、18年11月末時点で46万超のフォロワー数を獲得したという。こうした施策が功を奏し、女性客は増え、女性客比率は8割にもなっている。

 大創産業も女性客の取り込みに躍起になっている。そうしたなか、コーポレートカラーをビビッドピンクにしたのは、女性客を獲得する強い意志の表れと感じた。これは筆者の想像に過ぎないが、いずれにせよ、女性客の取り込みが今まで以上に重要になっていることは間違いない。

 同社の18年3月期の売上高は4548億円。18年3月時点の国内店舗数は3278店、海外を含めた総店舗数は5250店にもなる。業界最大手として圧倒的な規模を誇るが、もちろん油断は禁物だ。セリアやキャンドゥが後方から猛追している。大創産業としては企業のロゴを刷新し、女性客の取り込みをより一層強化し、競合に対抗したい考えだ。