無印良品、「ファミマでの販売終了」で弱さ露呈 不振の陰に「ニトリ」あり

筆者撮影

無印良品とファミマは相性が悪かった?!

 「無印良品」の「ファミリーマート」への商品供給が1月28日をもって終了し、販売が終了することになったことが話題になった。SNS(交流サイト)には「無印良品がない田舎では助かっていた」など惜しむ声が相次いだ。

 販売が終了になったのは、売れ行きが良くなかったためとみられる。コンビニエンスストアのコアとなる価値は「ふらっと寄って必要な物が手軽に買える」という利便性の高さだ。コンビニ利用客の多くは手軽に必要な物が買えればいいと考え、無印良品の「シンプルなデザイン」という価値にそれほど魅力を感じていなかったと推測できる。

 例えば、無印良品の「ボールペン」はデザインがシンプルでデザイン性が高くファンも多いが、コンビニでボールペンを買う人の多くは「ボールペンは字を書く機能が備わっていればいい」と考え、ボールペンにデザイン性を求めていなかったと考えられる。また、デザイン性が高い分価格が高くなっていると考え、割高なイメージから無印良品をはなから選択肢から外す人も少なくなかったと考えられるだろう。

 無印良品を運営する良品計画ファミリーマートはかつて同じセゾングループの企業であったこともあり、グループの意向でファミマで無印良品の販売を始めた経緯があるが、今はセゾングループは解体しており、良品計画とファミマの関係性はかつてほど強くはない。そういった関係性のなか、売れ行きが良くないのに無理をしてまで無印良品を販売する必要はなく、機能性やコストパフォーマンスがより高い他のメーカーの商品や自社のプライベートブランド(PB)商品を展開した方が収益が高まると判断したようだ。

 なお、ファミマは無印良品の棚を段階的に減らしており、良品計画の2018年3~8月期の供給事業(国内)におけるファミマへの商品供給は、前年同期比46.2%減と大幅に減少していた。

 無印良品はファミマでは売れ行きが良くなかったと考えられるわけだが、一方で、このことは無印良品の商品力のなさを必ずしも示しているわけではない。無印良品の価値がコンビニの利用客には合わなかっただけであり、「シンプルなデザイン」といった無印良品の価値を好む人はもちろん少なくない。無印良品は全国に18年11月末時点で423店を展開しており、多くのファンが毎日無印良品に足を運んでいる。

 とはいえ、「シンプルなデザイン」という価値だけでは成長が難しくなっている面も垣間見えている。

無印良品の不振の陰にニトリの姿が…

 良品計画は1月9日に19年2月期の業績予想を下方修正した。ファミマだけでなく無印良品の店舗でも商品の売れ行きが鈍っているためだ。

 良品計画は19年2月期の売上高の見込みを従来より3.5%少ない4093億円(前期比7.8%増)、営業利益は従来より6.0%少ない470億円(同3.8%増)に下方修正した。下方修正を余儀なくされた主因は、18年3~11月期において、「衣料品」や「食品」が堅調だった一方、全店ベースの売上高の53.7%を占める「生活雑貨」が苦戦を強いられ、国内の直営既存店売上高が前年同期比4.1%増にとどまったことが挙げられる。増収だったものの、伸びは鈍化している。

 生活雑貨の中では、家具やインテリアが伸び悩み、ファブリックス(クッションなど布製品)が落ち込んだ。これらはニトリと競合する分野だ。近年、ニトリは無印良品が得意とする都心部にも出店を強めている。無印良品の生活雑貨が苦戦したのは、ニトリに顧客を奪われたことが一因とみられる。そして、このことは、無印良品が「シンプルなデザイン」という価値だけでは競合との競争に勝てなくなっていることを示しているように思える。

 ニトリは郊外ロードサイドを中心に出店を重ねて成長してきたが、近年は都心部にも積極的に出店している。15年4月に東京・銀座にある百貨店「プランタン銀座」に出店した。これを皮切りに都心部に大型店を積極的に出店している。また、生活雑貨に特化した小型店の「デコホーム」など都市型店舗を近年急速に増やしている。こういったニトリの都心部進出により、無印良品とニトリが競合するケースが増えているのだ。

 ニトリも無印良品と同様に「シンプルなデザイン」を特徴とする。無印良品のそれとは若干趣が異なるが、一定の重複があると言っていいだろう。一方でニトリの商品は無印良品の商品よりも低価格であることが多い。ニトリの方が価格競争力があるといえるだろう。

 また、ニトリは商品提案力にも強みを持つ。例えば、天然木のぬくもりが感じられる「ナチュラル」や、“和”の雰囲気が感じられる「ジャパニーズモダン」など、商品のコーディネート案を複数用意し、各売り場でそれらをうまく表現している。ニトリではこういったコーディネート案に沿って商品をまとめ買いする来店客が少なくない。

 一方、無印良品はアイテム別の陳列一辺倒で、購買意欲を掻き立てる提案型の売り場になっていない印象がある。無印良品の世界観を表現しきれていないのではないか。商品提案力が高いとは言えないだろう。これは、賃料が高い都心部を中心に出店してきたため、提案型の売り場を構築するだけの十分な売り場面積がある店舗が少ないことが影響していると考えられる。他方、ニトリは売り場面積を広くとれる郊外での出店が中心だったことが寄与している。こうしたことにより、無印良品はニトリと比べて売り場での商品提案力が劣っていると考えられる。ただ、無印良品は近年大型店の出店を積極的に進めており、今後は変わっていきそうだ。

 いずれにせよ、無印良品は今後、「シンプルなデザイン」という価値だけでは大きな成長は望めないだろう。そのことが「ファミマでの販売終了」や「ニトリとの競争激化」の件から見えてきたように思う。無印良品は低価格を実現し価格競争力を高めるほか、売り場における商品提案力を高めるなどして“新たな価値”を創出する必要がありそうだ。