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米国政府、ウクライナ軍へ攻撃ドローン「MQ-1C」提供を検討:トルコの軍事ドローンの代わりになるか

佐藤仁学術研究員・著述家
(提供:U.S. Army/ロイター/アフロ)

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。

米国バイデン政権がウクライナ軍に攻撃ドローン「MQ-1C」を提供しようとしているとロイターが報じていた。MQ-1Cは米国のジェネラル・アトミックス・エアロノーティカル・システムズ社が開発し「Gray Eagle(グレイ・イーグル)」の愛称でお馴染みの軍事ドローンで長距離飛行、長時間の飛行も可能。

米国バイデン大統領はロシアに侵攻されているウクライナに対して支援を行っている。2022年3月にバイデン政権は、米国エアロバイロンメント社が開発している攻撃ドローン「スイッチブレード」を提供。また4月には攻撃ドローン「フェニックス・ゴースト(Phoenix Ghost)」を提供することも明らかにしていた。

ロシア軍がウクライナに侵攻してから、両国ともに軍事ドローンによる上空からの攻撃が続いており、ロシア軍はロシア製の軍事ドローン「KUB-BLA」で攻撃を行っている。ウクライナ軍は米国が提供している「スイッチブレード」シリーズだけでなくトルコ製のドローン「バイラクタルTB2」もよく使っている。

特にトルコ製の攻撃ドローン「バイラクタルTB2」はロシア軍の装甲車を上空から破壊して侵攻を阻止することにも成功したり、黒海にいたロシア海軍の巡視船2隻をスネーク島付近で爆破したり、ロシア軍の弾薬貯蔵庫を爆破したり、ロシア軍のヘリコプター「Mi-8」を爆破したりとウクライナ軍の防衛に大きく貢献している。

ウクライナ軍が上空からの攻撃に多く利用しているトルコ製のドローン「バイラクタルTB2」はロシア軍侵攻阻止の代名詞のようになっており、歌にもなってウクライナ市民を鼓舞している。だが「バイラクタルTB2」はロシア軍によって地上から迎撃されて撃墜されてしまうことが多い。決して全戦全勝ではない。「バイラクタルTB2」での攻撃はロシア軍にとっても致命的であるため検知したら徹底的に防衛する必要があるので、撃墜されやすい。ウクライナ軍では撃墜された「バイラクタルTB2」の破片の写真などもSNSで公開している。

ロシアとウクライナの紛争では、あらゆる軍事ドローンが活用されている。ウクライナ政府は世界中に兵器の提供を呼びかけている。「バイラクタルTB2」のような大型攻撃ドローンだけでなく、最近では民生品ドローンから手りゅう弾や小型爆弾を投下している。「バイラクタルTB2」や「MQ-1C」のような中型~大型攻撃ドローンは攻撃力が強く破壊力があるので、敵へのダメージは大きい。だがコストも高く、破壊されてしまったら簡単に再利用できない。民生品ドローンのように何台でもすぐに戦場に投入できるわけではない。そしてそのような中型から大型の攻撃ドローンは目立つので探知されやすく、撃墜されてしまうことが多い。

▼攻撃ドローン「MQ-1C」

▼撃墜されたトルコの軍事ドローン「バイラクタルTB2」

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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