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ウクライナでも活躍のトルコの軍事ドローン、アゼルバイジャンの航空ショーに:アルメニアとの衝突でも使用

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

アルメニアとの軍事衝突でアゼルバイジャン優位にも貢献した「バイラクタルTB2」

2022年5月にアゼルバイジャンの首都バクーで行われた軍事パレードでの航空ショーにトルコの軍事ドローン「バイラクタルTB2」と「Akinci」が登場した。これらの軍事ドローンを開発しているトルコの軍事企業バイカル社のCTOのバイラクタル氏がアゼルバイジャンの航空ショーにも登場して、戦闘機に乗り込んで自社の軍事ドローンと一緒に空を飛んでいた。バイカル社のCTOのバイラクタル氏はトルコのエルドアン大統領の娘と結婚しておりトルコでも有名。

トルコの軍事ドローン「バイラクタルTB2」はウクライナ紛争でウクライナ軍によっても多く活用されている。2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く使われているが、その中でもウクライナ軍は「バイラクタルTB2」でロシア軍の装甲車を上空から破壊してロシア軍による侵攻を食い止めている。そのためウクライナでは「バイラクタル」はロシア侵略阻止の代名詞のようになり歌にもなってウクライナ市民を鼓舞している。

このように最近ではウクライナ紛争でのトルコの軍事ドローン「バイラクタルTB2」の報道が目立っていたが、「バイラクタルTB2」を有名にしたのは2020年に勃発したアゼルバイジャンとアルメニアの係争地ナゴルノカラバフをめぐる軍事衝突でアゼルバイジャンがトルコの軍事ドローン「バイラクタルTB2」を使用してアゼルバイジャンが優位に立つことに貢献したことだった。

トルコは世界的にも軍事ドローンの開発技術が進んでいるが、バイカル社はその中でも代表的な企業である。同社の軍事ドローン「バイラクタル TB2」はウクライナやアゼルバイジャンだけでなく、ポーランド、ラトビア、アルバニア、アフリカ諸国など25カ国以上に輸出している。

ウクライナ紛争ではトルコの軍事ドローンだけでなく、多くの軍事ドローンが両国軍によって使われている。ロシア軍はロシア製の「KUB-BLA」で攻撃を行っている。そしてウクライナ軍は自国で開発した軍事ドローンでロシア軍に攻撃を行ったり、トルコ製の軍事ドローンだけでなく、アメリカのバイデン政権が提供した米国製の軍事ドローン「スイッチブレード」でロシア軍に攻撃。英国も攻撃ドローンをウクライナ軍に提供している。

▼バイカル社の攻撃ドローンの「バイラクタル TB2」

▼CTOのバイラクタル氏が戦闘機で軍事ドローンと一緒に飛行

▼ウクライナで軍事ドローン「バイラクタル」を称える音楽

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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