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ロシア「静かな飛行で標的を精確に爆破する神風ドローン」国外に輸出へ

佐藤仁学術研究員・著述家
ZALA Aeroが開発した神風ドローン「KYB」(ZALA Aero提供)

ロシアの軍事企業のZALA Aeroが開発した攻撃ドローン「KYB」をロシアの当局が国外へ輸出することを発表した。

ZALA Aeroが開発した「KYB」は3キログラムまでの爆薬が搭載可能。時速130キロで30分の飛行が可能。攻撃イメージの動画も公開しており、垂直に上空から標的に突っ込んでいき破壊する様子を伝えている。また同社では飛行試験も完了しているので、購入したらすぐに使用できる。

この攻撃ドローン「KYB」の特徴の1つは静かに飛行することが可能なこと。地上の標的にされる人間が攻撃ドローンに気がついて避難できないようにしている。つまり地上にいる人間は目視やレーザーなどでしかドローンが近づいてきていることに気が付くことができない。「KYB」が静かに上空からやってきて、標的に向かって垂直に突っ込んできて爆破されてしまう。静かに上空からひっそりとやってくることも重要で、ドローンは商用でも軍事用でもバリバリと大きな音を立てて飛行していると敵にすぐに察知されやすく攻撃する前に迎撃されて撃墜されてしまう。

攻撃ドローンは「kamikaze drone(神風ドローン)」、「Suicide drone(自爆型ドローン)」、「kamikaze strike(神風ストライク)」とも呼ばれており、標的を認識すると標的にドローンが突っ込んでいき、標的を爆破し殺傷力もある。日本人にとってはこのような攻撃型ドローンが「神風」を使用されるのに嫌悪感を覚える人もいるだろうが「神風ドローン(Kamikaze Drone)」は欧米や中東では一般名詞としてメディアでも軍事企業でも一般的によく使われている。

「神風ドローン」の大群が上空から地上に突っ込んできて攻撃をしてくることは大きな脅威であり、標的である敵陣に与える心理的影響と破壊力も甚大である。また、ドローンはコストも高くないので、大国でなくとも大量に購入が可能であり、攻撃側は人間の軍人が傷つくリスクは低減されるので有益である。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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