客数減地獄にあった「ケンタッキー」が急に客が爆増するようになったワケ

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ケンタッキーは客離れで苦しんでいた

 「ケンタッキーフライドチキン」の復活が鮮明だ。運営会社の日本KFCホールディングス(HD)発表の月次動向によると、1月の直営店の既存店売上高は前年同月比4.2%増、客数は6.4%増と大きく伸張した。クリスマス需要で賑わう昨年12月も好調で、既存店売上高は4.7%増、客数は4.3%増となった。11月は前年割れとなってしまったが、10月までは4カ月連続で増収・客数増を達成している。

 昨年の夏以前は客離れからくる業績悪化に苦しんでいた。既存店の売上高と客数は2018年6月まで9カ月連続でマイナスが続いていた。通期ベースでは、18年3月期まで2年連続で売上高と客数の前年割れが続いている。しかし、今年1月までの半年ほどは一転して好調だ。19年3月期の既存店売上高は前年を超える可能性が高まっている。ケンタッキーに何が起きているのか。

 復活のヒントは、同社が策定した21年3月期までの3カ年の中期経営計画にあった。ケンタッキーはクリスマスなど「ハレの日」に強い一方で日常的な利用に強いとはいえず、それでは駄目だと同社は考えていた。そこで中期経営計画において、「日常的な利用機会の創出」「ハレの日以外の利用促進」を実現することを目標に掲げ、日常的に利用される店になることを目指したのだ。

 ケンタッキーが日常的に利用しづらいのは価格の高さが第一に挙げられる。主力商品の「オリジナルチキン」の価格は1ピース250円。2ピースで490円だ。この価格の高さを指摘する声は少なくない。味は別として、もっと安いフライドチキンがコンビニエンスストアや他のファストフード店で売られている。ケンタッキーのフライドチキンの価格の高さは際立っているといえるだろう。

 もちろんケンタッキーが高いのには理由がある。オリジナルチキンはハーブ原料を含んだエサで育った国産鶏を使用し、秘伝のハーブとスパイスを加えて仕上げられている。調理は店舗で行われている。こういったこだわりを評価する人は少なくない。ただ、こだわった分だけ価格は高く、日常的に利用してもらうには難があるといえる。

お得感のある商品を投入することで打開を図った

 そこで、お得感がある商品を定期的に投入するようにした。昨年7月23日~9月5日のランチタイム(午前10時~午後4時)に、ワンコイン(500円)で購入できる「Sランチ」を販売した。オリジナルチキン1ピースに、ビスケット、カーネリングポテト(Sサイズ)、ドリンク(同)がセットになったランチメニューで、それぞれ単品で注文すると920円にもなるが、半値に近い500円で提供したのだ。これがヒットし、8月の既存店売上高は11.4%増、客数は9.0%増と大幅に伸びた。

 9月もお得感を前面に出した施策を講じた。6~26日に、複数のオリジナルチキンと複数のカーネルクリスピー、カーネリングポテト(レギュラーサイズ)1つがセットになった商品を30%オフで販売した。オリジナルチキンなどの数量が異なる2種類のセットがあり、1つは割引価格で1250円、もう1つは1590円で売り出した。また、オリジナルチキン1ピースが7~9日に無料となるクーポンを配布したりもした。これらが奏功し、9月の既存店売上高は3.6%増、客数は1.0%増と前年同月を上回ることに成功した。

 最近では、今年1月9日~2月28日のランチタイム(午前10時~午後4時)に「Sランチ」を販売している。メニューの内容は先述した「Sランチ」と同じで、価格も同じく500円だ。これが起爆剤となり、先述した通り1月の既存店売上高は4.2%増、客数は6.4%増と大きく伸びた。

 この半年はお得感のある「Sランチ」が集客に大きく貢献したわけだが、日常的にケンタッキーを利用してもらうほか、持ち帰りではなく店内で飲食してもらうために同商品を売り出した側面がある。ケンタッキーでは持ち帰り客の割合が約7割に上る一方、店内で飲食する客は約3割にとどまり、店内利用客を増やすことが課題となっていた。そこで、店内飲食用のお得な「Sランチ」を売り出し、店内飲食の促進を図った。これは、ある程度期待通りの成果が得られたのではないか。

 日本KFCHDは来店客に店内で快適に過ごしてもらうため改装を積極的に実施している。18年4~12月は全店舗の約6%に当たる64店で実施した。改装に合わせて全席禁煙化も進めている。利便性の追求も怠っていない。レジカウンターの上部に設置するデジタルサイネージ(電子看板)の導入を進めたほか、注文と提供とでカウンターを2つに分ける改装を進め、注文と提供がスムーズにいくようにしている。

 こういった施策が実を結び、ケンタッキーは業績が上向いている。「完全復活」と言える日はそう遠くはなさそうだ。